58.「この世界観、すごく好きです」 ― 写真が“表現”になった瞬間
翌日。
尚人は、午後の光が差す部屋でノートを開きながら、
前日の投稿を静かに思い返していた。
(“p.s.”、響いてくれた人がいたの、嬉しかったな…)
(あのキャラを演じられたのは、
姉ちゃんが大切にしてきた“好き”を、
ちゃんと見ようとしたからだと思う)
そんなことを考えていたとき――
スマホに、新しい通知が届いた。
コメントが届きました
「この投稿、写真もすごく素敵なんですが、
キャラの“表情”と“言葉”のバランスが最高で…。
なんというか……“世界観そのもの”が伝わってくる感じがして、
とっても好きです。
あなたの投稿、もっと見たいと思いました」
尚人の目が、少しだけ大きく見開いた。
(……世界観)
(そうか。今の俺の“やり方”って、
キャラの表情と、空気と、言葉――
全部で“ひとつの感情”を届けようとしてたんだ)
ノートを開き、新しいページに書き留める。
【表現者としての自覚】
・写真=見た目だけじゃない
・表情、言葉、空気――すべてが“物語”
・俺の中に生まれた「伝えたい」が、ちゃんと写真になってる
そして、ぽつりと呟く。
「俺……ただの“やってみたい”じゃなくなってきてる。
たぶん今はもう、“伝えたい”って気持ちでコスプレしてるんだ」
スマホを見つめながら、小さく笑う。
「ありがとう。
“好き”を信じて進んできて、よかった」
その夜。
尚人は、自分のプロフィール欄の一言をそっと更新した。
「“好き”から生まれる、ひとつの世界をつくっています。」
正体は、まだ明かさない。
でも――心の中では、はっきりと決まっていた。
「俺は、表現者として、進んでいく」




