第85話 真夜中の戦闘!
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「ねえ亜季、さっきのお風呂はいろいろと刺激的すぎたよね・・。」
夜間の 警戒が始まってしばらくしてから楓が話しかけてくる。
うう、できればその話題には触れないで欲しかった。
何故なら私だけが皆に恥ずかしい姿を晒してしまったから(汗)
楓もチャロンさんに洗われて?攻められて?気を失ってしまったらしいのだが、私もアカネも気を失っていたので、恥ずかしい姿を知っているのはチャロンさんだけだ。
アカネは私に見られていないだけまだマシなのだ。
「うう、それは言わないで。
まさかあんなことになるなんて思ってもなかったのよ・・。
いつも控えめなチャロンさんがあんなにグイグイくるなんて・・・。」
そうなのだ。
いつもタク先輩に一歩下がって付き添ってたチャロンさんがあんなにグイグイ攻めてくるなんて予想だにしていなかったのだ!
「それにしてもチャロンさんって私達より年下のはずなのに、いろいろと大人すぎるんだけど・・。
これはこの世界がそういうものなのか、それともタク先輩の教育の成果なのかどっちなのかな?」
と楓がさらに話を掘り下げてくる。
うう、できればこの話はやめにしたい・・。
「うんまあ、両方だと思うよ。
成人年齢も早いし、それに例の魔力解放?の件もあるから、大人の階段を登るための経験をするのも早いみたいだし・・。
それにしてもタク先輩はチャロンさんになんてことをさせているのかと小一時間問い詰めたいよね。
いたいけな少女にさせることじゃないでしょう?」
「でもチャロンさんはお世話係の仕事の1つって感じで楽しそうだったけどね。
他のお世話係の皆さんもそうなのかな?
アイル君とかも?」
「うう、やめて。
あのかわいいアイル君が我孫子の毒牙にかかって毎晩のように凌辱されてるなんて想像するだけで耐えられない!」
「でもアイル君は楽しそうだよ?
相思相愛っぽいし、我孫子も魔力が解放されたみたいだし、ウィンウィンの関係なんじゃないかな?」
「うう、想像したくない!
しかも我孫子のやつに大人の階段を先に登られるなんて!
あんなやつは一生童貞でよかったのに!」
「まあ経験の早い遅いは勝ち負けじゃないから気にしなくていいんじゃない?
てゆうか、アイル君は男の娘だから我孫子はまだ女性を経験したことにはならないから、正確にはまだ童貞なんじゃないかな?」
「それでもなんか悔しい・・。
それに松戸の奴もお世話係を見つけたみたいだし。
しかもかなりの美人さんだったし・・。
何か私が出遅れている感じでスッキリしないわ。」
「人のことを気にしすぎても精神的によくないわよ。
それよりも例の魔力解放のことを考えたら、私達も早く経験したほうがいいのかな?
かと言って初めての相手は妥協できないしないし・・。
やっぱり好きな人に私の初めてを奪って欲しい!
きゃー!」
と楓は自分で言ったことに恥ずかしがっている・・。
誰に何をされている状況を妄想しているのだろうか?
「・・楓の妄想はともかく、言ってることには同意するわ。
こちらの世界の男の人とはそういう関係になるつもりはないし、かと言って一緒に召喚されてきた同級生の男どもはそんな対象に思えないし。
やっぱり私は・・」
「もう、亜季はタク先輩にお願いしちゃえばいいじゃん!
亜季はタク先輩のこと好きなんでしょ?」
「そそそ、そんなことはない・・。」
「そんなことはあるでしょ?
普段の行動を見てたらまるわかりじゃない?
まあ、タク先輩は気づいてないみたいだけどね。」
「むむ〜、タク先輩にはバレてないかな?」
「タク先輩にはバレてないと思うけど、チャロンさんにはバレてると思うよ。
チャロンさんはタクさんのお世話係と言うよりは恋人だからね。
自分の恋人の周囲にいる女はチェック済みでしょう。」
「やっぱり?」
「だと思うよ?
