第76話 攻撃魔法の研究
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午後の狩りを終えた僕達は再び休憩している。
亜季ちゃんは矢を放ちまくって満足したのか、ようやく通常モードに戻ってきた。
今回は結構時間がかかったね(汗)
今は皆で獲物を解体して、パートナー達にオヤツ代わりに食べさせている。
スノーとアッシュはレアで焼いた肉が、マイティは生肉がお好きなようだ。
「タク先輩、マイティはいい仕事をしますね。
空から獲物を見つけてくれるので発見が早くて良いです。
それになんとなく何を言っているのか分かる気がしてきました。」
と亜季ちゃんが言う。
「それはすごいね!
それも弓術士スキルの恩恵なのかな?」
「弓術士は狩人スキルの取得も可能と聞いてましたので、もしかしたらその可能性はありますね。
動物の使役もスキルの一部かもしれません。
狩人が動物を使って狩りをするのはよくあることですからね。」
「それはすごい!
マイティと一緒なら狩りの戦術の幅が広がるね。
空からの索敵と攻撃の組み合わせは大きなアドバンテージだよ。」
と僕は答える。
僕も鳥系の魔物が欲しくなってきたぞ!
「それにアカネちゃんも楓ちゃんもいい動きだったよ。
このあたりの小〜中動物ならアッシュが獲物を追い立てて、アカネちゃんと亜季ちゃんが迎撃するスタイルで十分狩れそうだね。」
「はい!アッシュ君のおかげでなんとかやって行けそうですよ。
ただやっぱり、私自身の攻撃力が皆無なので、そこが心配ですね。」
「確かに、そこなんだよね。
なので今日は攻撃魔法の研究をしてみようと思ってね。」
「攻撃魔法ですか?
私は魔法は使えませんよ?」
と楓ちゃんが聞き返す。
「攻撃魔法のスキルを実用レベルまで上げればそれを道具に付与して魔導具にできるからね。
楓ちゃんの防御用に魔法の杖でも作ろうかなと思うんだ。」
「それはすごいです!
でもタク先輩は攻撃魔法を使えるのですか?」
「まだちゃんと使ったことはないけど、一応『魔法使い各種(見習い)』のスキルはあるので、訓練次第では実用レベルにできるはずだよ。
まあ、訓練あるのみさ。
とりあえずやってみよう。」
と言って立ち上がると、周囲の状況下を確認して危険がないことを確認する。
ついでに気配察知で第3者の有無を確認する。
怪我させるといけないからね。
「まずは的代わりに土壁かな?
マモル君の言ってたとおりに現象を強くイメージしてと。」
と言うと、僕は高さ1m、幅1m、厚み10cmくらいの土壁をイメージしながら地面に手を付く。
うん、イメージが固まってきたぞ。
そのまま
「土壁」と唱えると、目の前にイメージ通りの土壁が立ち上がる。
それを見ていた皆が
「おおー!」
と驚く。
硬さを確認すると、ガチガチではないがそこそこの硬さだった。
しっかりと踏みしめた路面といったところか。
「物体作成」スキルで表面を固めればもっと固くなるだろうけど、いまは止めておこう。
次は早速攻撃魔法の練習だ。
「次は定番の火球かな?」
と、火の玉を手のひらから打ち出す状況を強くイメージする。
そして
「火球!」
と唱えると、土壁に向かって拳大の火の玉が飛んでいく!
火の玉はそこそこのスピードで真っすぐ飛んで土壁にぶつかって爆ぜると、土壁の表面の一部を削りながら霧散した。
前に見学した魔法士団員の魔法には全く及ばないが、なかなかの攻撃力だ!
スピードも野球のピッチングくらいのスピードだから、近くから打てば避けられないだろう。
皆もまた「おおー!」と驚いている。
僕は引き続き火球を繰り返し打って練習する。
20発ほど打ったあたりで、詠唱前に必要なイメージの構築が安定してきた。
恐らく魔法のレベルが見習いから初級になったと思われる。
次々と行ってみよう。
定番の魔法を全て試してみようかな?
「じゃあ次は風刃を試してみよう。」
僕は圧縮された空気でできた刃が土壁を切り裂く状況をイメージしつつ「風刃」と唱えると、局部的に風が吹き、土壁に幅20cmくらいの切り傷をつける。
うん、なかなかいい感じだ。
異世界物の定番のゴブリン狩りに使えそうだぞ。
皆が驚く声を聞きつつ、風刃も繰り返し打って練習する。
これも同じく20発ほど打ったあたりで詠唱前のイメージの構築が安定してきた。
魔法のレベルが初級に上がったのだろう。
「次は・・、石礫かな?」
と言って、石の礫を手のひらから打ち出す状況を強くイメージする。
その状態で「石礫」と唱えると、拳大の石の礫が勢いよく飛び出して土の壁に衝突する。
石の礫が土の壁にぶつかった部分はいい感じでえぐれている。
おお!いいね!
ちょっとした魔物や動物なら十分に一撃で仕留める事ができそうだ。
まあ、当たらなければ意味はないが(汗)
石礫も繰り返し練習してイメージの構築を安定させる。
これもレベルを初級に向上できたようだ。
ただ、石の礫という実体のあるものを打ち出すせいか、魔力の消費が多い気がするぞ?
