51.姉の心に届く“何か”を ― 次に演じたいキャラを探して
夜。
尚人は、あの“覚醒の一枚”の余韻に浸りながら、
スマホでコメントを読み返していた。
そして、ふと手が止まる。
「……姉ちゃん、今回も“いいね”くれたんだよな」
それだけで、胸の奥があたたかくなる。
気づかれていない。
でも――ちゃんと“届いてる”。
(次も、もっと届くものにしたい)
そのとき、ふと頭に浮かんだ。
「姉ちゃんが好きなキャラって、誰だっけ…?」
思い返す。
何度か語っていたアニメ。
“何度見ても泣いちゃう”って言ってた、あのシーン。
(……あの子か)
(確か、“明るくておちゃらけてるけど、本当はすごく人思い”なキャラだったよな)
尚人は、姉のSNSをこっそり遡りながら、
そのキャラの写真に辿り着いた。
柔らかく笑って、でも目の奥に――何かが宿っている。
「この子、たぶん姉ちゃんにとって、
“大丈夫って言ってくれる存在”だったんだな…」
尚人はノートを開き、こう書いた。
【次の挑戦】
・キャラ候補:姉ちゃんが好きな子
・表現したい感情:「明るさの裏のやさしさ」
→ 一瞬の目線に、“本音”がにじむような表情
そして、ページの端に、そっと書き添える。
「姉ちゃんにだけは、届いてほしい。
もし、“誰かに似てる”って思ってくれたら――
それは、きっと俺にとって“最高のご褒美”だから」