でもだからと言って追い払う様子もないし、むしろ応援してるって感じだよね。
今日のお風呂のデモンストレーションだって、一緒にタク先輩にご奉仕しましょうねってことじゃないの?」
「うう、実を言うと一緒にハーレムメンバーにならないかって誘われちゃったんだよね・・。」
「ええ! よかったじゃん!
なっちゃいなよ、ハーレムメンバー。
タク先輩とずっと一緒にいれて、毎晩可愛がってもらえて、ついでに魔力も解放できていいことばっかりじゃん!」
「うう、でも心の準備が・・。
いきなりあんなご奉仕なんてちょっと自信がなくて・・」
「そんなの気にしなくていいよ!
最初は誰だって初心者なんだから。
タク先輩のリードに任せて教えられる通りにやればそのうち上手になるわよ。
弓道と一緒で稽古あるのみよ。」
「でもそれとこれとは・・」
「もう、そんなデモデモダッテな事言ってる間に、他の女の人がハーレムメンバーに入っちゃうかもよ。
異世界物でありがちなギルドの受付嬢とか、ソロの女性冒険者とかね。
タク先輩は冒険者としても魔導具職人としても一流になる素質があるから、きっとモテるわよ。
いわゆる有望株ってやつよね。
既に王都のギルドの買い取り受付の娘が眼をつけているかもしれないよ。
2日連続でいろいろ大量に持ち込んでいるからね。
早くハーレムメンバーに入っておかないと序列が下がって寵愛を受けられなくなっちゃうかもね?」
「え、それはヤダ!せめてチャロンさんの次のポジションは確保したい!」
「じゃあ早くメンバー入りしないとね。
それでなくてもタク先輩はもしかしたら早めに旅立つかもしれないから、すぐに行動しないと間に合わないかもよ?」
「わ、わかったわ(汗)
私もついに覚悟を決める時が来たようね!」
「そう、その意気よ!
あーでも、私も他人事じゃないんだよねー。
こちらの世界の男の人とは恋人になるつもりはないし、かと言って同級生男子はぱっとしないしねー。
私もタク先輩のハーレムに入れてもらおうかな?
そのほうが旅も快適だし、亜季もチャロンさんもいるから毎日楽しそうだしねー(笑)」
「ちょ、ちょっと!そんなノリでハーレムメンバーになるとか決めちゃだめじゃない?
だって、タク先輩とあんなことやこんな事をするんだよ?
そこに愛がないとだめじゃないの!?」
「え、私もタク先輩のことは好きだから問題ないよ。
優しいし、頼りがいあるし、何と言ってもこの世界で生きていく能力が高いしね!
それにみんな一緒だといろいろ安心だし!
亜季も早くしないと私が先にハーレムメンバーになっちゃうよ?(笑)」
「ちょ、ちょっと待ってよ!
そんな抜け駆けは許さないわよ!」
「ふふ、いい男は取ったもの勝ちなのよ(笑)
亜季はせっかく狩人のスキルを持っているんだから、まずはタク先輩を狩りのターゲットにするべきよ(笑)
私に先に取られたくなかったら早くアタックしないとね!」
「それはそうだけど!
狩人スキルってそういうことに使うものじゃないし!・・」
「あら?、一流のハンターは狩りのチャンスを決して逃さないって言うわよ?」
「・・・・・・・!」
「・・・・・・・・・・!」
・・・・・
結局、夜間の警戒そっちのけのガールズトークは次の警戒当番のアカネちゃんを起こすのが遅れるくらいに続くのであった。
なお、アカネちゃんも混ざってガールズトークが盛り上がったのは言うまでもない・・。
◆◇
「・・・・先輩、・・タク先輩・・、交代の時間ですよ。」
と、テントの外側から誰かが優しく呼ぶ声が聞こえてくる・・。
はっ!すっかり寝込んでしまっていたが、そう言えば今は野営中だったね(汗)
きっと前の警戒担当のアカネちゃんが起こしにきてくれたにちがいない。
睡眠中に女子高生チームが僕のハーレムメンバーになる・ならないで議論している夢を見たがあれはいったい何だったのだろうか?
