第95話 ヤトノのお披露目
いつもご覧頂きありがとうございます。
おはようございます。
異世界15日目の朝です。
今日も朝から体がダルいです(汗)
若干腰も痛い(汗)
(体調不良の理由は、まあ、わかっているので、いつもの治癒魔法4点セットを発動します。)
ふう、だるさと痛みが取れました。
魔法さまさまだね!
異世界ものの物語の勇者が旅に回復役を連れて行く理由がよくわかります。
正直、回復魔法がないと魔物との戦い以前に長旅に耐えられないのでは?
横を見ると左右にチャロンとヤトノがまだぐっすりと眠っている。
昨夜は皆で頑張ったからね(汗)
きっと疲れたに違いない(汗)
2人にそっと治癒魔法4点セットをかけておこう、
と心の中で呟くと、チャロンとヤトノにも魔法をかける。
「ムニャムニャ、おはようございます、タクさん。」
「おはようチャロン。起こしちゃったかい?」
「いいえ、ちょうど目が覚めそうなタイミングでタクさんの魔力を感じましたので。
きっといつもの治癒魔法をかけてくれたのかな、と思って起きちゃいました。
魔法ありがとうございます。」
「いいんだよ。体調はどうだい?」
「はい!タクさんの魔法のおかげで疲れもなくて快調ですよ!」
とチャロンが弾けるような笑顔で答える。
うん、やっぱりチャロンは可愛いね!
僕はチャロンを優しく抱き寄せて軽くキスすると、
「さあ、朝の支度をしようかな?
ヤトノもそのうち起きるだろう。」
「ですね! 朝のお風呂の支度をしてきますね!」
と、チャロンがベッドを出てお風呂場にパタパタと歩いていく。
その足音で目覚めたのか、
「うーん、ご主人様おはようございます。
あと、治癒魔法と回復魔法をありがとうございます。」
「起きたかい、ヤトノ?
体調はどう?」
「はい!元気ですよ!
御主人様の魔法はよく効きますね!」
「それはよかったよ。
さあ、皆でお風呂に入って朝の支度をしようか?」
「はい!朝のご奉仕もおまかせくださいね!」
「う、うん(汗)
よろしくお願いするよ(汗)」
その後、お風呂でチャロンとヤトノからこってりと搾り取られた僕が、今朝2度目の回復魔法のお世話になったのは言うまでもない(汗)
◆◇
朝の支度を終えて、スノーとクロロに朝ごはんを与えたあと、僕たち3人は別館の食堂に移動する。
ヤトノはもちろん白蛇に変身して僕の左腕に巻き付いている。
食堂には高校生達が既に集まって朝食を食べているが、カップル数は相変わらず変化は無いようだ。
訓練期間が今日でちょうど半分だが、皆の成長ぶりはどうなのだろう?
いつもの3人とマモル君以外はチェックできてないから気になるね(汗)
心なしか騎士ボーイと格闘戦士ボーイは生傷が多いのだが大丈夫だろうか?
きっと聖ちゃんと萌ちゃんに治療を拒否されている影響だね。
まあ、自業自得?なのかな(汗)
彼らに治癒魔法と回復魔法のネックレスを渡すと本当に調子に乗って無茶しそうだから、安易に渡さない方がいいかもね(汗)
チャロンと一緒にいつもの朝セットを注文する。
もちろん3人分である。
席についていただきますをしたら、ヤトノは慣れた様子でテーブルに降りて尻尾でフォークを掴んでパクパクと食べ始める。
ヤトノの正体?実体?を知ったから、もはや蛇に見えなくなってきたぞ(汗)
◆◇
朝食を終えて食堂を出ると、女子高生3人組に声をかけられる。
3人とも昨日調達した服を着てご機嫌の様子である。
うん、よく似合っているぞ!
