52.“姉ちゃんが好きなキャラ”を、自分の中に宿す夜
尚人は、机に向かってノートを開いた。
ページの上には、こう書かれていた。
【演じるキャラ:〇〇(姉の推し)】
感情のテーマ:「明るさの裏にある、深いやさしさ」
(まずは、この子のことを、ちゃんと知ろう)
YouTubeで名場面集を探し、
姉の投稿のキャプションを遡り、
アニメを1話から見直す。
一話一話、今までよりずっと“心の目”で見る。
(ああ…この子、ただ明るいんじゃない。
誰かが悲しまないように、無理して笑ってるんだ)
(姉ちゃん…たぶん、そこに気づいて、好きになったんだ)
尚人は、気になったセリフをメモしていく。
「誰かのために笑える人って、
ほんとは、いちばん優しいんだと思うんだ」
「平気なふりって、強さだよね」
「一人でも笑ってればきっと大丈夫って、
思いたかっただけなんだ」
ノートの余白に、尚人は静かに書き込む。
「俺、今まで“やさしさ”を演じてきたけど、
今回は“強がり”のやさしさを出さなきゃいけないんだな」
姉の投稿に残っていた、あるキャプションが目に留まる。
「このキャラの“笑顔”は、“誰かを守る覚悟”なんだと思う」
「だからこそ、何気ない笑みに、胸がぎゅっとなるんだよね」
尚人の胸にも、同じ“ぎゅっ”とした感情が広がった。
(俺にも、撮れるかな…?
姉ちゃんに“守られてる”って感じるような、そんな一枚)
最後に、尚人はノートにこう記した。
【今日の結論】
・このキャラの“笑顔”は、嘘じゃない。でも、戦ってる
・俺は、この子の“戦うやさしさ”を、写真で届けたい
・そして、姉ちゃんに、気づかれなくてもいいから…
“届いてほしい”




