第91話 ヤトノの事情と魔王の噂?
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「うーん、ムニャムニャ‥」
僕とヤトノの話し声に刺激されたのか、チャロンが起きてきた。
「うーん、おはようございます、
タクさん・・って、こちらの女性はどちら様ですか?」
いつも通り朝の挨拶をしてきたチャロンであるが、僕と自分の間にいる美少女の存在にすぐに気づく。
まあ、そりゃそうだ(汗)
「おはようございます。チャロンお姉さん!」
とヤトノはごく当然のようにチャロンに挨拶をする。
「えっと、タクさん、いったいどういう状況ですか?」
とチャロンは目を丸くしている。
「うん、信じられないかもしれないけど、この娘はヤトノだよ(汗)」
と正直に伝える。
本人がそう言うのだからそうなんだろう。
信じるしかない。(汗)
「ええ〜!ヤトノちゃん?!
どうしてこんな姿に!? 何か悪いものでも食べたの?」
と割りと斜め上の反応である(汗)
とりあえず、ヤトノだということは疑わないんだね(汗)
「ふふふ、まあ食べたと言えば食べたのですが・・。」
と少女にあるまじき妖艶な眼で僕を見るヤトノ。
はい、確かに食べられましたよ(汗)
「これが私の本当の姿なのですよ。
ちょっと訳があって蛇の姿をしていたのです。
というか、そうせざるを得なかったのですよ。」
とヤトノが続ける。
「訳って何か困った事があったのかい?」
「ええ、実はですね、私は元々東の森林地帯に住む魔族である黒蛇族の1人なのですよ。」
と身の上を話し出す。
「黒蛇族というだけあって、見た目は黒目黒髪が基本なのですが、何故か私だけ生まれつき白髪で色白だったのです。しかも瞳の色も赤色ですし。」
と言うヤトノの眼を見ると確かに瞳はワインレッドである。
しかも瞳孔は蛇のように縦長なので、魔族というのは確かなんだろう。
少なくとも人族ではないね。
「おお!そうだね。」
と僕は相槌を打つ。
きっとアルビノってやつかな?
この世界にもあるんだね。
「こんな見た目なので、村ではいわゆる忌み子扱いされていまして・・。
両親も既に亡くなって孤独な身の上だったのもあって、16歳になったのを機会に村を追い出されてしまったのです。」
「なんと! そんな酷い事を?」
「まあ、閉鎖的な村でしたしたからね。
この髪の色が不吉の象徴みたいに言われ続けて住みづらかったのもあったので、まあ良い機会かと思って村を出たんですよ。」
「村はここから遠いのかい?」
「はい。というか今いる場所から見てどこにあるのかよく分からないんですよ。
私が住んでいたのは東の森林地帯の中にある集落の1つだったはずなんですが。
実は村を出て数日歩いていたら、手持ちの食料も無くなって、お腹が空いて疲れちゃって、大きな木の下で休んでいたんですが、その木のウロの中に魔法陣のようなものがあって・・」
と、当時の状況を説明してくれる。
「その魔法陣の中に森に住む魔物の子供たちが楽しそうに出たり入ったりして、中には小さな鬼とか行ったきり戻って来ない魔物もいたので、魔法陣の向こう側は楽しい場所があるのかな?と思ってですね・・」
と話を続ける。
「このままの姿で魔法陣に入ろうとしたら入れなくて、多分大きさの制限があるんだと思って、蛇の姿に変身して魔法陣に飛び込んだのですよ。
ちなみに私の種族特性として蛇に変身できます。まあ蛇系の魔族なので。」
「なるほど。」
「で、魔法陣をくぐったらこちら側に来たのですが、こっちは魔力が薄くてですね・・。
魔力が薄いのと、お腹が減っていたのが重なって、元の姿に戻れなかったんです・・。」
「え、じゃあどうやって城壁の中に移動したの?」
「はい。商隊の馬車に忍び込んで王都の中に入り込みました。
あとは何処かで魔力を補充しなきゃと思案していた時に人間の子供たちに見つかって狩られそうになったんです(汗)」
「そこで僕たちに助けられたと?」
「そういう事です。あのときは本当にもうだめかと思いました(汗)
ご主人様に助けてもらわなければ、あの子供たちの夕飯のおかずにされてましたね(笑)」
「確かにかなり危なかったね(汗)」
と、ヤトノがここに来た経緯はわかったが・・。
「とは言うものの、王城内でこの姿のままで過ごすのは問題があるよね?
