①⑤③
仕事は上手くやった。そう思っていた。
新田美子に反撃される事もなく、素早く、そして手際よくやったつもりでいた。
だが、後日、田山さんから直接電話があり、
今後、あのような真似をしたら、依頼はしないと忠告された。
「あのような真似とは何を指しているんですか?」
「わかりませんか?」
「はい」
「性的暴行の事です」
「あぁ」
永剛はやっぱりと思った。だがあえてしらばっくれてみたわけだが、案の定、田山さんからはそのような答えが返って来た。
「全て処理するので、英君の精液がターゲットの膣内に残っていようが、噛み切った乳首が見つからなかろうが、そんな事はどうでもよいのです。屍姦が英君の性的嗜好であるのならそれはそれで仕方ありません。ですが、私達が問題とするのは、ターゲットに屈辱を味合わせる為に、私達が存在している訳ではないという事です。つまり、暴行をしたいのであればすれば良いでしょう。殺害しその死体を愛たいのであればそうすれば良いでしょう。ただし、それは個人的にしていただきたいものです。殺害するのだからターゲットをどのように扱おうが勝手じゃないか、そう思うのも仕方ありません。ですが、これは1分1秒とて無駄に出来ない仕事なのです。英君が死姦している時間があれば、それだけ処理する時間も早くなる。速やかに行動をしなければ全てが台無しになってしまいます。英君の余計な思惑のせいで、その分、現場で待機して下さっている処理班の人達が被害を被る可能性が高まるわけです。今後は無駄に刺し傷を増やしたり死姦したりたりせず、素早くターゲットを殺害。即、退避を心がけて下さい。よろしくお願いします」
田山さんは、否、田山相談役は言うと永剛の言い訳を待たずに電話を切った。
まぁ、実際、言い訳など何もないのだが、あの時は本能でそうしたかっただけだ。
今回の事でしばらく依頼はされないだろうなと永剛は思った。けど田山相談役の言葉に希望というか光というか、永剛にとっては都合の良い言葉が含まれていたのを、永剛は聴き逃さなかった。田山相談役は死姦したいのであれば、個人的にすれば良いと言った。それはつまり、永剛が誰をターゲットにし殺害しようが、好きにすれば良いと言っているようなものだ。
言葉のあや、と田山相談役は言うかも知れない。だがそんなのは知った事ではない。
あやだろうが何だろうが、ラピッドのトップにいる人間が永剛に好きにしろと許可を出したのだ。永剛はラピッドに席を置いた時から危惧していた事に、この瞬間、解放されたと思った。
そうだ。僕は僕の好きにすればいい。ラピッドの依頼の時だけ、ルールを守ってさえいれば、何も問題はない。永剛は込み上げてくる笑いを堪えながら、横になった。
そして誰を殺そうかなぁと呟きながらチカチカと明滅し始めた蛍光灯を見上げながら、股間へと手を伸ばしていった。




