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 ①⑥⑤

渋谷の病院に2週間入院した後、永剛は退院した。

退院時、先生から切り裂かれた箇所の抜糸は腫れが治ってからという話があり、約1ヶ月後に来て下さいと言われた。


「仕事復帰は出来ますが、抜糸が済むまで大きな口を開けて笑ったり、はしゃいだ会話は控えるように」


永剛は頷き、もらったマスクをしたまま病室を後にした。


銀行でお金を下ろし入院代を支払ってから車を取りに行った。こんな目にあったというのに、自分が2個週間分の駐車場代金を払うのが馬鹿らしく思えたが、払わなければ、帰る事さえ出来やしない。


沸々と怒りが込み上げる中、永剛は駐車場代金を支払い、車に乗り込んだ。エンジンをかけサイドブレーキを下ろす。アクセルに足を乗せた時、目の前に唾を吐きながら歩く1人の男を見かけた。


みっちーと呼ばれていた奴だった。永剛はそのままアクセルを強く踏み込み、みっちーを跳ね飛ばした。


急ブレーキをかけ車を止めると、トランクを開け、直ぐさま、車内から飛び降りた。男に駆け寄り担ぎ上げトランクの中へ押し込む。トランクを閉め急いで車に乗り込んだ。そのまま車を発進させた。


担ぎ上げた時。みっちーに意識があったかはわからなかった。だがそんな事はどうでも良かった。とにかくこのチャンスを逃してはいけない、という強い意志があっただけだった。


しばらく走った後で、永剛はパーキング付近に防犯カメラの類が設置されていたかも知れないと思い、車を止めた。もしあったならみっちーを跳ね拉致した場面も写されているかも知れない。そうなれば、直ぐに足がつく。


やばいなと永剛は思った。感情に身を任せ過ぎたかも知れない。永剛はクソっと小さく吐き捨て車から降りた。歩いて先程の場所へと引き返す。

カメラらしき物は見当たらず、永剛は心底ホッとした。そして車へ戻り、静岡へ向けて走り出した。


一度だけパーキングで止まり軽く昼食を取った。トイレに行き用を済ますと駐車場へ行き、トランクの前に立った。みっちーが生きているなら、暴れていてもおかしくないと思ったが、今は静かにしているようだ。携帯を取り出し三代子さんにメールをした。自分の身に起きた事を伝えると車に乗り込んだ。


走り出して直ぐに三代子さんから返信が届いたが、運転中だった為に直ぐには返信しなかった。


夕方に静岡につくと、永剛はメールを返信し、小さな町の工具店に入り、バールを購入した。


みっちーがトランクを開けた瞬間、襲いかかって来る事を想定したバールの購入だった。

その後で大型のデパートへ入り、1番大きなプラスチックの衣類入れケースを購入した。


みっちーを取り逃す事を恐れた永剛は直ぐに自宅へ戻る事はせず、人気の少ない場所で路駐した。


マスクを外しバックミラーに自分の顔を写した。まだ腫れぼったい顔に紫色した傷口が生々しかった。刺された頬の傷口は縫い合わせたせいかエクボのように凹んでいる。そんな自分の顔を見ているだけで怒りが込み上げて来る。


今すぐトランクを開けみっちーを殺してやりたかった。だが永剛はその気持ちを抑えた。バールを持ち車から降りて山の中へ入った。地面や木々へ向けては幾度となくバールを振り落とした。


気持ちが治ると車を出し別な場所へと移動した。そしてそこで又、時間を潰した。


移動するのは出来るだけ一目に付かない為だった。長い時間止まっていたら、近所の農家の人間に不審がられてしまう。それを避ける為だった。


深夜自宅へ戻ると、バールを握り締めたままトランクを開けた。同時にトランクの蓋が中から一気に押し上げられた。永剛は身を乗り出したみっちーの背後から後頭部目掛け振り上げたバールを叩き落とした。プラスチックを潰した時のように、ポコっという乾いた軽い音がして、みっちーはそのまま地面へと倒れた。頭部から吹き出す血を塞ぐ為、永剛はみっちーの上着を引き上げ巾着袋のようにみっちーの頭部を包んだ。


一旦、バールをトランクの中へしまいみっちーの両脚を持ち上げ、家の中へと引きずって行った。


風呂場で裸にした後、後ろ手に手首と足首を繋ぐようにロープで縛りつけた。口にはタオルを押し込みその上からロープを結んだ。


バケツに水を入れ、みっちーの頭へぶちまけた。それでも意識が戻らなかった。永剛はペンチを持って来ると、みっちーの腹部を蹴飛ばした。その後で腰を下ろし足の親指の爪を摘んだ。


