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見感語  作者: 紀希
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笠掛け



「よお来たの?」


「ばあちゃん久しぶり。」


俺は軽く世間話をしながら、


大学の友達を紹介して挨拶を済ませる。



ばあちゃん「ここらはもう。


若いのは皆居なくなっての、、


移住してくれるかもしれない人達の、


宿泊施設みたいな場所になっとるんよ。」


『お邪魔しまーす』



俺は大学の友達と一緒に祖母の住む田舎へと向かった。


友達1「すごい良い所だな?」


友達2「雰囲気があって良い!」


友達3「良いなあ。こんな環境があって。」



今日この場所に来たのには、"理由"があった。



友達2「なあ。


何か【バズる】様なのねえかな?」


「バズるっつってもな。」


友達1「最近は迷惑なやつばっかりだからな。」


友達3「それはめんどいから避けたいな。」


友達2「流石に俺でもパスだわ。


そういうのじゃなくて、こぉ、、」


「大体どこも似たり寄ったりだよな。



新しい流行に早めに食い付いて。


地道にコツコツやっていくしかない。」


友達3「そもそもあれってさ。


俺はよく分からねんだけど、


何であんな事するんだろうな?」


友達2「そりゃあ、認証欲求で満たされたいから?」


「誰にも見て貰えないから?


ヤンチースタイル的な?」


友達1「親を含めた周りの人間に、


一度も注意された事ねえからじゃね??」


友達3「やっぱり、



"その人達が生きてきた環境"



ってのも少なからずあるよな?」


「良い事と悪い事の区別がつかないのはエグい。」


友達2「そもそも悪い事が悪いってのが無いんだろ。」


友達1「世も末だな、」


友達3「逆に、可哀想だけどな。」


友達1「まあな。」


友達3「俺達もそんな環境に産まれたら、


今頃。膨大な慰謝料とか抱えてんだろうな、」


「怖」


友達1「周りの環境に感謝だな。」


『だな』



友達2「何かねーかねぇ??


心スポとか、ヤバい遊びとかさぁ?」


「そう言えば、、」



ばあちゃん「それにしてもわざわざこの時期に、、」


「実はそれが目当てで来たんだよね。」


ばあちゃん「バカだねぇ、、全く。


近頃の若いのは、威勢だけは良いんだから。」


「俺はビビりだから無理だけどね。」


ばあちゃん「まあ、怖い目や痛い目に遭えば。


2度としたくも無くなるだろうに。



、、今の子供達は可哀想だよ。


世間体で周りには何も教えてはもらえず。


終いには、親にすら真面に叱ってはもらえない。



自分達で過ちを犯してから、


"一般常識"を知り得るしか無いのだから。」


「、、そうだね。」



この村には、年に一度の奇妙な風習がある。


それはある特定の季節の日に家の玄関に、


"笠"を掛けて置く事だ。


【笠】はよく昔話に出てくる様な、


頭に着けているお皿の様な帽子みたいのだ。


その晩。


一軒一軒。真夜中の家へ誰かが訪ねて来るそうだ。


『アケテー。イレテー。』


けれど、決して開けてはイケナイ。


ただ、それだけだった。



まあ、その風習を不気味がって。


なかなか移住者が来ないというのもあるらしい。



うっかりしていた俺は、


祖母の村の風習をつい話してしまった。


友達2「へぇー。


面白そうじゃん。」


友達1「まあまあヤヴァイやつじゃん。」


友達3「そういうのって4ぬやつやん草。」



こうして、今に至るのであった。



友達1「マジで何処の家も笠があったわ。」


友達2「


『怪奇現象の起こる家』


で、どうよ?」


「場所を伏せれば良いらしいよ。


ただ、撮れるかは分からないけどね。」


友達3「俺。パスなんだけど。」


友達2「何だよ。せっかく来たのに。」


「俺も悪いけど。」


友達1「何だよ2人きりかよ。」


友達2「お前なら付いてきてくれると思ったぜ!」


「因みに。やるなら隣の家でね。


はいっ、鍵。」


友達2「サンキュー。


訪ねて来て開けたら、、


そこには一体。何が居るのかね?」


友達1「そりゃあ、見てからのお楽しみでしょ。」


友達3「ある意味、カッケーよ。


迷惑炎上系はこういう奴等の事を言うんだろうな。」


友達1「それと一緒にすんなよ。


俺達は誰にも迷惑掛けて無いだろ?」


友達2「そうだそうだ!