夢にしてはやけに生々しい会話だったような気がするが(汗)
とりあえず目の前の現実ではなかったようだ(汗)
僕は眠たさでいまだにボーッとする頭を振って眼を覚ますと、寝袋からモゾモゾと這い出してサッと戦闘服に着替えてテントの外に出る。
なお、ヤトノも僕の左腕に巻き付いてついてきてくれた。
やはり夜行性の性質なのか、日中より活性が高そうである。
「アカネちゃんお待たせしてごめんね。
警戒中は何か変わったことはあったかい?」
「いいえ特に何もありませんでしたよ。平和な夜ですね。
他の野営者の皆さんも特に大きな動きはないです。
淡々と交代で見張りをしているって感じですね。」
「了解だよ。じゃあ交代するから朝までゆっくり寝てね。
何か危険な状況が生起したら起こすからよろしくね。」
「はい。任せて下さい!
ではおやすみなさい、タク先輩。
ヤトノちゃんもおやすみなさい。」
「おやすみなさい、アカネちゃん。」
「・・!」
僕はアカネちゃんがテントに入るのを確認すると、立ち上がって周囲を確認する。
僕達の野営場所は土壁で囲まれているが他の団体はそんなことはしていないので、それぞれの様子が丸見えである。
大規模商隊の護衛と覚しき冒険者は複数でチームになって真面目に周囲を警戒している。
うん、これができる冒険者ってやつかな?
きっと信頼と実績を積み重ねてお得意さんに指名で依頼をもらっているに違いない。
駆け出し冒険者の僕としては見習うべき対象だね!
他方、小規模商隊と言うのか個人事業主に雇われたと思われる冒険者はやる気なさそうに半分寝ながら警戒している。
何かあっても他のグループが反応してくれるだろうという他力本願な姿勢が前面に出ているぞ!
きっと依頼料が安かったのか、冒険者不足が理由で質の低い冒険者しか雇えなかったに違いない。
これは駄目なパターンだね。
反面教師として今後の冒険者勤務の資としよう。
まあ前向きに評価すれば現時点ではこの野営広場には差し迫った脅威はないという事だろう。
安全ならそれで十分である。
なんと言ってもうちのメンバーは女子ばかりだからね。
無用なトラブルはごめんなのさ。
さて周囲の安全の確認も終わったので、周囲の警戒を厳にしつつ、時間を有効に活用しよう。
まずは昨日従魔になったばかりのクロロの能力把握かな?
僕は止まり木で大人しくしているクロロに、
「クロロこっちにおいで。」
と声をかける。
夜も行動する習性なのか普通に起きていたクロロは、翼を広げて羽ばたくと、音も無く飛んできて僕の右肩に止まる。
クロロの頭を優しく撫でてあげると、それだけでとてもうれしそうだ。
僕の記憶が正しければ、フクロウの聴覚はとても特徴的で、音で獲物の位置を立体的に把握できるはずだ。
それに加えて夜目が効くはず。
クロロの感覚を共有できれば、夜間の行動がかなり有利になるはずだ!
これは試してみるしかない!
決して夜の帳に紛れて他者の行動をのぞ・・いや確認しようだなんて、考えていないぞ!
「クロロ、感覚共有を試してみたいけどいいかな?
クロロの聴覚と夜間の視覚を体験してみたいんだ。」
「ホウ!」
とクロロは一鳴きすると、頭を僕に擦り付けてくる。
うん、OKってことかな?
僕はリンクを繋げるイメージをしながらクロロに魔力を流す。
するとクロロからも温かい魔力が流れ込んでくる。
うん、これでリンクできたかな?
リンク完了とともに、僕の視覚と聴覚が大きく変化する。
「おお!これがクロロの視覚か!夜なのに周囲が明るく見えるぞ!」
と思わず声が出てしまったが、暗闇にも拘らず周囲がはっきりと見えるぞ!
居眠りしながら警戒している不真面目な冒険者の顔もくっきりと見える(笑)
うん、奴とはどこかで会っても一緒に仕事しないように気をつけよう。
「聴覚もかなり鋭くなったぞ。何かが地面を歩いている感じの音がするぞ?」
と、音がする方を見てみると、小さなネズミが歩いていた。
おお!これがまさにフクロウの聴覚!
