↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふたりで灯す、やさしさのかたち  作者: 流浪の旅人
第2章 ふたりで、ゆっくり歩き出す — “やってみたい”が、芽吹いた日
PR
65/114

53.“この笑顔で、誰かを守れるかな” ― 表情の稽古、鏡の前での葛藤

土曜の午後。

カーテンを少しだけ閉めた部屋の中で、

尚人は衣装に着替え、鏡の前に立っていた。


今回のテーマは――

「笑っているけど、守ろうとしてる」


ウィッグもメイクも、準備は万端。

でも――

一番大事な“笑顔”だけが、まだ掴めない。


(普通に笑ったら、このキャラっぽくない)

(でも、真剣すぎると怖くなるし…)


尚人は、何度も自分の顔を見つめる。


口元を上げる。

でも目元が硬い。

目元をゆるめると、今度はただの「いい人」っぽくなる。


(この子の“笑顔”って、

誰かの不安を全部抱え込んだ上で、

「大丈夫」って言ってる顔なんだ)


(本当はつらいのに、相手にそれを悟らせない…

そんな笑顔、俺にできるのか…?)


ふと、ノートに書いていたキャラのセリフを思い出す。


「だいじょうぶ。僕がやるから、君は泣いてていいよ」


その瞬間、尚人の顔に、

自然と“少しだけ苦しさを含んだ笑み”が浮かんだ。


(これだ…たぶん、

“全部笑顔じゃなくていい”んだ)


鏡の前で、何度も繰り返す。


口元をふわっとだけ上げる。

目元は、ちょっと迷いを残す。

眉はほんの少しだけ、下げる。


(“安心させたい”気持ちだけ、

そっと滲ませる感じで)


パシャ。

シャッター音が、部屋に静かに響いた。


尚人は、モニターに映った写真を見つめて、

ゆっくりと息を吐いた。


「……この顔、姉ちゃんにも伝わるといいな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。