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71.“届きそうな気がする” ― 静けさの中のざわめき
夜10時。
尚人は、スマホを片手に、ソファへ深く沈み込んでいた。
投稿は、まだできていなかった。
けれど、なぜか今日は、スマホを手放せずにいた。
(今日も通知は、“いいね”だけか…)
何度目か分からないホーム画面のスワイプ。
画面更新。通知チェック。
(……なんでこんなに気になってるんだろ)
(投稿もしてないのに、
誰かからの“言葉”を、ずっと待ってる)
ふと目に留まった、過去の通知一覧。
その中で、ひときわ心が引き寄せられる名前があった。
@RINA_cos
投稿するたびに、いつもすぐに反応してくれる。
静かに、でも確かに、見てくれている“あの人”。
(もしかして……)
(前に、あの投稿を“お気に入り”してくれた時、
コメント、書こうとしてたのかな)
なんの根拠もない。
だけど、“届きかけた気配”だけは、確かに感じていた。
尚人は、スマホを胸元にそっと抱えて、目を閉じた。
(言葉はなかったけど……
それでも、何かがすぐそばまで来てた気がする)
(……今夜も、もう一度だけ確認して、寝よう)
小さく笑いながら、再び画面をスワイプする。
通知は変わらない。
でも――
心の奥が、静かにざわついたままだった。




