59.“ただの投稿”にしては、心が動きすぎた ― 姉、会心の一撃を受け取る
夜。
ことりは、撮影のアイデアをまとめようと、
ぼんやりとSNSを眺めていた。
#〇〇(キャラ名)――そんなタグの中に、ひとつ気になる投稿が流れてきた。
「このキャラ、また見たいな〜」
そんな軽い気持ちで開いた、その投稿――
そこにあったのは、
“まるでアニメの世界からそのまま出てきた”ような、柔らかな笑顔。
笑っていた。
でも、ただ明るいだけじゃない。
その目は――
誰かの痛みを知っていて、
それでも「大丈夫」って言っている、そんな表情だった。
「“大丈夫”の裏に、
ほんとの気持ちを詰め込むことってあるよね。
この笑顔が、誰かの背中を少しでもそっと押せたら。
……そんな気持ちで撮りました。」
「p.s. “あの人”にも、いつか届きますように。」
ことりは、スマホを持つ手をそっと止めた。
(……何、この子。
どうしてこんなに、心がぎゅっとなるの)
投稿をもう一度読み返して、
写真をじっと見つめる。
(笑顔、に見えるけど――泣きそうな目)
(キャプションも、ただの説明じゃない。
むしろ、“誰か”に向けた“気持ちの手紙”みたい)
ことりは、しばらくその場から動けなかった。
「……これ、
わたし、今…もしかして、“受け取っちゃった”のかな」
「この人、いったい…誰なんだろう」
後で、自分の投稿用のメモを開いたけれど――
なぜか、言葉が浮かばなかった。
(わたしの“好き”を、
先に言葉にされちゃった感じ…)
そしてことりは、その投稿を「お気に入り」に入れた。
気づかないまま――
弟が放った“一撃”は、
確かに姉の胸に届いていた。