お城の中を立ち入り許可無しにウロウロしてたら捕まっちゃうよね?(汗)」
「そうですね。流石にちょっと不味いですね。」
とチャロンも答える。
「あ、大丈夫ですよ。この姿が普通だっていうだけで、いつでも蛇に変身できますから。
白蛇になってご主人に巻き付いておけば、ただの従魔のヤトノですよ。」
「それなら安心だね。じゃあ部屋の外ではいつも通り振るまっておけば問題はないかな?」
「そうですね!」
「安心したらお腹が空いてきたよ(笑)。
支度して食堂に行くかな?」
「はい!じゃあ、朝風呂の準備をしてきますね!」
とチャロンがお風呂場に向かう。
ここでスノーが目を覚ます。
ついでに外で過ごしていたクロロも窓の外に戻ってきたので部屋に入れてあげる。
2匹ともヤトノを見て、「誰?」みたいな反応をしていたが、「この娘はヤトノだよ。」と教えてあげると、とても驚いていた(笑)。
2匹から「ヤトノだけズルい!私達も人の形に変身したい!」とクレームの念話が飛び込んできたが、
「うーん、スノーちゃんもクロロちゃんも種族ははっきりとわからないですが、魔族ではなさそうなので、人の姿に変身するのは無理っぽいですねw」
とヤトノに言われて凹んでいた(笑)
「お風呂の支度ができましたよ!」
とチャロンが呼びにきたので、お風呂に向かう。
何故か当然のようにヤトノもついて来る(汗)
一糸まとわぬ姿のヤトノのスタイルはその、とってもボンッ!キュッ!ボンッ!で抜群であり、チャロンと負けず劣らずのナイスバディである(汗)
3人でお風呂場に来るとヤトノが、
「さあ、ご主人様、チャロンお姉さんと一緒にたっぷりご奉仕しますので、また魔力の提供をお願いしますねw」
と、先が2つに割れた舌で舌なめずりしながら妖艶な笑みを浮かべてくる。
てゆうか、人の姿になっても舌の形はヘビのままなんだね(汗)
結局チャロンとヤトノに二人がかりでご奉仕され、朝から大量に放出してしまった僕はスッキリを通り越してグッタリしてしまった(汗)。
入浴後に回復魔法をかけたのは言うまでもない(汗)
初めてコンビを組んだはずなのに、息のあったプレイでご奉仕してくれるチャロンとヤトノは控えめに言って最高だった・・。
ナイスバディの美少女2人から同時に上目遣いでお口でご奉仕されてしまったら・・、我慢できるはずがない!
僕の迸る熱いペイトスを余すこと無く妖艶な口で受け止めたヤトノは、朝から魔力をチャージしましたよ(笑)、と言わんばかりにツヤツヤのお肌に変化していた(汗)
◇◆
お風呂から出た僕達は髪を乾かして服を着て食堂に向かう支度をする。
今日は野外訓練に出かけないので僕は騎士の訓練服っぽい上下のセットである。
チャロンも久しぶりにミリオタ風巫女服を着ている。
うんやっぱりケモミミ✕巫女服の組み合わせは最高です!