「おはようございます、タク先輩。
今日のご予定はどんな感じですか?」
「そうだね。午前中は部屋と城内でちょっと用事を済ませたら、昼前から街に出かけようかと思っているよ。
昨日言ってた用事を済まそうと思ってね。」
「じゃあ、私達も一緒に行っていいですか?」
「もちろんだとも。
朝の用事が終わったら声をかけるよ。
昨日みたいにクロロに伝言のお使いを頼むから、この別館のロビーで集合しよう。」
「わかりました! クロロちゃんを待ってますね!」
と3人とも元気よく去って行った。
「さて、僕達も仕事するかな?」
「ですね!」
と僕達も部屋に戻る。
さあ、今日も忙しくなりそうだぞ(汗)
◇◆
部屋に戻った僕達は早速作業に取りかかる。
「今日はポーチ作りだね。
昨日みたいに分業しながらやって行こうか?」
「はい!」
「じゃあ、早速作業に取り掛かろう!」
僕達は革と裁縫道具を部屋の床に広げると、分業しながら作業に取りかかる。
僕が見本となる革のパーツを作ると、ヤトノとチャロンで同じパーツを皮をカットして作っていく。
僕は「お針子」と「革細工」スキルを使ってそれらを縫い合わせて、ポーチを作っていく。
「革細工」スキルはまだ初級だけど、「お針子」スキルは中級なので、チャロン達に追いつかれることなく、なんとかポーチを革紐で縫い上げていく。
まあポーチ自体がそんなに大きくないからね。
ポーチを100セット縫い上げたら、手持ちの鉄くずを使って作った「8番格納庫」のロゴ模様の焼きごてで、ポーチの表面にロゴを焼き付けていく。
この作業には手持ちの「点火」の魔導具が大活躍である。
ロゴ焼付作業をチャロン達に任せると、僕は作ったばかりのポーチに空間魔法を付与していく。
容量は50L、もちろん時間経過停止機能の無い、超廉価版である。
とは言ってもケン君が結構な値段で売りさばくんだろうけどね。
最後に「目利き」で魔法の付与を確認したら終了だ。
ここまで約2時間程度の経過である。
「ふう、なんとかできたね。
革の縫い物があったから時間がかかってしまったよ。」
「それでもかなりの早さですよ。
流石はタクさんです!」
「そうですよ!魔族の私でもビックリです!」
とヤトノも同意する。
「あ、タクさん、またケンさん達の分を忘れてますよ?
ポーチもあったほうがよくないですか?」
「あ、そうだね。忘れてたよ(汗)
サクッと作ってしまおう。」
と、僕達は追加でケン君とクリスさんの分を作る。
「ケン君達には、僕達と同じ機能のものをプレゼントしよう。」
と言って、容量1,000L、時間経過停止機能付で魔法を付与しておく。
きっと喜んでくれるだろう。
「これで終わりかな?
とりあえず、初回納品分としては十分だろう。」
「そうですね。今日は魔導具作りはこれくらいにして、もう出かけますか?」
「いや、もう一つお試しで作りたい魔道具があるんだよ。」
「お試しですか?」
「ああ、昨日ヤトノに教えてもらった念話の魔導具さ。
とりあえず、できるかどうかだけ試しておきたくてね。」
「なるほどですね。どんな感じの魔導具になるんですか?」
「うーん、常に身に付けておけるような形がいいかな?
腕輪とか、ネックレスとか、イヤリングとか。
でも既にネックレスはしているし、チャロンとおそろいの腕輪もあるからね。
あまりアクセサリーをジャラジャラさせたくないんだよね。戦闘の邪魔になるからね。」
と言って、少し考える。
元の世界で通信と言えば携帯電話と言うかスマホが主流だけど、スマホサイズの物体をずっと持っておくのも邪魔だし、非効率だよね。
もう少し通話というか念話プラスαくらいに機能を限定して小型かつウェアラブルにできないかな?
元の世界でそんな道具は無かったかな・・、
と考えていたらアイデアが閃いた。
「そっか、スマホがだめならスマートウォッチでどうだ?
