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 ①⑧⑦

小屋に2人をぶち込んだ後、マリヤを呼びに部屋に入った。


「マリヤ。仕事だ」


そう呼びかける圭介に、マリヤは珍しくベッドの上で小説を読んでいた。


「仕事だ」


2回目の呼びかけで、ようやく読んでいた文庫本を閉じた。


「そいつ、生きてるの?」


「あぁ。1人は死んでいるが、もう1人はまだ生きている」


「なら、お仕事張り切っちゃおうかなぁ」


マリヤはいいベッドから身体を起こした。


「小屋の中にいるんだよね?」


「そうだな」


「わかった」


マリヤはいい、上下薄手のパジャマを着たまま部屋から出て行った。


あの男に聞きたい事はあったが、圭介は疲れきっていた。突然の襲撃は心身を異常な程、疲弊させる。


とにかく今は暑いシャワーを浴びたかった。そして血飛沫で汚れた車も洗いたい。だが、それは明日で平気だろう。


圭介は熱いシャワーで、半身に浴びた血を洗い流した。


着替えを済ませ小屋へと向かった。


中から施錠はされてなく、その事に圭介は少しばかり苛ついた。


素早く身体を入れ中から施錠した。マリヤは処理班の男の肩口の傷へ向け、楽しそうドライバーを突き刺していた。


そんなマリヤ光景をみて、圭介は少し感心した。

処理班の男の声が漏れないよう、その口に、しっかりと猿轡をしていたのだ。


防音設備を整えているとはいえ、このような深夜帯では人の声は良く響くものだ。


車から小屋へ運び込む際、男が叫べないよう傷口と顔面を数回に渡り殴ってはいたが、圭介は猿轡を嵌める事は頭から抜け落ちていた。


突然の襲撃に気持ちが昂っていたのだろうが、防音設備に対して絶大な信頼を置くのは油断に他ならない。


圭介は再び、マリヤに感心しながらその行動を見守った。


後は好きにさせても良いだろう。マリヤの事だ。恐らくこの男を簡単に殺すような事はしないだろう。この瞬間にも、この男をどのように殺害すれば、自分は楽しめるか、考えているに違いない。


その間、圭介は、タイル床でうつ伏せになっている太ったハゲ頭を仰向けにした。


「マリヤ、こいつはどうする?」


「私が処理するから、置いておいて」


「わかった。けど、2人は大変じゃないか?」


「そんな事ないよ。仕事は久しぶりだし、身体も鈍ってるから、2人くらいが丁度いいかな」


「そうか」


圭介は太ったハゲ頭を見下ろした。


「こいつが英永剛だろ?」


そういい、マリヤが痛ぶっている男に視線を向けた。


「前回、俺に渡したのは偽物ってわけか。どの道、死ぬんだからこんな事言った所で無意味だが、悪いが前回の死体の件で取締役から連絡が来た。何かしら疑っていたようだ。だから俺にわざわざ連絡を寄越し死体の数を確認されたんだ。だから俺は取締役には正直に言ったよ。女と太ったハゲ頭の2体ですってな」


圭介が言うと痛みのせいか、それとも圭介が取締役にバラしたという嘘に対しての腹立ちかわからないが、圭介の眼を憎しみを込めて睨み返した。


「あんたらが何を企み、あのような嘘をつき、死体を用意したのか知らないし興味もないが、どの道、ラピッドから目をつけられたのだから、生い先短かっただろうな」


こちらを睨み付ける男にマリヤがドライバーで追い討ちをかける。傷口を刺す事に飽きたのか、男の右手首を掴み、床へ押し付けた。そこへ目掛けマリヤはドライバーを突き刺した。痛みに堪えきれず、男は両足をばたつかせ暴れた。その足がマリヤを蹴飛ばした。


慌てた圭介が男に近寄ろうとしたのを、マリヤは制止した。


「圭ちゃん、後は任せてくんない?」


「わかった」


圭介は早朝に又、顔を覗かせると告げて小屋から出て行った。


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