音を立体的に捉えるとはこのことか!
これはかなり有力なセンサーだな。
この感覚を活用すれば索敵能力がかなり向上するぞ!
「クロロ、悪いけど野営広場の上空を監視しながら5分程飛んできてくれるかい?
感覚共有と索敵のマッチングを試したいんだ。」
とクロロにお願いする。
クロロは「ホウ!」と一鳴きすると、音も立てずに飛び上がる。
それと同時に僕の視界は野営広場を俯瞰するが如くに変化する。
「おお!これがクロロの飛行中の視界か!
広場全体がくっきりと見えるぞ!
これは索敵や警戒監視に十分活用できるね。
おや、あれは・・?」
ふと視界に飛び込んできた光景を確認する。
それは冒険者の男女が何やら仲良さそうに話し合っている状況であった。
何処かで見たことがあると思ったら昨日の昼間に途中まで僕達の前方を歩いていたキャラバンの護衛をしていた冒険者のお姉さんではないか?
彼女達もここで1泊していたんだね。
クロロの聴覚が拾ってくる音声を聞く限り、護衛任務で一緒になった男性冒険者と会話しているらしい。
どうやらお気に入りの男性冒険者とお近づきになれたようだ。
依頼が終わったらデートする云々と話している。
望みがかなって仲良くなれてよかったね。
この世界の人達の特徴なのか、冒険者の特徴なのかは不明だが、皆パートナー探しにはなかなか積極的だな?
きっと彼女達も魔力解放とかの都合があるに違いない。
陰ながら応援しておこう。
決して覗いているわけではないぞ!
その後もクロロの視界を通じて野営広場の警戒監視を続けるが、特に異常は見当たらない。
「まあ、こんなに大勢の人達が宿泊しているところで悪さをする奴はいないか・・・」
と言いかけたところで、視界の右端に黒く蠢く影が映る。
「おや、あれはなんだ?
クロロ、悪いけど右に旋回だ!広場と草むらとの境界に何かいるぞ。
確認してくれ!」
とクロロに念を飛ばす。
距離が離れているから届かないかと思ったが、「了解!」とのイメージがクロロから返ってきた。
どうやらテイマースキルの効果は距離が離れていても有効らしい。
うーん、スキル様々だなこの世界は!
上空で右旋回したクロロの視界から新たなイメージが送られてくる。
どうやらクロロも草むらに潜む何かを発見したらしい。
よく見ると闇に潜む黒い影は3つあった。
いずれも身を屈めて2足歩行しているが、小さいのでどうやら人間ではなさそうだ。
うん?サルか何かの動物か?
と思ってさらによく見てみると、手には斧を持っているぞ!
しかも頭には特徴的な角が2本生えている!
これはきっと例のゴブリン達だ!
しかも3匹で集団行動している黒いゴブリンに違いない!
警戒中の冒険者達が設置している焚き火が少なくて暗い範囲に潜みながら野営広場に侵入中である。
どうやら商隊の積荷にある食料を狙っているようだ!
僕はクロロに念を飛ばして、
「クロロ、そいつらはお尋ね者の黒いゴブリンだ!
野営中の冒険者を襲うかもしれないから要警戒だ!
怪しい行動に出るようなら制圧するから、そのまま視界に捉えておいてくれ!」
と指示する。
クロロからの「了解!」の返事を確認すると、僕は一度リンクを切り皆を起こしにテントゾーンに素早く移動する。
チャロンのテントに移動すると、
「チャロン、寝ているところ悪いけど緊急事態だ!
例の黒いゴブリン3匹が現れた。
他の商隊を襲うかもしれないから戦闘態勢に移行するぞ!」
と声をかける。
すると直ぐに
「わかりました!皆さんを起こしてからすぐに行きます!
とりあえずスノーちゃんと一緒に警戒をお願いします!」
と回答がある。
さすがはチャロン、この世界の住人である。
寝ていても即応態勢は整えているらしい。
僕はテントから飛び出してきたスノーを連れて元の場所に戻ると、スノーとヤトノに僕達の野営場所周辺の警戒を厳にするように指示する。
まずは僕達の安全確保が重要だからね!