腕時計のように身につけておけば、そんなに邪魔にはならないだろう。」
というと、僕は腕時計サイズの丸型の魔力バッテリーを「物体作成」スキルで作る。
これにリストバンドを通す金物を付けて、革で作ったリストバンドを取り付ければ、魔導具の本体は完成だ。
魔力バッテリーより革のリストバンドを作るほうが大変だったが(汗)
出来上がった本体に付与魔法を使って「念話」のスキルを付与する。
とりあえず、僕が作った魔導具同士なら念話が通じるイメージで魔法を付与しておこう。
あと、個別の呼び出しも可能なイメージもオプションで付与しておこう。
付与魔法を使うといつものキラキラエフェクトがかかったので、問題ないだろう。
出来上がった魔導具を「目利き」で確認すると、
・念話のリストバンド(魔道具)(中級):
同じ魔道具を保有する者同士で念話ができる。
2人以上の複数と同時に念話が可能。
(会話前の呼び出しにより、個別の念話も可能)
念話可能距離は約3km。
と表示された。
うん、狙ったとおりに作製できたようだ。
念話可能距離は約3kmとヤトノの念話の能力には劣るが、通常の冒険なら問題ないレベルであろう。
今は魔導具のレベルは中級だけど、僕の念話のレベルがアップすれば上書きできるだろうしね。
「2人ともいい感じでできたよ!」
と言ってチャロンとヤトノに念話のリストバンドの機能について説明する。
「これはすごいですね!
このリストバンドを着用すれば誰でも念話が使えるってことですよね?
私とヤトノちゃんとスノーちゃん、クロロちゃん、それと亜季さん達みんなの分を作りましょう。
皆で着用しておけば、野外で冒険者として活動している時にとても便利になりますよ!」
とチャロンが大喜びである。
「そうだね。じゃあ、サクッと作ってしまうかな。
また革細工のお手伝いをしてくれるかい?」
「「はい!」」
と元気よく返事をする2人に手伝ってもらいながら、他のメンバーと従魔達の分を作る。
ついでにケン君達の分も含めて予備も10個くらい作っておこう。
戦闘中に壊れたりするかもしれないしね。
スノーとアッシュの分はリストバンド型ではなく、すでにある首輪に追加してぶら下げるタイプにしよう。
クロロとマイティの分は足輪タイプだね。
まあ、それしか着用方法がないしね。
「あ、ついでにヤトノにも治癒魔法4点セットのネックレスを作っておこうね。
人型になれるならネックレスを着用できるしね。」
と他のメンバーと同じ「治療」「治癒」「解毒」「回復」の機能を付与したネックレスを作る。
ネックレス本体のデザインは本人の希望でバッジの魔道具と同じものにした。
「できたね!これで今日の魔道具作りは終了かな?
早速念話の魔道具を試してみよう!」
僕達3人とスノーとクロロで、完成したばかりの念話の魔道具を早速試す。
個別の念話も複数人同時の念話も問題なくできるようだ。
チャロンも僕達と従魔と同時に念話ができてとても楽しそうだ。
とは言っても、従魔達はあまり複雑な会話は元々できないけどね(汗)
「うん、いい感じで念話ができるようになったね。
これは野外の行動中で役に立ちそうだ。
狩猟や護衛の活動がしやすくなるね。」
「ですね!ですが、これはちょっと便利すぎます。
騎士団や諜報部門の人達にしてみれば、欲しくてしかたの無い道具になるでしょう。
離れた距離で内緒の話ができちゃいますからね。
この道具の存在が知られると王家が独占しようとするでしょう。
そうなるとタクさんの囲い込みというか飼い殺しが現実の話になってしまいます。
これは私達だけの秘密にしたほうがいいですね。」
とチャロンが念話の魔導具を褒めつつも、警戒感を口にする。
「それはそうだね。
当面は僕達と亜季ちゃん達3人組だけの秘密にしておこう。
次にお城の外に出た時にでもこそっと渡すようにしようかな。」
「それがいいですね!
