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圭ちゃんのママから電話がかかって来たのは、昨日の夜の事だった。圭ちゃんが私に黙って家を出てから、数時間後の事だった。
圭ちゃんは私が刑事を襲った事を感じ取っていた。問い詰められる事はなかったけど、それでもばれていると思った。
勝手に鰐のマスクを借りて、見張っていた刑事を襲ったけど、相手が刑事であれば誰でも良かった。
私がこのような手段に出たのも圭ちゃんの為だった。刑事と鉢合わせ上手く逃げおおせてからの圭ちゃんは、それまでの圭ちゃんとは別人のようになってしまったからだ。
刑事を恐れ、アリゲーターマンになる事に怯えていた。
だから私が圭ちゃんの代わりに手を下してあげたのだ。
刑事の1人を刺したくらいで、どうにかなるなんて私も思っていなかった。でも、私がそうする事で、再び、圭ちゃんの気持ちが、正義という魂が燃えるのを期待した。だが無理だった。
事件のニュースを見ても、私に遠慮してか、尋ねる事すら避けていた。
あーダメダメじゃん。正直、そう思った。
そんな矢先、圭ちゃんのママから私に電話がかかって来た。
「草津温泉にいるから、圭介と一緒に来ない?」
という誘いだった。私は直ぐに2人で行く事を約束した。
勿論、この事は圭ちゃんには黙っておくつもりだった。
何故なら、圭ちゃんがアリゲーターマンになる事に及び腰になっているのは、圭ちゃんママやパパが生きているからだと私は考えていたからだ。2人の事を1番に心配し、だからこそ捕まる事を恐れていた。
そんな気持ちで正義なんて遂行出来る訳がない。私は思い、2人を殺す為、朝一で草津温泉へ向かう事を決めた。
なのに、深夜、車が戻って来た事に気づいた私は、その後に、あのような驚く事が待っているとは思いもしなかった。
私を呼びに来た圭ちゃんは明らかに動揺していた。
だから圭ちゃんを落ち着かせる為に、死体の処理は私がやると言ったのだ。
ラッキーな事に1人は生きていたから、充分に痛めつけてから殺害してやった。
各部位の切断は力と体力、そして忍耐力が必要な為、私は圭ちゃんが小屋から出て行ってから、しばらくして手を休めた。
2人の身体を細々と解体し、鰐が入った水槽の中へ捨てるとなると、私1人では朝になっても終わらないのは目に見えていた。
それでは朝一番のバスに乗って草津へ向かう事は出来ない。
だから私は太った方の死体の部位を切断した後、腹を裂き、内臓を引き摺り出した所で手を止めた。
微かにまだ息をしていたもう1人の男を殺す為に私はチェーンソーを手に取った。
防音設備は整っているけど、圭ちゃんは極力チェーンソーを使う事を拒んでいた。
私にも音漏れを危惧して使うなと忠告していたが、今の私に、ゆっくりとしている時間などなかった。
草津へ行き、圭ちゃんの両親を殺害する。この目的を果たす為に私はチェーンソーのエンジンをかけた。
乱れた息を吐く男の首へチェーンソーをあて、切り落とすと、次いでに四肢も切断しそれらを鰐の水槽の中へ捨てた。
チェーンソーを止め、時間を確かめた。このままでは、始発のバスには間に合わないと思った。私は死体をそのままにして、小屋を出ると急いでシャワーを浴びた。
着替えと財布が入ったバックは圭ちゃんの両親から電話が来た時点で一階に置いてある。私はそれに着替え静かに家を出た。
死体をほったらかしのまま、いなくなった事を圭ちゃんは怒るだろう。私が又、刑事を殺しに出たと思ってくれる事を願って、私は夜が開け始めた世界に身を投じ、バスに乗り込んだ。