再びクロロとリンクを繋ぐと、黒ゴブリン3匹は徐々に商隊の積荷に接近中である。
このままだと警戒中の冒険者に気づかれることなく馬車の中に潜り込みそうだ。
てゆうか、警戒中の冒険者は絶賛居眠り中だ!
「タクさん、皆を連れてきましたよ!
どんな状況ですか?」
とチャロン達がやってきたので状況を説明する。
「うん、ここから5時の方向の広場の端っこのほうで野営する商隊の積荷に黒ゴブリン3匹が接近中だ。
残念ながら護衛の冒険者は居眠り中だよ。
このままだと積荷が奪われてしまうかもね。」
「ひどい護衛ですね・・。」
と、チャロンも皆も呆れ顔である。
「ああ、積荷を奪われるだけなら自己責任で片付けるところだけど、寝込みを襲われた冒険者が殺されると寝覚めが悪いからね。
ここは介入するしかないな。
倒せないまでも、追い払うくらいはしておこう。」
「了解です!」
「わかりました!」「安眠を妨害する黒ゴブリンには死の鉄槌を!」「土魔法のバールの能力を試す時がきましたね!」
と皆もやる気満々のようである。
若干1名だけは「殺る気」に溢れているような気がしたが・・。
気の所為だとしておこう(汗)
「さあ、みんな狩りの時間だ。
初の夜間戦闘だから気をつけて行こう!」
「「「「了解です!」」」」「バウ!」「ワウ!」「・・!」「ピィ〜・・」
武装を整えた僕達は、他の冒険者達に気づかれないように野営広場の外縁に沿って移動を開始する。
ちなみに夜が苦手なマイティにはお留守番をお願いしておいた。
僕達のキャンプエリア内は焚き火と点灯の魔道具のおかげでそこそこ明るいのでなんとかなるだろう。
なんと言ってもマイティは子供と言えども死神鷹だからね。
コソ泥するような低ランク冒険者くらいは余裕で撃退するだろう。
気配察知を使えるアカネちゃんを先頭に、僕がクロロから送られてくる視覚情報を提供しつつ皆で静かに移動する。
クロロとのリンクを頻繁に入り切りしたおかげで、感覚共有にも随分と慣れてきたぞ。
また新たなスキルを入手したか、既存スキルのレベルが上がったかもしれないね。
おっと、ここでクロロから緊急を告げる念が送られてくる。
急いでクロロにリンクすると、黒ゴブリンが居眠りする冒険者に襲いかかろうとしているではないか!
これは早く対処しなくては!
「みな、黒ゴブリンが居眠り中の冒険者を襲撃しようとしているぞ!
早急に対処が必要だ!
僕とチャロンと亜季ちゃんは弓で攻撃するぞ!
外れてもいいからとりあえず一発ブチ込んでこちらに注意を向けさせるんだ!」
と言うと、3人で弓に矢を番える。
僕はクロロからの視覚と聴覚情報から概ねの方位距離をつかむと皆に伝える。
「標的は右に30度、100m先、標的の高さ1mだ!
タイミングを合わせて矢を放つぞ!
打ち方用意!
3,2,1,打て!」
と小声で指示を出す。
闇夜を切り裂くようにシュッと音を立てて飛び立った3本の矢は、惜しくも命中を逃したが、黒ゴブリン達が持つ斧に当たり、奴らの攻撃の手を止める!
とりあえずこれで十分だ!
「よし!とりあえず妨害は成功だ!
あとは近接戦闘で仕留めるぞ!
みな剣に持ち替えて突撃だ!」
僕達は弓をアイテムボックスやポーチに収納すると剣を抜いて黒ゴブリンに向かって駆けていく!
夜間の近接戦闘は初めてだがやるしかない!
皆の安眠を妨害したツケはキッチリ払ってもらうぜ!