それではこれから次の用事の準備をしますか?
商業ギルドに行って商会の登録をしないといけませんしね。」
「そうだね。じゃあ、亜季ちゃん達に連絡するかな?
クロロは亜季ちゃん達を探してこのメモを見せてきてくれるかい?」
と、『外出します。別館ロビーに集合してください。タクより。』と書いたメモをクロロに持たせると窓を開けて飛んで行かせる。
「さあ、外出準備をしよう。
せっかくだから今日のお昼ご飯は王都の街で食べてみないかい?」
「賛成です!」「いいですね!」
とチャロンもヤトノもお昼ご飯の話をするととても嬉しそうだ!
僕も魔導具作りで魔力を大量消費したから、たくさん食べて回復しないとね!
◇◆
クロロのおかげで無事に亜季ちゃん達と合流できたので、お城を出て王都の街に向かって歩いている。
女子たちは新しく入手した魔女っ娘服や袴スタイルでお出かけしたかったようだが、今日は冒険者ギルドにも立ち寄る予定だったのでいつもの戦闘服スタイルで統一することにした。
下手に目立っていつもの自称一流冒険者達にからまれるのも面倒だからね。
まあ、格闘技大会当日になればケン君がど派手に宣伝してくれるだろう、きっと。
ちなみに、昨夜デザインした騎士団用の制服のデザインと僕の私服のデザインは出かける前に服飾工房のチーフデザイナーに渡しておいた。
チーフはとても喜んでくれて、騎士団用の服は早速縫製して今日からの展示会に出品するらしい。
もちろん僕の私服もオーダーしておいた。
できるだけ早く作ってくれるそうだ。
楽しみにしておこう。
お城を出て10分ほど歩き、城門から僕たちの姿が視認出来ないくらいの距離を歩いたところで、僕はアカネちゃんに、
「アカネちゃん、悪いけど「気配察知」で周囲に人が潜んでいないかどうか確認してくれないかい?」
「はい!、わかりました!」
と、アカネちゃんはスキルを使って周囲を確認する。
もちろん僕もクロロとスノーとの感覚共有で周囲を探索する。
これからしようとしている事は誰にも見られたくないからね。
「タク先輩、周囲に怪しい人影はありませんよ!」
「了解、ありがとう。
じゃあみんなそこの木陰に集まってくれるかな?」
と皆を道路脇の木の傍に呼び寄せる。
「実は皆に内緒にしていたことがあるんだよ。
今から説明するから驚かないで聞いてくれるかな?」
とこれからサプライズが発生することを予鈴する。
「わかりました。タク先輩のことですから、予想を超えた話で驚かせてくれるとは思いますが、一応驚かないようにします。」
と亜季ちゃんがジト目で答えてくれる(汗)
悪いけど驚くと思うよ(汗)
「実は皆に紹介したい人がいてね。
今から出てきてもらうから驚かないでね。」
と言うと、亜季ちゃん達は不思議そうな表情で「「「はぁ・・。」」」と答える。
そりゃ、たった今周囲に人がいないことを確認したばかりだからね。
僕は念話でヤトノに
『じゃあ、元の姿に戻ってくれるかい?』
とGoサインを出す。
ヤトノは『わかりました!』と元気よく答えると、僕の腕からスルリと離れて地面に降りると、白い煙に包まれて蛇の姿から元の姿に戻る作業を発動する。
白い煙が消えたと思ったら、そこには僕達と同じOD色の戦闘服に身を包んだヤトノの姿があった。
ヤトノはドヤ顔でポーズを決めながら、
「女子チームの皆さん! この姿では初めまして!
ご主人様の忠実な従魔のヤトノですよ!」
とウインクしながら可愛い声で自己紹介しながら登場する。
うーん、可愛いけどちょっと刺激が強すぎるぞ!
