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OTRA VIDA  作者: 杜松沼 有瀬


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7.金属と彫金と合金と 7

「お前さんの気になったことの回答になったかの?」

「ん、ありがとう」

 四月朔日(ワタヌキ)さんたちと違うなって思ったところは答えてもらえたから頷くと、四月朔日さんもそうかと頷いた。

「それで、どうする? 合金の基本的な精製はさっき見せた通りじゃし、ほかの金属も基本的にはやり方は同じじゃ。品質をあげたけりゃ純度を上げるように工夫すりゃええ。これと同じ基礎炉は作業テーブルの付属じゃから、お前さんが使っとる工房でもできる。が、お前さんは植物をよく使っとるんか?」

「うん、むしってきたのを使ってる」

「それなら、工房に備え付けの素材棚に入れてないと、熱で植物の方がダメになる可能性があるから、必要な時にここの炉を使ってもええぞ」

 四月朔日さんがそう言いながら、僕が使ってる工房にも壁のところにあった棚を指で指した。かばんに詰め込んでたむしった草とかをとにかく詰め込んだあのたなと同じだけど、ここの棚にはいくつかのキラキラとした石が詰め込んである。

「あの棚も作業テーブルの付属じゃが、あの棚ん中につめときゃいくら室温が上がろうが、乾燥、湿潤しようが素材に影響は出んからの」

「そんな機能があったんだ」

「おう。棚のサイズもある程度融通が利くから、必要じゃったら調整するとええぞ」

 確かに、前回詰め込んだときに結構ぎゅうぎゅうに詰め込んだから、いくつかはつぶれてるかもしれない。次に工房に行ったら、作業テーブルのメニューから大きい棚にできるか確認してみよう。

 それにしても、室温か……。何も考えてなかったなぁ。

「ねぇ、金属の加工って、ここみたいに部屋が暑くなったりする?」

「どの程度作業するかによるじゃろうが……。鉱石から金属インゴットの鋳造をするんじゃったら確実に熱が篭るの。形を変えたり鍛造する場合も、大半が炉の中に一度入れてガッツリと熱したもんを叩いたりするからのぉ」

 うーん、これは……。

「アクセサリー用の金属加工って、もしかして難しい……?」

 今も煌々(こうこう)と燃えている炉。そこから立ち上る熱気は全く変わってなくて、相変わらず僕も四月朔日さんもいたるところから汗だくの状態で会話をしてる。

 ニニは、さっきの機敏な動きは何だったのかと思うくらいくてっと溶けてるし、この環境で細かいチェーンを作ったりとかは難しそうだなぁと感じた。

「うーん? ちょいとその辺はわしの範疇(はんちゅう)外でなぁ……。おそらく彫金関連になるとは思うんじゃが、門外漢(もんがいかん)すぎてのぅ……。いや、まてよ」

 困ったように頭をぽりぽりと掻いていた四月朔日さんは、どうしたもんかとぼやいていたかと思うと、何かを思いだしたように視線を揺らす。

「確か、知り合いの彫金師がこの鯖(イベントサーバー)に割り振られ取った気がするの。もしよければ、インゴット生成スキルもとれるじゃろうし、わしが彫金師と連絡を取っとる間に炉で鋳造(ちゅうぞう)してみんか?」

 それはありがたいかも。今渡してもらった……インゴット? でどれくらい作れるかもわからないし、始めてやるから失敗することを考えれば多めに作っておいて、余裕をもって作業する方がいいよね。

「うん、やってみる」

「そうかそうか。ほんならこっちにこい」

 四月朔日(ワタヌキ)さんに手招かせるままに近づいていくと、炉の熱気が肌を焼くような感覚を覚える。火を直接当てられたわけじゃないけど、熱さで浮かんだ汗が浮かんだ瞬間に揮発していくような感じがした。

「イーリクの比率は、ミッテルマビグ5に対してノーメラ2じゃ。この比率分は、慣れるまでは倉庫から比率分のグラムを取り出すんがよかろう。もしそれが手間だったり、倉庫がない場所でやるときは、計量スキルを取得すればおおよそが見ただけでわかるようになるぞ」

 メニューから、最近よく触るようになってきたスキルの項目を開いて、ずらっと並んだ項目を全部スルーして新規スキル取得の項目にタップする。相変わらず目が滑るくらい大量にあるスキルを絞り込み検索で検索したら、「計量」スキルがあった。

 似たようなので「計測」や「測量」とかがあったみたいだけど、計測って多分素材の重量とかを判別したりするのには使わなさそうだし、測量って確か家を建てる時に使う奴じゃなかったっけ。

 とりあえず今は計量だけでいいか。なんか使ったはずなのにどんどん増えてるSPを使って、計量スキルを習得する。

 計量スキルをとっても特に変わったことはなかったけど、ふと気になって手に持っていたインゴットって何グラムくらいあるんだろうと考えると、ふんわりと頭の中に「大体500g」って重さが浮かんできたので、大体鑑定と同じような使い方できるんだと思った。

「作業テーブルの設備に坩堝(るつぼ)っちゅーもんがある。これに鉱石を入れて炉にかけるんじゃ。こんときにゃ、この「坩堝トング(プライヤー)」と呼ばれるこいつを使うようにな。使わんと火傷してひどいことになるぞ」

「ん、ちょっと重たいね」

「そうだな、手元まで熱がこんように頑丈な素材で作られ取るから、ちぃとばかり重たいの。そいつで金属の入った坩堝を持ち上げにゃならん。もし落としそうなら危ないから、わしか手の空いとる男連中を呼べ。万が一ひっくりかえしたりしてもアレだしな」

 もう冷めてるらしい、さっきイーリクを作ってた器(坩堝っていうんだ、これ)を持ち上げると、この器も石でできてるのか、結構重たい。坩堝が空の状態で坩堝トングを使って持ち上げてみたけど、やっぱり重たかった。

 まあ、とはいっても一応手が震えたり、重たくてふらついたりって感じはしないから、ひとまずは大丈夫そう。入れた量によっては持ち上がらないかもしれないから、その時はカササギさんでも呼び出そうかな。

 ちらっと四月朔日さんを見ると、何かのウィンドウを開いて操作をしているから、多分彫金師に聞いてくれてるんだと思う。

 四月朔日さんが聞いてくれてる間に、実際にやってみよう。作業テーブルのメニューを開いて、倉庫の中から必要なものを取り出して鉱石を坩堝の中に入れて炉にかけて、その様子をじっと観察した。

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