↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふたりで灯す、やさしさのかたち  作者: 流浪の旅人
第2章 ふたりで、ゆっくり歩き出す — “やってみたい”が、芽吹いた日
PR
35/114

23.この1枚に、なにを添えよう ― 初投稿のドアの前で

深夜0時を少し過ぎたころ。

尚人はパソコンの前で、画面に映る写真を見つめていた。


それは、あの――“残したいと思った1枚”。


メイクも、衣装も、小道具も。

どれもまだ初心者の域だけど、

自分の“なりたい”がぎゅっと詰まった一枚だった。


(…これを投稿するかどうか、なんだよな)


もうアカウントはできている。

プロフィールも書いた。


でも――

この“投稿”のボタンだけが、今はやけに重たく感じていた。


(……何を言えば、いいんだろう)


キャプションの入力欄に、何度も文章を打っては消す。


「はじめまして。初投稿です」

(無難すぎて、誰の心にも届かなさそう)


「まだ初心者ですが、頑張ってます」

(気持ちはあるけど、弱い)


「“なりたい”って気持ちだけで動いてます。

まだ下手かもしれないけど、大事な一歩です。」

(…これ、ちょっと…いいかも)


ふと、尚人は姉のアカウントを開いた。


何年か前の初投稿。

そこには、こんな文章が残っていた。


「はじめまして。

ずっとやってみたくて、でも勇気が出なくて。

でも“好き”って気持ちがあふれて、はじめました☺️」


(…なんだよ、やっぱ姉ちゃんも、最初は不安だったんだ)


尚人は、静かに笑った。


「俺も…いま、あふれてるのかもしれない」


再びキャプションに向き合う。

ゆっくりと、言葉を打つ。


「“なりたい”って気持ちだけで始めました。

まだ不器用だけど、ずっと憧れていたキャラです。

見てくれた人が、ちょっとでもやさしい気持ちになれたら嬉しいです。」


送信ボタンは、まだ押さなかった。

でも尚人は、その文章をそっとコピーして、メモ帳に保存した。


「今日は投稿しない。

でも、ここまで来れたってことが、何より嬉しい。」


初投稿の準備は、整った。


あとは――

ほんの少しの、勇気だけ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。