43.“また見たい”の声に背中を押されて ― 次の扉が開く夜
夜。
尚人は、布団に入ったあと、
いつものようにスマホで自分の投稿をチェックしていた。
通知は相変わらずポンポンと増え続けていて、
それだけでも、どこか不思議な気持ちになる。
(まさか、あの毛先の動きで、
こんなにたくさんの人が反応してくれるなんて…)
そんな中、ふと目に留まったコメント。
「このキャラの表情、大好きです。
次の投稿も楽しみにしています☺️」
「新しい表現も、またぜひ見せてください!」
「もっと他のキャラでも、あなたの優しさを感じてみたいです」
尚人の胸に、じわっと熱いものが広がった。
(“また見たい”って……すごいな。
これって、俺の“好き”が、誰かの“楽しみ”になったってことだよな)
静かにノートを開いて、
新しいページの上にこう書いた。
【新しい挑戦】
テーマ:次の“表情”は?
キャラ:別の推しキャラにも挑戦してみたい
目標:「優しさ」以外の感情も、ちゃんと表現できるようになる
尚人は、ふと姉の投稿を思い出した。
あの“強さ”のある笑顔。
時には切なさ、怒り、迷い――
姉ちゃんは、“そのキャラの心”ごと写真に写していた。
(俺も……次の投稿では、
“やさしさ”以外の何かを、表現してみたい)
尚人はスマホのホーム画面に、メモを追加した。
「trace_nao:NEXT THEME → “迷いの中の決意”」
尚人の目は、すっと真っ直ぐ前を向いていた。
「もう一歩、踏み出してみよう。
“誰かの心に残る”って、こんなに嬉しいから」




