65.“また来た” ― 姉の“いいね”に揺れる弟の胸の内
投稿して、ほんの3分。
尚人のスマホに通知が届いた。
@RINA_cosさんが、あなたの投稿に“いいね”しました
(……やっぱり、今日も早いな)
思わず、スマホを胸元に引き寄せた。
(姉ちゃん……また見てくれたんだ)
(いや、“見てくれた”じゃない。
“いいね”まで押してくれてる。毎回、欠かさず)
嬉しい。
でも、その分だけ、こみ上げるものもある。
(ほんとはね、
キャプションの奥に込めた想い――
姉ちゃんに、バレるかバレないかのギリギリを攻めてる)
(でも、姉ちゃんはたぶん……気づいてないんだよな)
尚人は、少しだけ切なく笑った。
(気づいてたら、きっと……
こんな風に“毎回すぐに”は来ない気がする)
けれど、その“すぐに”の“いいね”が、
毎回どれだけ自分の支えになっているか――
姉は、まだ知らない。
(姉ちゃん、俺のこと、
どんな人だと思って見てくれてるんだろう)
スマホの画面を見つめたまま、尚人は小さく呟いた。
「……ありがとう。
姉ちゃんの“いいね”、
俺にはちゃんと届いてるよ」
そして、心の奥で、もうひとつだけ思った。
(いつか、気づいてほしい。
でも……もう少しだけ、
このままでいたい気もするんだ)