「チャロンお姉さんの服カワイイです!私も同じのが欲しいです!」
とヤトノが目をキラキラさせながら僕に声をかけてくる。
「ヤトノも気に入ってくれたかい?これは僕がデザインしたんだよ。」
「すごいですよ!私の村でもこういう雰囲気の服を着ていたのですが、もっとモッサリとした感じだったので。
このデザインは若者向けでいいですね!」
「じゃあ、後で1着準備しようか?
てゆうか、ヤトノって服はどうしたの?」
「ふふふ、実は私も収納魔法が使えるのです。容量はあまり大きくないですが。
ご主人様風に言うとアイテムボックスですかね。
蛇に変身する時は服は魔法で収納しておくのですよ。」
「すごいね!回復魔法に加えて収納魔法も使えるなんて!
さすが魔族といったところかい?」
「ふふふ、まあそんなところですね。
他にも使える魔法はありますので、おいおい説明しますね。」
「そうなんだね。楽しみにしておくよ。」
「ではそろそろ行きましょうか?」
というとヤトノは白蛇の姿に変身する。
一瞬煙のようなものに包まれたかと思うと、あっと言う間にいつもの白蛇さんに変わっていた。
なんか忍術みたいでかっこいいね!
ヤトノの実体化?騒ぎで少し遅くなってしまったけど、高校生チームは元気に活動しているだろうか?
◆◇
いつもよりちょっと遅めに2階の食堂にやって来たら、高校生チームは既に食事中であった。
ざっと見る限り・・、新たなパートナーは増えていないようだ。
マモル君とアイル君、ケン君とお世話係の女性だけがカップルで食事中。
残りはいつも通り男女別ってところかな。
男子チームのお世話係探しは進んでいるのだろうか?
気がつけばこっちに来てから早くも約2週間が過ぎたからね。
早くしないとお世話係が見つかる前に旅立ちの日が来ちゃうよ(汗)
僕達は席につくといつもの朝食セットを3人前注文する。
うん、おかずはどれもシンプルだけど美味しい!
スープもパンによく合う味付けである。
ヤトノは尻尾で器用にフォークを使って相変わらずモリモリ食べている。
昨日までは僕たちと同じメニューを食べるのが不思議だったけど、今は理由がわかったので納得である。
中身は魔族だからね。
ふと周りを見渡すと亜季ちゃんがこちらをジト目で見ているぞ(汗)
昨日はちゃんと防音の魔法をかけたから、音漏れはしていないはずだぞ(汗)
後で会うのが怖いな(汗)
◆◇
朝食後に部屋に戻って身支度を整える。
ちなみにヤトノは元の姿に戻ってリラックス中である。
部屋着はとりあえず僕の騎士っぽい服の予備を貸しておいた。
ブカブカの上着を羽織りながら、
「これって彼シャツって言うんですよねw」
と言って喜んでいる。
「え、こっちの世界にもそんな言葉があるのかい?」
「いえ、先日の野営の際にアキさん達が彼シャツを着てお泊りしたいとか言いながら盛り上がってましたよ(笑)
ちなみにご主人様とお泊りしたいそうです。」
「あの娘達は夜間の警戒中にいったい何の話をしてるのやら(汗)
ちゃんと警戒してたのか気になるね(汗)
それにお泊まりなら野営で一緒にしてたのに、何故そんな事を言うんだろう?」
とつぶやくと、チャロンもヤトノもスノーまで「ヤレヤレ」といった感じで肩をすくめている。
どうして??
