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ミキサーを複数購入後、自宅へ戻ると永剛は再び床板を外した。
指一本では少ないと思ったのだ。みっちーは青白い顔で額から大量の汗を垂らしていた。
針金で縛った指の付け根からの出血はかなり治って来ているようだった。
再び針金を切断し、残り9本になった手の指の付け根に順番に針金をキツく巻きつけていった。その間、みっちーは全く抗う事をしなかった。
指を切断された事によって、血圧が下がり気分が悪くなったのかも知れない。もしくはゴキブリを飲み込んでしまい、奴等に胃を食べられているのだろうか。
どちらにしても大人しくしているのは、こちらとしてもやりやすい上に、作業も捗る。
永剛は無表情のままみっちーの指を切断して行った。みっちーも切断鋏で指を切られて行く時はさすがに足掻いたが、最初程の威勢の良さはなかった。
一気に9本の指を切った為に、衣類入れの中が血塗れになった。みるみる内、みっちーの顔から血の気が引いて行く。うっすら開けられた目には生きている光は失われ欠けていた。
永剛は蓋も閉めず、9本の指を持って台所へと戻った。同じ要領で爪を剥がし、指の肉を削ぎ落とした。
骨は金槌で砕きミキサーに入れた。削いだ肉をみじん切りにすると、それをまとめて一気にミキサーへと入れた。
そしてミキサーのコードをコンセントに挿し、スイッチを入れる。あっという間にミキサーの内側が赤く染まった。
出来上がった物をコップに移し替えようとしたが、粘土みたいに粘着質過ぎてスプーンで掻き出さなければならなかった。
永剛はこの時点になってようやくある事に気がついた。何かをミキサーにかけるなら、牛乳とか水とか、そういった類の物を入れないといけなかったのだ。
永剛は力の無い溜め息をついてコップの底に沈んだ黒ずんだ硬い泥のような物をを見下ろした。
当然、このみっちーの指の残骸は、永剛が気にいるものではなかった。もっと柔らかい方がいい。
この上から水を足せば柔らかくなるのはわかっていた。だが永剛はそうはしなかった。再び、居間に戻り、切断工具を手に取った。
針金を使っての止血はするつもりはなかった。このままほっといてもどうせ死んでしまうと思ったからだ。だから永剛は構わずみっちーの足の指を切り落としていった。
体内にまだこんなにも血が残っているのかと思うほど、切断面から夥しい血が流れ出した。
みっちーは既に気絶していたが、切るたびに呻き声をあげた。血に塗れた10本の足の指を衣類入れケースから拾い上げると永剛はそれを持って台所へ戻った。
骨と肉を選り分けるのが面倒になり、そのままミキサーへ入れる。目分量で測った適当な量の水を入れスイッチを押した。
出来上がった赤黒い液体にまたもや永剛は肩を落とした。まるで腐ったトマトジュースだった。
永剛はそれをコップに入れ、手に持った。
居間へ行き、みっちーの口を縛っているロープを外した。みっちーの頬を数回叩くと薄っすらと目を開けた。顎を掴み、口を開けさせた。
そこへ出来たてほやほやの指ジュースを流し込んだ。
みっちーは一旦、それを飲んだが、直ぐに吐き出した。永剛は手でみっちーの頬を挟むとコップを無理矢理、口に押し付けた。牛乳か何かで誤魔化せば良かったか。そのような考えが浮かぶ中、みっちーは必死に口を閉じようとした。その態度に腹が立ち、一旦コップを置くと永剛はみっちーの目に拳を打ちつけた。3、4発殴るとみっちーは抗う事を止めた。
だらしなく口を開けたそこへ永剛は再びコップを持ち一気に流し込み手で口を塞いだ。みっちーはフグのように両頬を膨らませ口の中の足指ジュースを吐き出そうとした。永剛は口を塞いでいる手首を掴みみっちーの頭ごと押さえつけた。
「い、い、か、ら、飲めって」
みっちーは頭をふりながら足掻いた。そのせいで押さえ付けていた手の力が口から横へと逃げ、みっちーは足指ジュースを全て吐き出した。その吐いたジュースが衣類入れの壁に止まっていたゴキブリ達にかかり、慌てて逃げ出した。みるとこの中に入れていた腐った野菜はまだ大量に残っていた。
「こいつらも食わねーのか」
永剛はゆっくりと立ち上がった。身体を折り曲げ後ろ手に手足を縛られ全ての指を失った息絶え絶えのみっちーを見ていると、無性に腹が立った。
永剛は気が済むまでみっちーの顔面を踏み続けた。それが終わると永剛は台所へ戻り指の肉を削ぎ落とす為に使用した刃物を持って戻って来た。
再びロープで口を縛ると持って来た刃物でみっちーの頬を突き刺した。数ヶ所刺した後、
「さっきよりは、随分と呼吸しやすくなったんじゃない?」
といい、衣類入れの蓋をしめロックをかけた。床板を嵌め、畳を敷いた。
明日には死んでるかもだなぁ。
永剛は呟き、コップと刃物を洗う為に台所へと戻って行った。