「みっちー?」


痛む頬に触れながら呼んでみるが返事はない。顔を覗き込むが、まだ瞼は閉じられたままだった。


「いつまで寝てんだよ」


永剛は爪を挟んだペンチを握る手に力をいれた。手を押さえ力任せに引き上げ親指の爪を剥がした。

と、同時にみっちーの身体が小刻みに震え出した。再び顔を覗き込むと目に涙を溜めたみっちーが口を動かしていた。何事か言っていたが、言葉がくぐもっていて何を言っているのか、聞き取れなかった。


「やぁ。みっちー。お久しぶり。元気そうで何よりだよ」


マスクを外しながら再び顔を覗き込んだ。


「まさかこの顔を忘れたわけじゃないよね?ようやく腫れは引いて来たけど、まだ、かなり痛いんだよね。あ、そうだ」


永剛はいうと一旦、風呂場から出て行った。


戻って来た永剛の手には裁縫などて使われるような、針が沢山、握られていた。


「実は小さい頃にさ。鍼灸師になりたかったんだ」


永剛はいい、針を一本摘むと、みっちーの太腿に突き刺した。それをゆっくりと押し込んで行く。みっちーが苦痛に喘ぎ、逃げようともがくと永剛はすぐさまみっちーの顔面を、足の裏で蹴り飛ばした。


「動くと余計に痛いと思うよ」


永剛はいい、爪を剥いだ足の親指を針で突いた。みっちーはタイルの上で激しくのたうちまわった。その姿を見て永剛はゲラゲラと笑った。


「痛い?痛いよねぇ」


永剛は風呂釜の縁に針を置いてからロープで縛った両足首を脇に挟んだ。一本掴むと爪と皮膚の隙間に針を突き立てた。辺りを見渡し、風呂桶を掴みそれをハンマー代わりにして突き立てた針を一気に打ち込んだ。


唸り、身悶えするみっちーに苛立ち、さらに針を取ると、爪を剥いだ親指を摘み、そこへ突き刺した。


痛みを拡散したいのかのみっちーは自らの頭を風呂場の床にぶつけ始めた。


「じっとしてなきゃダメじゃん」


永剛はいい、新たな針を摘むと別な足指を持ち上げた。そして再び、爪の隙間に針を刺し、桶桶を使って打ち込んだ。片足が終わる頃には完全にみっちーは気を失った。


「起きてると起きてるで、いちいち暴れてウザいし、気を失うとこれはこれでムカつくなぁ」


それでも永剛は針を爪の隙間に打ち込む事はやめなかった。全ての足が終わる頃には、

みっちーは口から泡を吹いて白目を剥いていた。


ショック死?と永剛は思ったが、微かに息はあった。この程度で死ぬわけないよな。だって、お前はみっちーだし。皆んなに慕われてるみっちーなんだからさ。


永剛はみっちーの口から縄を解き、タオルを取り出した。嘔吐して喉を詰まらせて貰っても困る。独り言をいいながら永剛は買って来たプラスチック製の衣類入れを取りに行った。


キャスター付きのそれの蓋を取り外し、押しながら風呂場へと戻った。廊下に徘徊していたゴキブリ達が一斉に左右へと逃げ出して行った。永剛は風呂場からみっちーを抱え出てその衣類入れに押し込んだ。


リビングへ押していきそこに置いてから居間の布団を上げた。バールで畳を持ち上げ、その下の板を外す。ギリギリ衣類入れは入りそうだった。永剛はみっちーを入れた透明な衣類入れをゆっくりと床下へ下ろしていった。


その後で衣類入れの蓋に空気穴を開ける為にドライバーを利用した。壁に立て掛け蓋へ向けてドライバーを突き刺した。何十個もの穴を開け終えると永剛の身体から汗が滲み出していた。


「これで大丈夫かな」


腕で汗を拭った後、家中に蔓延るゴキブリ達を捕らえては衣類入れの中へ落とした。大量のゴキブリ達がみっちーの身体を徘徊しているのを眺めていると、急に笑いが込み上げて来た。


入院している間、放置されていた生野菜を冷蔵庫から取り出す。全て黄ばんで萎びているが、ゴキブリが食べるのだから何も問題ないだろう。永剛はその野菜をみっちーの上へ投げつけると空気穴を作った衣類入れの蓋を閉めた。ロックした後に永剛は床板を嵌め畳を戻した。そして風呂場へ戻り風呂を沸かす間、床に広がった血を洗い流した。


濡れた頭をタオルで頭を拭きながら、上げていた布団を敷き直した。床下では呻き声ともがく音が聞こえるが、外に漏れる程ではない。


みっちーが痛めた足で衣類入れを蹴り上げ破壊する懸念もあったがそう簡単にロックは外れやしないだろう。


例え外れたとしても床下から外へと出られるとは思えなかった。床下に人間1人通れる隙間がある家なんてあるわけがない。それこそモグラかミミズのように土の中を掘り続けるしか逃げられる方法はないだろう。


永剛は部屋の明かりを消し布団の上に寝転び目を閉じた。


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