↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
67/96

第六十六話 繋がる異変



その日から、紡樹の胸は、幾度となく熱を持った。


一度目は、二上山を発って間もない頃。二度目は、麓の當麻の宿に泊まった夜。三度目は、つい先ほど。


「また、なのか……」


紡樹は、対紋の上からそっと手を当てた。熱はすぐに引いていくが、そのたびに、遠くで何かが起きているという、拭えない予感が募っていく。


「三回目、であります」阿形が真剣な顔で言った。「さすがに、偶然ではないと思うであります」


「妾もそう思うのじゃ」稲荷が頷いた。「結樹の奴、いったい何をしておるのか」


鏑木が、端末を操作しながら、眉をひそめた。


「……妙なニュースが、いくつか引っかかります」


「ニュース?」


「岡山県の鬼ノ城跡で、原因不明の地響きが観測されたと。それから、奈良県葛城山系で、登山者が『大勢の話し声のようなものを聞いた』という目撃談。……そして今日、東京・大手町の将門塚周辺で、一時的な停電と地震計の異常反応」


紡樹の背筋が、冷たくなった。


「それ、全部……」


「はい。おそらく、無関係ではないでしょう」鏑木は端末の画面を紡樹に見せた。「日付を並べると、紡樹さんの対紋が反応した時刻と、綺麗に重なっています」


宵が、青ざめた顔で呟いた。


「結樹、各地を回って……何かを、集めている?」


密迹が、懐の那羅延の欠片を強く握りしめた。


「あやつ、鬼ノ城、葛城、将門塚……いずれも、名のある無念の眠る地だな」


「語り部衆の力を、集めているのかもしれない」紡樹は、拳を握りしめた。「僕らの神使と、同じことを、あっちでもやってる」


葵が、静かに口を開いた。


「もしそうならば、次に会う時は、これまでとは比べ物にならない相手になっているだろうな」


紡樹は、皆の顔を見回した。


「約束、してくれたんだ。次に会う時は、ちゃんとお互い本気でぶつかれる状態にする、って。……それが、こういう意味だったなら」


紡樹は、深く息を吸い込んだ。


「僕らも、準備をしよう。負けないための準備を」


一行の間に、これまでとは違う、静かな緊張感が満ちていった。まだ見ぬ決戦の輪郭が、少しずつ、形を成し始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。