◇◆
皆で黒ゴブリンに接近すると、黒ゴブリン達は攻撃を邪魔されたことに憤慨して、
「グギャ〜!」
というダミ声で喚いていた。
居眠りしていた冒険者は「ひぃ〜!お助け〜!」と情けない声を上げて逃げ出してしまった(汗)
てゆうかお前は護衛なんだから護衛しろよ(怒)
黒ゴブリン達は僕たちに気がつくとこちらに向かって何か叫んでいる。
どうやら奴らもやる気満々のようだ。
襲撃に失敗したからと言って逃げ出すつもりはないらしい。
こちらも望むところである。
でもその前に奴らのステータスはチェックしておこう。
僕は「目利き」スキルを発動すると、一番先頭にいた1匹を目利きする。
すると、
・ 種族 ブラックゴブリン:
出身地 東の森林地帯
状態 ベテランの個体 歴戦の3匹の戦士
特徴 グリーンゴブリンの上位の特殊個体
風属性の魔法を使い、機動性・俊敏性に優れる。
3匹のコンビネーションによる攻撃を得意としている。
その他 レッドゴブリンをライバル視している。
と表示された。
こいつらもなかなかやばそうだぞ!
「みんな、こいつらは風属性魔法を使う機動性に優れる魔物らしい。
しかも3匹のコンビネーションで攻撃してくるらしいぞ!
夜間なのでこちらが不利だ。
無理して倒す必要はない。
撃退できればよしとしよう!」
僕達は片手剣を構えると黒ゴブリン達と対峙する。
黒ゴブリン達は「グギャ!」と声をかけ合って縦1列になったかと思うとそのまま滑るようにこちらに向かって突進してくる。
おお! これが風魔法を使った機動なのか?
だがしかし!
ただ直進してくるだけならいい的だぞ!
僕は片手剣を構えると、先頭のゴブリンを突きで迎撃する態勢をとる!
いざ突きを放たんとしたその瞬間、2匹目と3匹目の黒ゴブリンが飛び上がり、縦に連なって高波のように襲いかかってくる!
なんだと!これがコンビネーションの攻撃か?!
まるで●ェット◎トリームアタックじゃないか!
まずい!このままでは黒い高波に飲み込まれてしまう!
僕は咄嗟に左手を前方上方にかざすと「石礫」の魔法を連続で放つ!
本当は「火球」の魔法を放ちたかったが、この野営広場では火災の恐れがあるからね。
商隊の荷物を燃やしてしまったらえらいことになっちゃうからね(汗)
僕が放った「石礫」は残念ながら2匹目と3匹目を掠めただけで命中はしなかったが、奴らの攻撃の手を止める事には成功した!
「みんな気をつけろ!奴らのコンビネーションは侮れないぞ!
3匹同時に相手をするのは難しい!
奴らのコンビネーション攻撃に合わせて両サイドから攻撃するぞ!」
と声をかける。
皆からは「了解!」の声が返ってくるが、暗いので皆の配置の細部が分からない!
僕の後方から、亜季ちゃんが「おのれ!●い3連星め!」と叫ぶ声が聞こえてきが・・。
やっぱり亜季ちゃんはその系統のアニメが好きなんだね?
僕も好きだけど!
でも今は戦闘に集中しようね!(汗)
黒ゴブリン達は「グギャ!」と声を上げると、再び僕に向かって1列に隊列を組んで突進してくる!
どうやら僕がターゲットにされているようだ。
手強い相手だが売られた喧嘩は買うしかない!
今なら某白いモビルスーツの操縦手の気持ちがわかるぞ!
このヒリつくような緊張感は戦場に身を置く戦士にしか理解できないのだ!
黒ゴブリン達のフォーメーションに対して片手剣を構えると同時に、テイマースキルを使ってスノーとクロロに戦闘用意の指示を出す。
ふっ、チームプレーは黒ゴブリン達の専売特許じゃないんだぜ!
黒ゴブリン達が再び縦に飛び上がり、僕に向かって波状攻撃を仕掛けようとしたその刹那、僕は「スノー今だ!」と合図を出す。
すると黒ゴブリン達の死角に潜んでいたスノーが先頭の黒ゴブリンの足元にタックルを食らわせる!