「まだ8時前だからケン君との待ち合わせまでちょっと時間があるね。」
「そうですね。お茶でも飲みながらゆっくりされて下さい。
いま準備しますので。」
「私も手伝います!」
とヤトノもついていく。
「そうだ! 今のうちにステータスを確認しておこう!」
と呟くと、「ステータス」と唱える。
「さてさて変化はあったかな?」
と言いながらステータスを確認する。
すると、思ったよりいろいろ変化があった。
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・名前(年齢):七条 拓(21歳)
・種族:人属
・レベル:4(←UP)
・スキル(メイン):お手伝い
・スキル(メイン)の効果:
他人の仕事を見よう見まねで手伝うことができる。
スキルの無い人よりちょっと早く仕事のコツを掴める。
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(補足説明)
(変化無し。省略)
(サブスキル)
・【鑑定系】:「目利き(上級)」
・【生活魔法系】:「点火」「点灯」「洗浄」「放水」「乾燥」
「汚れ除去」「吹き付け」「吸引」「氷結」
「氷粒」「土いじり」「石粒」「空気研磨」
「防音」
・【弓術系】:「弓術(特級)(←UP)」
「魔力誘導(特級)(←UP)」
「測距(特級)(←UP)」
「照準補正(特級)(←UP)」
・【テイマー系】:「テイマー(特級)(←UP)」
「生き物係(農業大学校級)(←UP)」
「感覚共有(中級)(←New)」
「念話(中級)」(←New)
・【料理系】:「解体(小型)」「焼き加減」「揚げ物」
「鍋奉行(中級)(←UP)」
「キャンプ飯(中級)(←New)」
・【剣士系】:「片手剣士(中級)(←UP)」、
「侍(中級)(←UP)」
・【生産系】:「デザイナー(特級)」「型取士(中級)」
「お針子(中級)」「革細工(初級)」
「武器作成(各種)(中級)(←UP)」
「魔道具作成(特級)」
・【錬金術系】:「物体作成(上級)」
「物質生成(初級)(←UP)」
「薬品作成(見習い)」
「付与魔法(特級)(←UP)」
・【魔法使い系】:魔法使い(各種)(初級)
・【便利系】 :アイテムボックス(上級)
・【格闘戦士系】:総合格闘技(初級)
・【治癒魔法系】:「治療(中級)」「治癒(中級)」
「解毒(中級)」
「回復(中級)」「避妊(初級)」
・【光魔法系】:「浄化(初級)」
・【斥候系】:「投擲(初級)」「罠設置・解除(初級)」
「気配察知(中級)(←UP)」
「気配遮断(初級)」「認識阻害(初級)」
「地図作成(中級)(←UP)」
・【交渉人系】:「番頭見習い」(←UP)
(称号)
・ハンバーガー勇者
・物忘れ勇者
・賄い勇者
・夜の勇者
・コスプレデザイナー
・✕✕使い
・蛇使い (←解除)
・ZZ使い(←New)
(主要な魔道具)
・皮のポーチ(空間魔法1,000L)
・洋弓「タクカスタム」(上級)
(従魔)
・スノー(種族✕✕✕)
・ヤトノ(種族 黒蛇族(白))
・クロロ(種族ZZZ)(←New)
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おお!レベルが上がっているぞ!
相変わらず上がった理由は分からないが(汗)
これはあれかな?
例のゴブリン達との戦いで幾多の試練と視線を乗り越えた報酬なのだろうか?
命を賭けた戦いの分だけ強くなるなんて、まさに異世界って感じだよね!
あとは使った分だけスキルが成長したか、新たに身についたかってところか。
ネーミングには相変わらずいろいろと突っ込みたいことがあるが・・。
おっとヤトノの種族が表示されているぞ。
「黒蛇族(白)」って、黒か白かどっちかわからないね(汗)
ついでに「蛇使い」が解除されているが、これはいったい何なのだろうか??
まあ後でヤトノに聞いてみよう。
フムフムと言いながらステータスを確認していたら、お茶を持ったチャロンとヤトノが戻って来た。
「あら、ステータスチェックですか?」
とチャロンが聞いてくる。
「そうなんだよ。野営訓練でいろいろと経験したおかげか、レベルが上がったし、スキルがいろいろと成長したよ。」
とレベルとステータスの状況を二人に説明する。
「ところで、「蛇使い」の称号って何か分かるかい?」
「うーん、聞いたこと無いですね?