いったいどこでそんなノリを覚えたんだ?
そんな姿を見せられたら、今夜のお務めが楽しみになってしまうじゃないか!
突然現れたヤトノと名乗る美少女に、亜季ちゃん達が、
「「「えええ〜!ヤトノちゃんなの!」」」
と驚いたことは言うまでもない。
さあ、理由を説明しないといけないね(汗)
◆◇
突然の美少女の登場に驚きを隠せなかった女子高生3人組であったが、僕はともかくチャロンが「この娘は間違いなくヤトノちゃんですよ。」と言うと、ようやく落ち着きを取り戻してくれたので、ヤトノがここに来るまでの経緯についてざっと説明する。
一通りの説明を聞いた亜季ちゃんが、
「わかりました。
にわかには信じられませんが、ここは私達がいた元の世界とは違いますからね。
人族とは別の種族や、姿を変化できる種族がいても不思議ではないのでしょう。
ところでですが、ヤトノちゃんはどうやって魔力を回復できたのですか?
このあたりが東の森林地帯と違って魔力が薄い環境なら、短期間で魔力を回復するのは困難だと思うのですが?」
と質問してくる。
う!、そこに気づいてしまうとは!
あまり触れられたくない話なんですけど!(汗)
まさか僕のアレが魔力回復に云々とは言いづらいじゃないか!
「えー、あー、うー、それはだね・・、」
と思わずいい淀んでいると、横からヤトノが、
「キャ!、恥ずかしいのですが、ご主人さまの精力を少し分けて頂きまして(ポッ)。
ご主人さまのアレには魔力がタップリと含まれてまして、おかげさまで魔力を回復することができました!
チャロンお姉さんと一緒に頑張ってお務めした甲斐がありました!キャ!」
と頬を赤らめながら空気を読まずに嬉しそうに回答する。
ああ!そんなハッキリと言ってしまうなんて!
亜季ちゃんの表情が既にアンゴルモアゾーンに入りかけているじゃないか!
「タク先輩、まさかとは思いますが、ヤトノちゃんに手をつけたってことはないですよね?
昨日の朝も今朝もやたらと表情が疲れて見えたのは、チャロンさんとヤトノちゃん相手に頑張り過ぎたってことはないですよね??」
と、亜季ちゃんが能面のような表情で冷静に質問してきたぞ!
ああ、これは怒りが沸点を超えて1周回って冷静になってしまった状態では!?
これは下手にごまかすと逆に怒りを買ってしまうパターンに違いない!
ここは素直に真実を語るしかない!
「じ、実はだね・・。」
と言い訳を諦めて覚悟を決めて素直に語り始めたところで、
「はい!ご主人さまには既に可愛がってもらっています!
私は初めてだったので、最初はちゃんと優しくしていただきましたよ。
まあ、その後の2回目以降は激しかったですけど・・、キャ!」
とヤトノが空気を読まずにぶち込んでくる!
それって火に油を注ぐとか、燃料投下って言うんだよ!
「タク先輩・・、いくらヤトノちゃんのご主人様だからと言って、こんないたいけな少女になんて事をするんですか!犯罪ですよ!
我孫子の奴のことは言えませんよ!」
と、亜季ちゃんが修羅モードでお怒りである!
ああ!、このままでは僕の僕もアンゴルモアされてしまうのではないか!?
「大丈夫ですよ、アキさん。
私はもう16歳ですので、この世界では成人ですから!
それに、私からもお願いした結果なので、全く問題はありませんよ。
むしろご主人さまにお相手していただいて幸せいっぱいです、キャ!」
とヤトノがフォローを入れてくれる。
亜季ちゃんもヤトノ本人に肯定されてしまったら流石にそれ以上は追求できないらしく、
「ぐぬぬ〜、ヤトノちゃんが同意しているならこれ以上は追求できない・・。
だけど、まさかヤトノちゃんに先を越されてしまうなんて・・。
私の方が先にタク先輩と出会っているのに・・!」
となんとか諦めてくれたようだ。
ただ、亜季ちゃんのつぶやきの後半は意味がよくわからないが?