風評被害だ!」


友達3「皆さ。誰かに見て貰いたかったり、


誰かに認めて貰いたいなら。


何か人に感謝される様な事とかで。


もっと別の事で。


自分達の活力を発揮したら良かったのにな?」


『それな』


「まあ、達者でな。」



こうして、夜を迎えた。



ばあちゃんの手作りの夕飯を皆で食べ。


友達1と友達2は違う家へと向かった。



ばあちゃん「本当にやるんかい?」


友達2「はい!」


ばあちゃん「あまりオススメはしないけど、」


友達1「"若気の至り"ってやつです。」


ばあちゃん「そうかい。


まあ。いろいろ経験したら良いさね。」



友達3「アイツ等大丈夫かね?」


「、、多分。


でもきっと"トラウマ"にはなるんじゃないかな?」



友達2「撮影よしっ!」


友達1「久しぶりに心臓がバクバクしてるよ。」



辺りの音が不気味な程に静かになると。


遠くの方から声がした。


友達3「、、アレか?」


「起きてたの?」


友達3「何か寝れなくて、」


「シカトしてれば大丈夫だから。」


その音はゆっくりと近付いて来た。



トントントン、


「アケテー」


トントントン、


「イレテー」


その声は子供の声に似ているが、


子供ではない何かの声だった。



平気なふりをしていたが。


奇妙な声に恐怖心が煽られる。


トントントン、


「アケテー」


トントントン、


「イレテー」


その声が直ぐ隣から聞こえた。



次だ。



心臓はバクバクと鼓動した。



トントントン、


俺等が泊まっている家の玄関の戸が叩かれた。


「アケテー」


友達3「、、入って来ないよな?」


「、、大丈夫なハズ。」


友達3「おいおぃ!


ハズって何だよ!」


友達3は小さな声で怒った。


きっと怖かったのだろう。


トントントン、


「イレテー」


友達3「ヒッ!」


こちらから開けなければ大丈夫なハズだ。


すると、その声の主は居なくなった。



友達3「はぁ、、


心臓にわりいよ。」


「次はアイツ等の家だな。」


友達3「あぁ。


さっきは悪かったな。」


「あぁ。


うん。」


頭の中は友達1と友達2の事でいっぱいだった。


トントントン、


「アケテー」


声がした。


だが。戸を開ける音はしなかった。


友達3「やっぱり、やめたのかね。」


トントントン、


「イレテー」


その瞬間。


ガラガラガラ!


勢い良く開いたであろう玄関から。


友達の声が聞こえた。


「いらっしゃーいっ!」


どちらかの声が聞こえると。


「う、っ!」


声にならない様な声が聞こえた。


友達3「ヤバくね、?」


ドドドドド!


「地震?」


友達3「、、足音。じゃね?」


何人。いや、何十人くらいの無数の足音が。


遠くの方から駆けて来る。


それが何処に向かっているのかも、


何となく。分かってしまった。


ドドドドド!



『ハイレター!ハイレター!ハイレター!』



無数の声は重なるようにして。


ただただ、同じ声を繰り返し嬉しそうにしていた。



俺達は恐怖で布団から出れなかった。



次の日の朝。


急いで友達の居る家に向かうと、


2人は玄関で倒れて居た。


友達3「おい!大丈夫か!??」


俺も、もう一人の友達を揺すり起こす。


「おい!おい!」


友達2「ん、、はっ!!」


何かを思い出したかの様に辺りを見渡す。


友達1も同じ様にして起きた。


友達1「んぅ、?!」


そこに。祖母がやって来た。


ばあちゃん「朝ごはん食べたら。


皆で家の中の掃除。頼むよ?」


友達3「ぅっ!」


友達1「マジかよ、、」


友達2「こりゃぁ。」


「、、どうなってんだ。」


玄関から見えた家の中は、壁や天井も含めて。


大小様々な足跡で埋め尽くされていた。

























友達1「やらなきゃ良かったわ。」


友達2「結局。動画撮れて無かったしな、」


友達3「まあ、良い機会だと思えば。」


俺達は家の掃除に追われていた。



もしかしたら。


俺達は大人に正しく注意されるのを、


本当は待っているのかも知れない。



だけどそんな大人が、、



今は。居ない。



大人達も大人に正しく注意されず。


そうやって連鎖して行き。


いつしか。


大人達は正しく叱る方法を知らなくなってしまった。



だからこんな状況になってしまったのかも、知れない。



言われなきゃ分からない事。


教えて貰わなきゃ分からない事。



俺達には、沢山。あるんだ。



例えそれがあなたにとって当たり前で。


例えそれがあなたにとって一般常識だったとしても。



俺達はそれらを知らない。



怒鳴り付けられて。


不機嫌そうに当たられて。


そんな態度を取られたら、


聞く気も失せてしまう。



「そんなもの、自分で学べ!」



終いには、そう言われてしまうかも知れないが。


分からないモノはどうやっても。


分かりようの無いのだ。



だって、それ自体が。


分からないのだから、、



分からない事は聞けない。



分からない事が。


分からないのだから。



いちから丁寧に教えてあげようとする優しさ。


分からない事を教えて貰おうとする気持ち。



先ずは互いに。歩み寄る所から、


必要なんじゃないかな、?



ばあちゃん「おむすび結んだから。


落ち着いたら、食べなさい。」



『はーい。


いただきまーす!』
























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