テイマースキルの一種ですかね?」
とチャロンが聞いてくる。
「いや、スキルでなくて称号の一つなんだよね。
今までは「YY使い」っていう不明な表現だったんだけど、ヤトノが元の姿に戻ったら「蛇使い」に変化していたんだよ。」
「うーん、ヤトノちゃんが元の姿に戻ったのが関係あるんでしょうか?」
「かもしれないね。」
「あ、私それっぽい話を聞いたことがありますよ。」
とヤトノが話に入ってくる。
「東の森林地帯の事実上の支配者と言われている蛇系の種族の魔族の方がいらっしゃるのです。
その方は東の森林地帯最強の魔族と言われていて、誰も逆らうことができないくらい強い方らしいのですが、その方に何かの仕事をさせている人族の男の人がいて、その人の称号が蛇使いだっていう噂を聞いたことがありますよ。」
「東の森林地帯の事実上の支配者って、魔王のことかい?」
と僕は召喚された際にクレア王女が言っていた話を思い出しつつヤトノに確認する。
「ですね。東の森林地帯では魔王様とも呼ばれている方ですよ。
噂によると蛇系の魔族でも最上位のオロチ系の魔族だと聞いたことがあります。
なんでもレベルがメチャメチャ高くて誰が戦っても歯が立たないらしいです。」
「レベルが高いってどれくらいなんだろうね。
前にチャロンに教えてもらった話だとSランク冒険者でもレベル10くらいって話じゃなかったっけ?」
「そうですね!タクさんならこのままいけば早い段階でレベル10を目指せますよ!」
とチャロンが明るく相槌を入れてくれる。
さり気なく僕を持ち上げてくれるあたりが、流石はお世話係だね!
気が利くと言うか、ご主人様のモチベーションを上げるのがうまいというか、流石である。
そんなチャロンの気遣いをぶっ飛ばすように、ヤトノが衝撃的なコメントをぶっ込んでくる。
「それがですね・・、聞いた話によりますと、いわゆる魔王様のレベルはぶっ飛んでいて、なんと15,621もあるそうです。
なのでそもそも誰も盾突こうとする魔族はおりません。」
「なんと、まさかの15,000超えなの?
そんなのこの世界の種族で魔王に勝てる人っていなくない?」
と思わずヤトノに突っ込みを入れてしまう。
「ですね。そこが事実上の支配者と言われている所以です。
魔王様が積極的に東の森林地帯を治めているわけではないのですが、誰も魔王様に逆らうことができないので、魔王様からのお達しには素直に従っています。」
「なるほど。もし逆らったらどうなるの?」
「聞いた話では、魔王様の言いつけに逆らった種族の村落が一晩で跡形もなく消えたなんて話は昔は時々あったようですよ。
今はそんな事をする魔族はいなくなったそうですが・・。」
「恐ろしい話だね・・。でもクレア王女って魔王に僕達の旅の成果をプレゼンしろって言ってなかったっけ(汗)?」
とチャロンに確認する。
「確かに仰ってましたね・・(汗)。
とチャロンも若干引き気味である。
「そんな恐ろしい人にプレゼンして、もし失敗したり滑ったりしてしまったらどうなっちゃうんだろうね(汗)。
ダメ出しされるぐらいじゃ済まないかもね・・。
話が面白くないからその場で「消去」とかされたら怖いよね(汗)」
「ですね(汗)。
でも過去に元の世界に戻った召喚勇者の方もいるっていうお話でしたから、プレゼン自体はちゃんと聞いていただけるんじゃないでしょうか?
そもそも本当にそんなにレベルが高ければ、私達なんて相手にならない存在でしょうから。」
「ああ、僕達が仔犬や子猫をカワイイとしか思わないのと一緒だね・・。」
「ですね。でもそんな魔王さんに仕事をさせている人って誰なんでしょうね?