その後、チャロンとアカネちゃんと楓ちゃんになだめられて、ようやく亜季ちゃんが怒りを沈めて落ち着いたところで改めてヤトノの紹介と今後のプランについて説明する。
「ヤトノはいつでもヘビの姿に変身できるので、ヤトノには僕の立ち上げる商会の代表者になってもらうつもりなんだ。
いつでも姿を隠すことができるので、僕が作る魔導具の取り扱いにはうってつけの存在だからね。
謎の商会の、なかなか会えない商会長になってもらうつもりだよ。」
「なるほど、それはそうですね。さすがはタク先輩です。
ちゃんと夜の生活以外のことも考えておられたのですね。」
と亜季ちゃんが褒めて?くる。
ちょっと語尾に棘があるのは気のせいだろうか?
「ま、まあね(汗)
取り扱うものがものだけに、秘密の保持には慎重に対応しないとね。
僕が魔導具の卸元だとわかったら、お城に監禁されて一生魔導具作りをさせられるかもしれないからね(汗)」
「それもそうですね。
ただ、このままタク先輩を放置していたら、この世界の美少女達が次々にタク先輩の毒牙にかかってしまうんじゃないかと心配ですけどね。」
と亜季ちゃんが、厳しい突っ込みを返してくる!
きっとまだ怒ってるよね?(汗)
アカネちゃんも楓ちゃんも、そこでウンウン頷いてないで否定してほしい。
チャロンもヤトノもあながち否めない、みたいな顔をするのはやまて欲しい(汗)
「いや、そんなことはしないから(汗)
それはそうと、魔導具と言えば皆に新しい魔導具を作ってきたんだよ。」
と強引に話を切り替える。
ここは、女子チームの物欲で気を逸らすしかない!
「話を逸らそうとする気がマンマンなのがミエミエですが、まあいいでしょう。
早く魔導具を見せてください。
ちなみにですが、役に立たない魔導具なら機嫌は直しませんからね。」
と、亜季ちゃんが能面のような顔をして答えてくる。
なんか、自分の彼女に悪いことをしたのがバレた男がプレゼントを持って彼女に謝罪しているようなシチュエーションなんですけど(汗)
僕は何故亜季ちゃんに怒られないといけないのでしょうか??
「実は先日までの野外訓練を振り返ると、チーム内でのコミュニケーションを容易にする道具が必要かと思ってね。
従魔達との念話をヒントにして、念話で通話できる魔導具を作ってみたんだ。」
と言って、女子高生3人に「念話のリストバンド」の魔導具を渡して、使い方を説明する。
アッシュとマイティにもそれぞれの分を取り付けてあげる。
3人とも「おお〜!」と驚いていて、早速リストバンドを腕に着用すると念話を試し始めた。
亜季ちゃんと楓ちゃんは既にそれぞれの従魔との念話ができていたので、操作をすぐに理解してくれた。
アカネちゃんは念話は初めての体験だったが、元の世界ではスマホやスマートウォッチを使用していたおかげで、簡単な説明を聞くだけですぐに使えるようになった。
流石は元の世界の現役女子高生である。
女子高生同士、あるいは獣魔達との念話を5分ほど試したところで、
「タク先輩、これは冒険には必須のアイテムですね!
