不法侵入者【ネズミの人】
寝る前に戸締まりをする。
これは当たり前の事だと、
思っている。
今でも必ず。帰ったら直ぐに。
習慣の様に、二重にロックを掛ける。
これは、俺がまだ子供の頃の話。
寝る時間になって、
いつも通り戸締まりをした。
「またやってる」
親に皮肉じみた言い方をされながら。
飼い猫が逃げ出さない様に戸締まりをした。
が。
最悪な事に窓が開いていて猫が外に出て居た。
猫の名前を呼びながら猫を抱き寄せる。
「何で開けといたんだよ!」
怒るが、親に大した効果はない。
変なの入ってねえよな?
俺は奥の部屋を見に行った。
そこには暗がりの中で何か動くモノが居た。
誰か居る!
「誰だ!」
すると、それはゆっくりと寄って来た。
外観は人。
明かりで顔が見えると、口周りはネズミだった。
○○男。
そう思った。
「すまないが、宇宙船が壊れてしまった。
少しの間。邪魔させてくれないだろうか。」
さっき戸締まりしたはずの窓が開いており。
カーテンが風で揺れながら音を立てると、
兄弟のようなもう一人のヤツが居た。
「出ていけ!」
そう叫んだ。
親「うるせえ!!」
俺はそう怒られたのだった。
なんと言えば良いのか分からないが。
ウチはそういう家だった。
俺が怒鳴られた親の方から目を戻すと、
そいつらは消えて居た。
次の日。
同じ学校の通勤路でだけ話す子が嬉しそうに、
こう。話した。
通勤路の子「あのさ?
コレ、"内緒の話"なんだけどさ?」
「うん」
通勤路の子「絶対に『秘密』だよ?」
「うん。」
通勤路の子「昨日ね?
家に、"ネズミの人"が来たんだよ。」
「え。」
直ぐ昨日の奴等だと思った。
そこで話は終わった。
学校に着いてしまっからだ。
それから暫くして。
その子を通勤路で見掛けなくなった。
最近会わないな、
くらいの感じだった。
後から噂に聞いた話で、俺はゾッとした。
あの話から多分そう日数も経たない内に。
その子の家は火事になり。
その子と、その家族全員が
【行方不明】
に、なったそうだ。
俺は奴等の仕業だと思った。
もし、俺ん家に奴等をあのまま居させたら。
どうなっていた事だろうか。
勿論、確証はない。
ただの放火。ただの火事。
ただの引っ越し。ただの夜逃げ。
いろんな条件が重なっただけかも知れない。
噂話に尾鰭背鰭が付き。
話がややこしく広がっただけ。
けれど、たまに。
ふと、こう思う。
奴等はまだ。
この地球に居るかも知れない、
と。
だから戸締まりはきちんとしよう。
用心に越した事は、無いのだから。




