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見感語  作者: 紀希
34/57

平和の為の約束の代償



昔。


この世界はもっと荒れていた。



そんな世界で。


昔の人達が、今の人達よりも幸せだったかどうか。


何て事は、分からない。



けれど、人々は日常的に命を奪い合った。


何故、そうしたのか。


それは、そういう時代だったからなのだ。



だが。この様な言葉でまとめるのならば。


今も昔も。


やっている事は変わらないのかもしれない。



直接。面と向かってやらなくなっただけ。



そう、言えるのではないか。



話が逸れてしまったので元に戻そう。



その世界に。ある、ひとりの少年が居た。


少年は、力を求めた。


何故か。


それは、この世界から争いを無くす為だった。



考えは立派だった。



大人達が、自ら進んで争いを繰り返している最中。


少年はそれが善くない事だと分かっていた。



しかし、少年にそんな力は無かった。


時として、力には力で立ち向かわねばならぬ事があった。



だからか。少年は洞窟にあった小さな祠にこう、願った。



少年「どうか、私に力を下さい。


その力で。私はこの争いをとめたいのです。


どうか、平和な世界の為に、、」



すると、大地が激しく揺れた。



少年は洞窟の中に埋まり、気を喪った。


その時にこんな夢を見た。



目の前には、大きな生き物が居た。


大きな生き物は、少年の頭に直接話をした。



大きな生き物「お前は、なんの為に力を欲する。」


少年「この世界を、変える為です。


争いの無い。平和な世界の為に、、」


大きな生き物「もしも、その力が手に入るのならば。


代償に、何を差し出す。」


少年は悩みました。



少年「私の、命を。」


大きな生き物「そんなもんは、つまらん。


お前はどうせ、このまま死ぬのだ。」


少年は考えた。



少年「私が成せるモノがあるとすれば。


それは、子しかありません。


私の国を築き、その民を生かす事です。」


大きな生き物「ほう。


ならば、それで良い。


お前の望みが叶った時。


力の代償として、お前の子と民の命を頂こう。」


少年「そんなぁ、。」


少年は深く、後悔をした。


大きな生き物「甘ったれるな!


愛する者は奪わんでやる。


争いが終わり、平和な世界になったら。


また。子を授かればよかろう。



何かを獲るのであれば。


それ相応の、"代償"が必要なのだ!


そんな覚悟も無いのならば。


直ちに我の前から消え去るが良い!」


少年「、、分かりました。」


少年は大きな生き物の言う通りにするしかなかった。



大きな生き物「約束。違えるなよ?


その時が来たら。再びお前の前に姿を見せよう!」


そう言うと、大きな笑い声と共に。


大きな生き物は何処かへ消えて行った。



少年が目を覚ますと。


まだ、暗闇の中だった。



少年は何とか立ち上がり、


力一杯に上に乗ったものを退かした。


少年「うぅあぁああ!!」


遮られていた光が入った時。


地面にうつった自分の影は、


何だか大きくなっていた気がした。



少年「、、いや。」


少年は振り返った。


自分が持ち上げたであろう岩を見た。


それは途轍もなく大きい頑丈な重い岩だった。



少年「ははははっ!」


少年は嬉しくなった。


少年は大きな生き物と約束を交わし。


代償と引き替えに、強い力を手に入れた。



少年はその強い力と逞しい身体で。


少しずつ小さな争いを止めて行った。



行く先々で、同志を得て。


次第に大きな纏まりへと成った。



あの頃の少年は、もうすっかり大人になり。


今や愛する者まで出来た。



大人になった少年は、愛する者を守る為に。


より一層、平和の為に歩んだ。



大人になった少年「やっとだ。」


燃え盛る城に、あの日の少年は居た。


大人になった少年「この場所に、我が国を築こう。」



『うぉおおおおお!!!』



民の声は、地を震わせた。


仲間「この国の新たなる王よ。


ご子息様が誕生致しました!」


まるで時を見計らったかの様に子が生まれ落ちた。


新たなる王「これは、、何と。」


抱き抱えた我が子は。


それはそれは美しかった。


その瞬間。


大地は揺れ。空が荒れ始めた。


新たなる王「我が子を頼む!」


仲間「はっ!」


燃えていた建物は、雷雨に吹き消され。


新たなる王の前にはいつか見た。


あの、大きな生き物が居た。


大きな生き物「約束を守りに来た!


随分と早かったなあ?」


新たなる王「強き者よ!


まだ少し。待ってはくれぬか?」


大きな生き物「新たなる王よ!


あの日の約束を、違えるのか!?」


新たなる王「まだ、彼女に伝えては居ないんだ。」


大きな生き物「、、ほう。


それは、酷な事をするものだ。


このまま黙って居れば良いではないか!」


新たなる王「"ケジメ"だ!


王として。いや。男として。


彼女と話させてくれ、、」


大きな生き物「では先に民を頂くとしよう!!」


仲間「新たなる王よ。これは一体、!」


大きな生き物「ヴゥオオオオオオ!!」


新たなる王は彼女の元へと走り出した。


民「王様、、助けてー!」


民「うわぁあああ!!!」


民「逃げろー!!!」


大きな生き物は、民を次々に食べて行った。


新たなる王「はっ、はっ、はっ、はっ!」


新たなる王は民を見棄て、走った。



新たなる王妃「何事ですか、」


我が子を抱き抱えている疲れきった彼女は。


小さな命を、懸命に。


その細い身体で、守ろうとしていた。


新たなる王「伝えて。なかった事が。ある、、」


新たなる王妃「こんな時に何を、?」


悲鳴と絶望が響く中。


男は女に真実を伝えた。


新たなる王妃「そんな、、」


新たなる王「すまん。。」


女は、子を男に渡した。


大きな生き物「どうだ。


終わったか?」


頭上を見上げると。大きな生き物が見下ろして居た。


新たなる王妃「我が子をどうするおつもりで。」


大きな生き物「どうしようか。」


新たなる王妃「民を食らい。


腹は膨れた事でしょう。


どうか。この子の命だけは奪わないで下さい、」


大きな生き物「お前にその様な事を言われる筋合いは無い!


だが、まあ。人間を食うのにも飽きた。


育ててみるのも、悪くは無いかもなあ。」


新たなる王「、、すまない。」


大きな生き物「ふん!


お前の言う平和な世界を。


争いの無い世界を。


遠方より、じっくりと見ているぞ?」


空が晴れ周りが静かになると。


その場所には、男と女以外。


何も居なくなっていた。

























「母さん」


王妃「なあに、?」


「俺。兄さんを必ず連れて帰って来るから。」


王妃「えぇ、」


王「お前には。


背負わなくても良いモノを背負わせてしまった、、」


「父さん。良いんだ。


俺が決めた事なんだ。」


王「本当に、すまない。」


「、、やめてくれよ。


父さんが居なければ。


この、平和な国は無かった。



どうにもならない事が。



この世界には、あるんだよ。」


王「、、。


身体に、気を付けてな。」



「母さん。行ってきます。」


王妃「行ってらっしゃい。」



俺は、兄さんを必ず連れて帰る。


あの、ドラゴンさえ居なければ。


母さんはもっと。


、、笑顔で居られたハズなのだから。



「兄さん。待ってろよ、」



王と王妃に新たに出来た子は。


2匹の龍を従えて。



兄を取り戻す旅に出掛けたのだった。























 





























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