ただ者でないことは確かだと思うんですけど・・」
とチャロンが不思議そうに言うと、またもやヤトノが横から情報提供をしてくる。
「何でも、遠い昔に他の世界から呼び出された勇者様らしいですよ。
当時いろいろと混乱していたこの世界を良くした方だとか。」
「それってもしかして勇者タケルのことかい?」
「あ、そんな名前だったと思います。
確か村の古い言い伝えでそんな感じの名前を聞いたような気がします。」
「うーん、ここでもまた勇者タケルか・・。なんか規格外の勇者だったのかな?
まさか魔王を倒すどころか、軽い感じで仕事をさせているなんて・・。」
「ですね・・(汗)。
でもヤトノちゃんの話が本当なら、タクさんは勇者タケル様と同じ称号を持っているということになりますから、それもすごい話なのでは?」
「まあ、本当ならそうなんだろうけど・・。
ただスキルじゃなくて称号だから、実際にどんな効果があるかは不明なんだよね。
それでなくても、物忘れ勇者や賄い勇者なんていうよくわからない称号もついてるからね(汗)。
ただ単に黒蛇族であるヤトノを獣魔にしたから付与されただけかもしれないしね。」
「まあ確かにそうかもしれませんね・・(汗)」
と僕とチャロンで悩んでいると、横からヤトノが
「まあ、いいじゃありませんか!
称号が増えて泊が付いた!くらいに思っておけばいいんですよ。
実際、私を獣魔にしているわけですから、蛇使いと言っても間違いではないですよ!」
と明るく会話に入ってくる。
「ま、それもそうか。仮に魔王に会えたとしてもかなり先の話だろうしね。
今気にしても仕方ないよね。」
「ですね!」「そうですよ!」
と3人とも先のことは気にしないことにした。
決して問題の先送りではないぞ(汗)
「じゃ、そろそろ時間だから、中庭にケン君達に会いにいこうかな?
「「はい!」」
元気よく答えたチャロンとヤトノがお茶セットを片付け終えるのを待って、僕達はケン君達に会うために中庭に向かう。
はてさて、ケン君の話って何だろうか?
何か突拍子もない話じゃなければいいけどね(汗)
◆◇
約束の時間になったので、僕はチャロンとヤトノと従魔達を連れて中庭にやってきた。
もちろんヤトノは蛇の姿で腕に巻き付いている。
ケン君とお世話係の美女さんは既に中庭のテーブルに座っていた。
「おはよう、ケン君とお連れのお嬢さん。待たせてしまったかな?」
「おはようございます。タクさんとチャロンさん。
僕達もさっき来たばかりですよ。気にしないでください。」
と、さりげなく言うケン君であるが、時計を見れば9時5分前である。
流石は交渉人、できる商売人は時間厳守である。
「わざわざご足労いただきありがとうございます。
まずは私のお世話係を紹介しますね。
こちらはクリスさん、私のお世話係になっていただいた女性です。
元々はお城の調達部の職員さんだったのですよ。」
と、隣に座る美人の女性を紹介する。
「どうも初めまして、クリスと申します。」
クリスと名乗るスラッっと背の高い美人の女性は、丁寧にお辞儀をして僕達に挨拶をする。
僕とチャロンも丁寧に挨拶を返す。
「初めまして。七条 拓と申します。お気軽にタクとお呼びください。
あと、こちらのは私のお世話係兼指導教官のチャロンさんです。」
「初めまして、チャロンと申します。」
とチャロンも丁寧にお辞儀をする。
流石は王城でメイドをしているだけあって、チャロンの所作は完璧である。
それにしてもクリスさんという女性は美人であるが、どこか油断ならない雰囲気がヒシヒシと伝わってくる。
調達部の職員をしていたというあたり、優秀でやり手な女性なのであろう。
ひとしきり挨拶が終わったら、早速本題に入る。
「ところでケン君、今日の用件は何かな?例の展示会の件って言ってたと思うんだけど。」
と話を切り出す。
「ええ、そうですよ。
まずは以前お話をしていた展示会を開催することになったのでそのお知らせです。」
と1枚の紙を見せる。
そこには地図のようなものが描かれていて、建物が並んでいると思しき場所がある。
正方形の建物が縦3列✕横3列、9棟並んだ地図のうち、右列の中段だけが黒塗りされている。
「この黒く塗った場所が展示会の実施場所ですよ。」
「ここは何の建物なの?」
「これは騎士団の馬車や装備品などが入っている格納庫群ですね。
今回そのうちの1つ、8番格納庫を展示会の会場に借用できたのですよ。」
「おお、すごいね!よくそんな場所が借りられたね。」
「それだけ集客と利益が見込めるということですかね。
王城の各工房からのプッシュもあったようですよ。」
「ここで1つ目の相談なんですが、タクさんがデザインされた服や道具を示すブランド名をつけてはいかがでしょうか?