魔力の使用だけだとあまり数は打てなさそうだ。
魔法使いのように魔力が多い人なら問題なさそうだが、魔道具だけに頼るのであれば使い所が難しいな。
近接距離で確実にヒットさせるような、ショットガン的な使い方を考慮すべきか?
まあ、実戦で使っているうちに上手い使い方がわかってくるだろう。
「最後に水球かな?」
と言って、同じく手のひらから拳大の水球を打ち出すイメージを強く持つ。
そのまま「水球」と唱えると、拳大の水球が勢いよく飛び出して土の壁に衝突する。
とはいうものの、ただの水のかたまりなので、土壁にははっきりと分かる損傷はない。
物理的な攻撃力は低いかもしれないが、火属性の攻撃や魔物に対する対抗手段にはなるだろう。
火事を発見したときの消火活動にも使えるかもしれないね(汗)。
これも繰り返し練習してイメージの構築を安定させ、魔法のレベルをあげておく。
こういう時には日本のアニメを見ていた経験はとても役に立つよね。
見たことがあるか無いかではイメージの構築に明らかな差があるだろう。
これで、基本的な魔法は習得できたかな?
「うーん、こんなもんかな?
訓練を続ければもっと攻撃力がアップすると思うけど、とりあえずの防御用というか護身用にはこれで十分かな?
よほど危険な依頼を受けたり、異世界物でよくあるようなダンジョン攻略でも目指さなければ、これで十分じゃないかな?」
と、女子チームに話しかける。
女子チームは
「タク先輩すごーい!!」、「さすがタクさんです!」
と、超絶賛してくれる。
なんかちょっとドヤ顔になりそうだ。
「そんなすごい魔法を魔導具にできるのですか?」
と楓ちゃんに聞かれたので、
「そうだね。多分大丈夫だと思うよ。
今夜にでも試作品を作ってみるよ。」
と答えておく。
多分まあ大丈夫だろう。
「わーい! お願いします!」
と、楓ちゃんはとても嬉しそうだ。
「もちろん私達の分も作ってくれるんですよね?」
と、亜季ちゃんがジトっと聞いてくる。
「も、もちろんだよ(汗)
亜季ちゃんとアカネちゃんの分もちゃんと作るさ。
まあ楽しみに待っててよ(汗)」
と、前向きに答えておく。
というか答えざるを得ない(汗)
相変わらず亜季ちゃんのジト目攻撃は破壊力が半端ないな(汗)
防げる気が全くしないぞ(汗)
基本的な攻撃魔法の習得を終えた僕は、元々今日の午後にやりたかったことを皆に提案する。
「攻撃魔法の次は野営道具の確認をしたいんだよね。
まずはこれを見てよ!」
と、僕はアイテムボックスから先日作成した魔道具の携帯用トイレ(上級)を取り出すと皆の前に置く。
「こ、これは?トイレですか?」
とアカネちゃんが聞いてくる。
「そうなんだ。実は野外活動に備えて先日作ったんだよ。
元の世界の知識を参考に各種機能を取り付けたすぐれものさ。
ちなみに魔道具としては上級扱いだから、かなり高機能だね。
しかも聖ちゃんに教わった浄化魔法を組み込んでいるから排水処理もバッチリさ。」
と言って、各機能や使い方も説明する。
女子高生3人は「おおー!」と言いながら聞いていたが、ふと亜季ちゃんが、
「タク先輩、携帯用トイレの機能がすごいのはよくわかりましたが、まさかこのまま使うわけじゃないですよね?」
と聞いてくる。
「も、もちろんだよ。
一応、野外で使用する際には周囲を囲う用の布を準備してあるよ。
まあ、仮設みたいな物だけど。」
「安心しました。
でもせっかくなら先程の土壁のほうがよくないですか?
まあ魔力に余裕があればですけど。」
「ああ、確かにそうだね。
布よりかはそのほうが安心かな?いろんな意味で。
ちょっと試してみよう。」
と、僕達は地面に絵を書きながらトイレの壁の形状を考える。
ドアの取り付けは野外だと難しいので、土の壁の形成だけでうまくトイレを隠せるような形状を検討した結果、ひらがなの「の」の字というか、数字の「6」の字に近い形状にすることにした。
ちょっとしたラビリンス形状にすることで外から直接視認できないようにしておいて、かつ入り口にはカーテン代わりに布を垂らして設置しておけば大丈夫だろう、という結論になった。
使用するのもこの5人だけだからね。
「では早速土壁を作ってみるよ。高さは2mあればいいね。」
と言って、僕は地面に手をついて土壁のイメージを固める。
壁が立ち上がる状況を平面的+立体的にイメージしつつ「土壁」と詠唱すると、想定どおりの形状の土壁を形成できた。
「いい感じだね。あとは中にトイレとカーテンを設置すればバッチリかな。」
と言って携帯用トイレを中に運んで、地面に置いて設置する。
チャロンがカーテンの設置を手伝ってくれる。
夜間照明用に内部に手持ちの「点灯」の魔道具をぶら下げたら完成だ!
