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ふたりで灯す、やさしさのかたち  作者: 流浪の旅人
第2章 ふたりで、ゆっくり歩き出す — “やってみたい”が、芽吹いた日
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30.言葉にすることで、想いが届く ― 投稿前夜の選び抜いたひと言

夜。


尚人は、デスクの前に座っていた。

スマホの画面には、ひとつの写真――


キャラのまなざしを借りて、

やさしい笑みを浮かべた“今の自分”が、そこにいた。


(これ、投稿してみたいな……でも、やっぱり緊張する)


前回は「はじめまして」と、素直な気持ちを添えた。

けれど今回は、“キャラと心を重ねた分だけ”、

その想いを言葉にする難しさを感じていた。


「この子の“やさしさ”を、どうしたらちゃんと伝えられるだろう…?」


尚人はノートを開いて、何度も言葉を試す。


「キャラのやさしさに、ずっと救われてきました」

「今回の写真は、その気持ちを表現してみたものです」


(うん、これは“自分の気持ち”。悪くない)


でも――

見る人に、もう少しだけ“そっと寄り添う言葉”がほしくて。


「このキャラのように、

そっと誰かの背中を押せる存在になりたいです」


(……こういう気持ち、大げさかな)


そう思って、スマホを置いて天井を見上げる。

でも、尚人はちゃんと知っていた。


“この気持ちは、今の自分にしか書けない言葉なんだ”って。


ゆっくりと下書き欄に、指を走らせる。


「このキャラに、たくさんのやさしさをもらいました。

写真の中の笑顔も、そんな想いから生まれたものです。

見てくれた人の心にも、少しでも届いたら嬉しいです。」


読み返して、尚人の頬がすこしだけ緩む。


(……これなら、ちゃんと“気持ち”を添えられるかもしれない)


投稿は、まだしない。

でも、このひと言にたどり着けたことが――

もうすでに、“前へ進んでる”って証だった。


ノートの最後に、今日の言葉を書き添える。


「“伝える”って、勇気じゃなくて、

気持ちを整えることなのかもしれないね」

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