74.やっと届いた ― コメントに滲む“姉の想い”を、そっと受け止める夜
夜。
尚人は机に向かって、
今夜こそ投稿するか――
ノートとスマホを見つめながら、ずっと悩んでいた。
ふと、スマホの通知が光った。
@RINA_cosさんが、あなたの投稿にコメントしました
指が止まった。
(……コメント?)
数秒間、何もできなかった。
ずっと、ずっと待っていた。
姉ちゃんの“言葉”を。
“文字”という形で受け取るのは、初めてだった。
尚人は、震える指で通知を開いた。
そこには――
姉のやさしさと、繊細で確かな“本心”が宿る言葉が、並んでいた。
「はじめまして。
あなたの投稿に、いつも心がじんわりと温かくなります。
世界観も言葉も、とても丁寧で、
誰かを思いやるやさしさが滲んでいて――
私は勝手に、何度も救われていました。」
「投稿、無理せず、でも…
また見られたら嬉しいです。
あなたの言葉と写真、待ってます。」
読み終えても、尚人は画面を閉じられなかった。
何度も、何度も読み返す。
そのたびに、姉の声がすぐそこにいるような気がして――
胸がいっぱいになった。
(姉ちゃん……見てくれてたんだ。
“気づいてた”だけじゃない。
ちゃんと、受け止めてくれてた)
気づけば、目の端に涙がにじんでいた。
(嬉しい……すごく嬉しい)
(今まで投稿してきた“全部”が、
この一言で報われた気がする)
尚人は、スマホを胸にぎゅっと抱きしめた。
そして、そっと呟いた。
「ありがとう。
姉ちゃんのコメント、何よりも、俺の心に届いたよ」
その夜。
ノートの最後のページには、こう綴られた。
【受け取った言葉】
姉ちゃんの“ありがとう”は、俺にとっても“ありがとう”だった。
これからも、ちゃんと届けたい。
もっと、言葉と写真で――。




