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見感語  作者: 紀希
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商売の神の失望



「あの場所潰れるらしいよ?」


「マジ?」


久しぶりに友達と会って他愛もない会話の中で、


ふとそんな会話になった。


「安くなってるんかね?」


「行ってみる?」



そこは俺が小さな頃からやっていた、


デパート?だった。


子供の時に数回来た覚えはあったが、


それ以来は行く機会もなかった。


駐車場は地上?と2階?と屋上にあった。


「屋上行くしかねえ!」


まるでアトラクションにでも乗ってるかの様な気分で、


急な坂道を登った。


「お疲れ、」


「うい。」



周りの景色は何だか懐かしかったが、


子供の頃に見た景色とは違った気がした。


「こんなんだったっけ?」


「んー。


俺もあんま来た事ねえからな。」


昔はいろんなデパート?があった。


今は何処に行っても大型ショッピングモールがあって。


代わり映えのしない外観や内装は、


子供の時に味わったあのワクワクを。


彷彿させては、くれなかった。



『閉店セール』



入り口には大きくそう書かれていた。



「この臭いが良いよな、」


「分かる分かる。


何とも表現しずらい臭い笑」


「何階から行く?」


エレベーターのボタンを見ると、


【B1】のボタンまであった。


「地下もあるんね。」


「ね。」


「んと。上から下に行く。」


「了解。」



チン、


「ドアが開きます、」



「あれ。さっき喋ったっけ?」


「?分からん笑」



エレベーターの先の明かりは少し暗かった。


何と言うか雰囲気が暗かった。



「何処見る?」


「んー。


適当にぶらぶらと、」



客はそんなに居なかった。


ちらほらと店の中に人影があるくらい。


店の中も暗かった。



「節電?」


「ね。


くれえよな。」



昔ながらの家具。


棚やタンス。テーブル。


食器や何かの置物。



「俺適当に見て来て良い?」


「うん。


何かあったら連絡して。」


「あい。」



俺達は自由に見て回る事にした。



布に、寝具。仏具店。


「幾らくらいになりますか?」


「このくらいになりますかね?」


業者だろうか。


売れ残った商品をその店の店員が、


業者らしき人に値段交渉をしている。



今や何処の店にも量産された。


安くて、軽い商品が売れている。


それなりに値段がして、質の良い重量のある商品を。


長持ちして、何処にも無い様な一品物を。


一体。今の家庭の、どの程度の割合が。


買えるのだろうか、、



さっきっから。


何やってんだろうな、、



どの店にも。


金色の置物が置いてあり、


目の前の店員はそれに手を合わせ、


何かを言っていた。



ほんの少しの気味悪さを感じながら、


俺はおもちゃコーナーを見付け、


子供の様に一直線で向かった。



白く大きい縁の短い場所に、


無造作に置かれたおもちゃを見る。


どれも色褪せ箱は年月で焼けていた。


「何かいいのあった?」


手には袋があった。


「何買ったん?」


「服。


セットで安かった。」


「まぢか。


見たい。」


そこは奥まった所にあった場所だった。


俺は気付かず素通りしていた様だ。


近くの出入口からは2階の駐車場が見えた。


「あー。良いじゃん。」


「これ買った。」 


展示されていたのは、肌着と上着のセットが3着。


男用3着と女用3着で6着が一緒に置いてあった。


「何で男用はこう可愛くねえかね。」


女用3着は各々に花柄が入っていて、


デザインも全て違った。


しかし男用は単色柄は一切無い。


青。黒。グレー。


シンプルで悪くは無いが、


あまりそそられなかった。


「下行く?」


「うん。」


1階は食品だった。


「もいっこ下行こ?」


「ん。」


食品は帰りに見る事にして、


先に地下に行った。


「へー。」


「あかりい。」


地下は蛍光色が違うのか、


2階と1階とは全然違かった。


「結構新しい店入ってんね。」


最近の店がちらほらと見えた。


地下はホームセンターで、


売られている様な物が売られており、


後は小さなゲームセンターがあった。


特に何も見る物は無く。


1階に戻って飲み物を買って帰った。


車に戻りシートベルトを締める。


「何か2階は異様だよな。」


「地下とは違ったよね。」


「アレ見た?」


「ん?」


「何か同じ置物が置いてあって。


店員がそれに手合わせてブツブツ言ってて。」


「マジか。


見なかったわ。」


「何処の店にもあったに!」


「そんなに見てなかったわ笑」


「マジか。」



それからそんなに経たない内に。


その建物は潰されたのではなく。


改装された様で。


全てが新しくなったみたいだ。



あの置物は商売の神様だったのか。


それとも他のナニカだったのか。



物の価値が分から無いから。


だったら与えてあげる必要はないから。


皆が。求めて無いから。



あえて、そういう結果にしたのかも知れない。



その真意を。俺達が知る事は出来ない。



ただ。現実で見て分かる事は出来る。


全ては。皆が選択した結果にしか過ぎない。






















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