狩猟でも護衛でも大活躍間違いなしですよ!」
とアカネちゃんが大喜びである。
「これがあればアッシュ君だけじゃなくて、スノーちゃんやマイティ君、クロロちゃんともたくさんお話ができます!」
と楓ちゃんにも高評価だ。
「ふん、まあそれなりに使える魔導具ですね。
今日のところは及第点として機嫌を直してあげましょう。
この魔導具があればスノーちゃんやクロロちゃんにタク先輩が悪いことをしていないかどうか直ぐに確認できるわね・・。」
と、機嫌は直ったようであるが、後半は何か怖いことを呟いているぞ(汗)
「皆、この念話の魔道具は便利過ぎて他の人達にこの道具の存在がバレるとややこしいことになるから、基本的には僕達だけの限定アイテムにするつもりだよ。
他の人には内緒にしておいてね。」
とお願いする。
皆の「「「「「了解です!」」」」」の声を確認してから、
「後はバッジの魔導具に「浄化」の魔法を追加で付与するから一度外して僕に渡してくれるかい?」
と言って「浄化」の魔法を付与する理由を説明しつつ、皆のバッジに魔法を付与する。
「なるほど。確かに「浄化」の魔法で体の汚れを分解できるというのは有り難いですね。
護衛の仕事とかだと依頼主の側にずっといないといけないとかで、お風呂に入れないかもしれないですしね。
まあ、それ以前に、タク先輩の作る魔導具がなければそもそも野営中にお風呂に入れないですけど。
この魔導具は人気が出そうですね。」
と、亜季ちゃんがコメントする。
「実はこの「浄化」の魔法の付与はヤトノの提案なんだ。
今度の格闘技大会の賞品用に提供する魔導具には「汚れ除去」と「浄化」を付与してあるから、大会後の口コミが楽しみだね。」
「それならきっと女性冒険者が欲しがりますよ!
野外行動中に体をキレイにできないのは女性にとっては耐えられないですからね!
私なら多少高くてもきっと購入しますよ!
今のうちから販売用をたくさん作っておくことをオススメします!」
と楓ちゃんも「浄化」魔法の付与に大賛成のようだ。
「どうやらヤトノの提案は当たりのようだね。
販売用は既に大量に作製済みだから、商会を立ち上げたらケン君の商会に卸して売りさばいてもらうつもりだよ。」
「松戸の奴なら抜け目なく可能な限り高額で売り捌くでしょう。
タク先輩の事を利用しようとしている松戸のことは気にいりませんが、収入は楽しみですね。
松戸の奴にはせいぜいタク先輩のために働いてもらいましょう。」
「ははは、亜季ちゃんは相変わらずケン君には厳しいね(汗)
まあ、僕だけじゃ自分の作った服や道具を売りさばけないからね。
ケン君がいてくれて助かるよ。
それに彼の商売の才能はたいしたものだからね。
この世界の商業に革命を起こすかもしれないよ。」
「むう、タク先輩が奴の事を褒めるのは気に入りませんが、バカ騎士とバカ格闘戦士に比べればマシなことは事実ですからね。」
「ははは、ダイ君とゴウ君にも厳しいね(笑)
それより、もうお昼ご飯の時間だよ。
そろそろ街に移動してお昼を食べないかい?
今日は展示会の成功の前祝いで僕が皆にご馳走するよ。
皆にも営業活動を手伝ってもらっているしね!」
と言うと、女子高生チーム達は、
「お昼ご飯に賛成です!」
「ぜひ肉を食べましょう!」
「お昼ごはんと書いて肉料理って読むんですよね?」
と魔導具のことはコロッと忘れて既に食欲に支配されている。
「じゃあ、街に急ごう。美味しいお肉が僕達を待っているよ!」
「「「「「はい!」」」」」「バウ!」「ワウ!」「ピイ!」「ホウ!」と女子チームと従魔達が元気よく返事する。
さてさて、今日のお昼も大量に食べそうな勢いだな(汗)
思ったよりも出費がかさみそうだぞ(汗)
僕の心配をよそに女子チームと従魔達はキャピキャピと言いながら街に向かって小走りで移動していく。
住む世界が違っても若い女の娘って元気だよね、と思いながら僕は彼女達の後をついて行く。
そんな僕達を街道の街路樹の影から息を殺して見つめる視線には気づかないまま・・。
最後までご覧頂きありがとうございました。
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