↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふたりで灯す、やさしさのかたち  作者: 流浪の旅人
第2章 ふたりで、ゆっくり歩き出す — “やってみたい”が、芽吹いた日
PR
84/114

72.姉ちゃん、たぶん今、言葉を選んでる ― 届かない声を待つ夜

尚人は、スマホを握ったまま、

投稿もしていないアカウントの通知を、何度も確認していた。


(……まだ、コメントは来てない)


でも、それは最初から分かっていたことだった。

通知のたびに、真っ先に“いいね”をくれる名前。


@RINA_cos


その正体が「姉ちゃん」だということを、尚人はもう気づいている。


(姉ちゃん……きっと、何か言おうとしてるよね)


なんとなく、感じていた。

“その先”にあるはずの言葉が、

何かに飲み込まれて、途中で止まっているような気配。


尚人は、ノートに綴ったキャプション案を開きながら、

静かに、独りごとのように呟いた。


「今、無理して言葉を出してほしいわけじゃないよ」

「でもね、姉ちゃん……俺、ちゃんと受け止めるからね」


「届かなくても――

“届こうとしてる気配”って、分かるんだよ」


スマホを胸にそっと当てたまま、尚人は目を閉じた。


姉が、何度も指を止めては消している姿が、

まるで目に浮かぶようだった。


(きっと、姉ちゃんは“言いすぎない言葉”を選んでる)

(でも、本当はもう――伝えたいって思ってくれてるんだ)


(……ありがとう、姉ちゃん)

(コメントはまだ届いてないけど――

俺には、もう十分伝わってるから)


尚人は、もう一度スマホの画面を見て、

静かに通知をスワイプした。


通知は更新されていなかった。

でも――


「今日も、待ってるよ」

「姉ちゃんの“気持ちの続きを”…いつでも」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。