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 ①⑥⑥

抜糸が終わるまで仕事は休職扱いにされたので、朝は起きてからものんびりと過ごす事が出来た。


モーニングルーティンをこなし、トーストとベーコンエッグを作った。最近飲み始めたインスタントのブラックコーヒーを一口啜った後、永剛は窓を開けそこへ布団を干した。その後、畳を上げて床板を外す。


衣類入れの中には身体を折り曲げたみっちーの姿があった。蓋を踏んで見たが動くのはゴキブリ達だけだった。死んだふりなのか、本気で寝ているのかわからなかった。


永剛は手に持ったコーヒーカップを床に置き、衣類入れの蓋を開けた。


その周囲にいたゴキブリ達がワサワサと逃げ回り、みっちーからは微かだが寝息が聞こえた。


永剛は床に置いたカップを手に持ち、少しだけみっちーの顔に垂らした。が、コーヒーを入れて時間が経ったせいか、みっちーからは何の反応もなかった。


温くなかったのか?と永剛は思いみっちーが起きるまでコーヒーを垂らし続けた。耳の穴に入れたり目に垂らしているとみっちーはようやく目覚めたのか頭を振り首をもたげた。


「おはよう」


永剛の声に一瞬、戸惑いの表情を浮かべたが、直ぐに置かれている状況に気づき全身を使って暴れ始めた。

だが、剥がされた指の痛みなどで直ぐに痛みに苦悶の表情を浮かべ動く事はしなくなった。


永剛は作った朝食を持って来ると、こちらを睨みつけるみっちーの目の前でトーストを食べ始めた。パン粉がポロポロと落ちるのを卑屈な目で見返して来る。ベーコンエッグを顔の前に近づけ香りを嗅がしてやった。勿論、食べさせる気など更々なく恨めしそうにするみっちーを見下ろしながらゆっくりと頬張った。


手についたパン粉をみっちーに向かって払うと蓋を手に取った。再び蓋を閉められる事を恐れたのか、みっちーは何事やら呻きながら必死に身体を動かした。


「言いたい事はわかるよ。うん。けど、生憎、僕はそんな優しい奴じゃないんだよ」


永剛はいい、蓋を閉め忘れずにロックした。

板を嵌め、畳はそのままにして置いた。

眺めててこれほど楽しいものはない。

時間をみては又、覗いてやろう。


みっちーに助かる希望を持たせるべきかどうかまだ永剛は迷っていた。絶望感だけ与え続けるのも悪くはないが、僅かでも希望を持たせ、それを打ち砕く楽しさもある。


まぁ。殺すのはいつでも出来るから、しばらくは放置するのがいいかなと永剛は感じた。


1ヶ月近くの休み期間を使ってみっちーを殺害するのも、それはそれで楽しい行事になりそうだが、せめてあの女は拉致したかった。


けれど、いっぺんに2人を拉致し監禁するとなると、この家の床下では狭い気がした。それにこれだけ長い間、休めるのだから人間を潰すにあたり必要な事を見つけ出す為に時間を費やすいい機会でもある。


永剛は父が置いて行った工具を改めた。パイプやステンレス製の鋼線などを切断する為の工具と金槌、折りたたみ式のノコギリなどがあった。何に使うのかわからないが、輪の束になった針金も複数個あった。


工具類を見て、永剛の頭の中にはみっちーを殺害する為の絵図が浮かんで来た。


永剛は切断工具と針金を持ち、居間へ戻り床板を外した。衣類入れの蓋を取る。頭の中にある映像が永剛に君の悪い笑みを作らせた。


「あ、臭いなぁ。しょんべん漏らしたのか」


永剛が言うと、みっちーは首を持ち上げ、悲壮な目で見返して来た。その顔面をゆっくりと踏み付ける。


そして足を持ち上げると、力を込めて何度も踏み付けた。みっちーの目尻がみるみる腫れ上がり、鼻から血が流れ出した。息が切れる前に永剛は踏み付ける事を止めた。


床板に腰を下ろし、輪になった針金を手に取った。30センチくらいで切ると、ロープで結ってある手を掴んだ。足を突き出しみっちーの身体を押さえつけた。


今から自分の身に起こる事が予想出来たのか、みっちーが暴れ出した。永剛はすかさずみっちーの横腹を踏み付けた。


その後に人差し指の付け根に針金をキツく巻きつけた。この程度でどれだけ止血出来るかわからないが、それでも鬱血し始めたみっちーの人差し指を見て永剛は切断工具を手に取った。両腕を使い、切断工具の取手を広げ、先端のハサミの部分を指の付け根に当てた。


「ではでは。作業に取り掛かりますか」


嫌味なほどの笑みたたえ永剛は広げた切断工具を内側へと絞った。みっちーが抗い声を上げるが、永剛は構わず力を入れて行った。


針金はいとも簡単に切れたが、人間の指は自分が思っていた以上に力が必要で、中々切り落とす事が出来なかった。


それでも永剛は休み休みであったが、みっちーの人差し指を切り落とす事に成功した。切断されたその人差し指はみっちーの手の平へ転がると、這いずり回るゴキブリ達にぶつかり、衣類入れの底へ落ちた。


針金のおかげが、血は思ったよりも吹き出なかった。それでも指の付け根からは血が滴り落ちてう。止血自体に問題があるのは何となくわかってはいたが、どのように針金を使い、キツく縛れるかいまいちわからなかった。

まぁ、どのみち生かすつもりはないのだから出血しようが構いはしない。


永剛は切断した人差しを拾うと衣類入れの蓋を閉じ、床板を嵌めた。皮膚と脂肪、そして骨の切断面は歪だが、それでもこの指で試す事は出来る。永剛は指を持ってキッチンへ向かった。


まな板の上へ人差し指を置き、金槌を手に取った。切断した箇所をつまみ、指先へ向けて金槌を振り落とす。


「あ、爪」


永剛は一旦、手を止めペンチを取りに行った。

それを使い、爪を剥がした。


改めて金槌を持ち、指先を叩いた。金槌によって指先の皮膚が擦れ肉が削れていった。だが自分が思ったように潰す事は出来なかった。仕方なく永剛はまな板の上で爪の無い指先は指先を押し付け切断面を上に立てた状態にした。


金槌を包丁に持ち替え縦に指の肉を削ぎ落として行った。腐った鳥のササミのような指の肉をかき集め、それを金槌で叩いた。けれどただ平たく潰れるだけで永剛の思っているものとは程遠かった。手羽先を食したような人差し指の骨を摘み端と端を持ち、折ろうとしたが、固くて出来なかった。骨を捨てるのもいいが、出来ればそれすらも潰したかった。


指の肉も骨も細かく砕かない限り、無理そうだ。

その時、ふと閃いた。ミキサーを使えばいいんじゃないか。切断した部位を細かくしてミキサーにいれさえすれば肉片も骨も簡単に粉々になるじゃないか。


ただ、それは未だ永剛が執着している潰すという行為からは掛け離れていた。が、現実的に大型車や重機が倒れて来ない限り、人1人を潰す事のは至難だし不可能に近い話だった。


ビルを破壊する為に使用したりする鉄球のような物が自宅にあれば、まだ可能だろうが、金槌ごときでは出来る筈もなかった。人を殺し切断し、それをミキサーにかけ、ミンチ肉や、ネギトロ、ミックスジュースのようにすればいい。


永剛は解体した人差し指を眺めながらそのように思った。手を洗うと永剛は着替えを済ませ家を出た。大型家電店へ向かって車を走らせて行った。



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