タクさんがデザインされた服をブランド化することで、消費者の皆さんへの認知度と商品価値の向上を図るのですよ。」
「なるほど、ブランドね〜。
確かに消費者目線で見れば、ブランド名があれば『◯◯の商品』を探し易いからね。
販売側もブランド価値を向上できれば利益も上がるし言うことはないか。」
「さすがタク先輩。ご理解が早い。
ちなみに、クリスさんに聞いたところ、この国というか世界にはブランド名というのは無いらしいです。
せいぜい、○○工房の服とか▲▲工房の魔導具、といった感じらしいですよ。」
「なるほど、分かる気がするね。
それでブランド名はどうするの?
何かよいアイデアがあるとか?」
「いえ、アイデアは無いと言いますか、そもそも考えてないです。
この世界初のブランドですからね。
デザイナーのタク先輩が名付けすべきではないかと思いまして。」
と、ケン君はニヤリと笑みを浮かべる。
まあ口が上手いというか何と言うか、流石は交渉人だよね(汗)
「わかったよ。名付けのセンスはあまりないけどね(汗)」
と仕方なくブランド名を考えようとした僕の視界に、先程ケン君が持っていた地図が映り込む。
「あ、これだよ。これでいいんじゃないか?」
とその地図を指差す。
「この8番格納庫をそのままブランド名にしようよ。
このブランドの始まりの場所だからね。
ブランドのロゴもこの絵にしてしまおう。」
と、3✕3列に並んだ正方形の右列中段が黒塗りされた絵を指差す。
「『服から道具まで欲しい物が全て揃っている8番格納庫』って感じかな? どう?」
とケン君に話しかける。
ケン君はニヤリと笑いながら
「ブランド名もロゴもわかりやすくていいですね。
まさに夢と成功の始まりの地ってところですか。
キャッチフレーズもスッと耳に入って来て良い感じですよ(笑)」
と答える。
「では次は2つめと3つめの相談です。
ズバリ、コマーシャルと目玉商品ですよ。」
と、ケン君が次の相談をまとめて被せて来る。
「目玉商品は分かるけど、コマーシャルってどうするんだい?
テレビもラジオもネットもないからね。
まさか広告のチラシを作ってバラまくとか?」
「ふふふ、いい宣伝方法を見つけるために、昨日は冒険者ギルドを訪れていたんですよ。
そして、タク先輩と自称1流冒険者とのやり取りを見て良い方法を思いつきました。」
「良い方法?」
「ええ、ズバリ言いますと、目玉商品を賞品にしたイベントの開催です。
そしてイベントはズバリ!、格闘技大会ですよ!」
「「ええ!!格闘技大会!!」」
ケン君とクリスさんは目を丸くして驚きの声をあげる僕とチャロンを悪い顔でニヤリと見つめている。
またとんでもない話をぶっ込んできたぞ!(汗)
最後までご覧いただきありがとうございました。
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