悲しいかな、黒ゴブリンはスノーとさほど体重差がないので、せっかくの●ェット◎トリームアタックの勢いを止められてしまう。
急に下半身の動きを止められたため、上半身が慣性で前につんのめり、無防備な背中を僕にさらすことになる。
僕は「すき有り!」と叫ぶと、先頭の黒ゴブリンの背中に飛び乗ってさらにジャンプすると、片手剣で2匹目の黒ゴブリンの無防備な脇腹に抜き胴を放つ!
1匹目の動きを止められるという予想外の反撃に驚いた2匹目は斧を振りかぶったまま動きが止まっていたため、僕の攻撃を防御することなくまともに食らってしまう。
2匹目の「グェー!」という断末魔の叫び声とともに、僕の手に2匹目の肉と骨を断つ感触が伝わってくる。
これはもう致命傷であろう。
「ズシャ!」という鈍い音と共に2匹目が地面に叩きつけられると同時に、僕は「クロロ!今だ!3匹目の眼をつぶせ!」
と念話で指示を出す!
上空から様子を伺っていたクロロは音もなく急降下して来ると、両足の鋭い爪で3匹目の黒ゴブリンの眼を突き刺す!
3匹目はたまらずに「グギャー!」と叫んで地面に落下する。
その様子を見た僕は楓ちゃんに、
「楓ちゃん!今だ!3匹目に「石礫」をブチ込んでやれ!」
と指示を出す!
「了解です!」
既に「土魔法のバール」を横向きに構えてスタンバイしていた楓ちゃんは、
「石礫!」
と、地上で喚きちらす3匹目に向かって魔法を放つ!
「土魔法のバール」から放たれた強力な「石礫」は、3匹目の顔面を捉えると、まるで西瓜にでも当たったかのように粉々にその頭部を吹き飛ばした!
絵的にはかなりグロいはずだが、夜間なのが幸いしてその細部を視認できなかった。
しかも「石礫」の勢いが強すぎてこちらには返り血の一滴も飛んで来なかった。
まあ、いろいろと助かったね(汗)
「みんな、あと1匹だ!油断せずに対処するぞ!」
と皆に声をかける。
1匹目の黒ゴブリンは仲間の2匹が殺された事と自身の背中を踏み台にされたことに怒り心頭なのか、「グギャー!!」と喚きちらしている。
自身の不利を悟りつつも怒りのためか撤退する気は無さそうだ。
斧を構えると僕に向かって突進を始めたと思ったその瞬間、急にその動きを止める。
「うん?何事だ?」
と思ったその時、急にヤトノから「麻痺毒で動きを止めたよ。」と念話が入る。
「麻痺毒?」
とつぶやきつつ1匹目の足元を見ると、なんとヤトノが噛み付いていた!
いつの間にか僕から離れて攻撃に参加していたらしい。
てゆうか、ヤトノは毒攻撃ができたんだね。知らなかった(汗)
僕は念のため「目利き」で1匹目の状態を確認すると、確かに、
・毒状態。麻痺で動けない。
と表示された。
ナイスサポートだぞヤトノ! 君は出来る娘だ!
僕はアカネちゃんに、
「アカネちゃん!1匹目はヤトノの毒攻撃で麻痺して動けないみたいだ!
投げナイフで攻撃だ!」
と指示する。
アカネちゃんは「了解です!」と叫ぶと同時にクナイを放つ!
アカネちゃんが放った2本のクナイは1匹目の喉と心臓に突き刺さると、その生命を奪う!
僕は念のために3匹の状態を「目利き」して絶命していることを確認すると、
「みんな、3匹とも死んだぞ!迎撃は成功だ。
怪我はないかい?」
「「「「はい大丈夫です!」」」」と女子チームからの返事と同時に、従魔達からも「異常ない。」旨の念話が返ってくる。
「ふう、みんな無事で良かったね。
とりあえず戦闘は終了だ。
後片付けをしてから休もう。」
と皆に指示を出す。
それにしても黒いゴブリン達も強敵だったな。
仲間達のおかげでなんとか倒せたが、自分達の戦闘力向上や装備の能力向上の必要性を再認識させられる戦いであった。
お城に戻ったら皆と相談して対応を検討しよう。
そんなことを考えながら、急遽発生した真夜中の戦闘の後片付けを開始するのであった・・。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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引き続きよろしくお願いいたします。