「いい感じじゃないかな?これで野営中のトイレ問題も解決だね。」
と皆に声をかける。
「そうなんですよ!キャンプに行くとどうしてもトイレ問題が発生しますからね。」
とアウトドア女子のアカネちゃんが同意する。
「よかったら皆で試しに使ってみてね。
僕は少し離れたところでお風呂の準備を試しておくよ。」
と言って少し離れたところに移動すると片手剣で雑草を薙ぎ払ったら、折りたたみ式スコップと「土いじり」スキルを使って地面を2m四方ほど概ね平坦にする。
ここに浴槽をお試しに設置してみよう。
土壁の魔法を使って少し小さめの家庭用サイズの浴槽を作る。
うん、この魔法にも随分慣れてきたぞ。
魔法のレベルが上がったかな?
浴槽には水を貯めるので、表面を「物体作成」スキルで平滑かつ密に固めておく。
これで水が漏れることはないだろう。
「あとは実際に水を張ってみるか。」
と言って、「放水」の魔法で浴槽に水を張ってみる。
うん、漏水はなさそうだ。
「最後にお湯を沸かしてみるか。これが一番問題だね。
まあ、手っ取り早いのはこれかな?」
と言って、水の中に手を入れてファイヤーボールをそっと放つ。
飛んでいくというよりかはその場で燃え続けるイメージのものを5発連続で水の中で放つと、いい感じで水温が上がってきた。
追加で2発ほど放つとちょうどよい湯加減になった。
40℃くらいの湯温だろう。
「おーい、お風呂の試作品もできたよ。見てみるかい?」
と皆を呼ぶ。
呼ばれてやってきた女子チームと動物達はお風呂を見て興奮している。
「おお!いい感じのお風呂ですね!
外でもお風呂に入れるなんて最高です!
これで野営中のトイレとお風呂の問題が両方とも解決ですね!」
とアカネちゃんが大喜びである。
「そうだね。お湯の沸かし方はだいたいイメージできたから、あとは魔道具を作るのと、かけ湯を作る用の水槽と排水用の浄化の魔道具を作ればOKかな。
これも近いうちに作っておくよ。」
と答えるとアカネちゃんが
「できるだけ早くお願いします!」
と大喜びで答える。
そんなに野外でのお風呂やトイレに関心が高いなんて、よほどキャンプで苦労したことがあったのかな?
詳しくは聞けないけど。
「タクさん。せっかくなのでお風呂を試してみましょう!」
とチャロンが言うので、
「そうだね。まあ、僕達が今ここに入るといろいろ問題があるから、アッシュを洗ってあげよう。
スノーは昨日お風呂に入ったし、マイティは習性がよくわからないからね。
アッシュおいで。」
と言って上着を脱ぐと、側に寄ってきたアッシュを抱えて浴槽に入れてあげる。
アッシュはお湯が気持ちいいのか浴槽内でご機嫌ではしゃいでいる。
僕とチャロンで昨夜のスノーと同じく「空気研磨」を発動してアッシュの全身を丸ごと洗ってあげると、尻尾を振りながら大喜びである。
初めての気持ちよさに感動しているに違いない。
アッシュを浴槽から取り出して「吹き付け」と「乾燥」で乾かせば、こぎれいになったアッシュの出来上がりである。
こころなしか毛が灰色から銀色っぽくなった気がするぞ。
結構汚れていたに違いない。
「アッシュ君、綺麗にしてもらってよかったねー!」
と楓ちゃんがアッシュを撫でまくっている。
アッシュ君もワウワウと言って嬉しそうだ。
「うん、いい感じだね。
お風呂はお湯を沸かす魔道具と排水の魔道具を準備すればなんとかなりそうだ。
土壁はトイレと同じでいいだろうからね。
誰かトイレは使ってみたかい?」
「はい!私が一番最初に試しました!
元の世界の最高級グレードよりも快適かもしれません!
音も汚れも匂い対策も完璧です!」
と大喜びである。
「私も試しましたよ!もうこれがないとダメかもしれません。
野営用だけじゃなくてお城の部屋にも欲しいです!」
と楓ちゃんも大喜びである。
「タク先輩。トイレの魔道具は私も試しました。とても素晴らしかったです。
でも女子高生が使った後ですからね。
いろいろ変なことは考えないでくださいよ(ジト)。」
と亜季ちゃんにプレッシャーをかけられる。
「も、もちろんだよ(汗)。
大人としてその辺りはちゃんとわきまえてるから大丈夫さ(汗)。」
相変わらず亜季ちゃんのプレッシャーが半端ないぞ(汗)。
「まあ、いろいろとお試しはこんなところかな?
いい時間だからそろそろ今日は撤収しようか?
冒険者ギルドで買い取りやら従魔登録やらの手続きに時間がかかるだろうからね。」
と皆に撤収を提案すると、「「「「わかりました!!!!」」」」と皆がOKする。
まあ、今日は採取に狩りにと大忙しだったから皆の訓練には十分だろう。
僕はトイレの魔道具を回収して土壁を「物体作成」スキルで解体して土に戻すと、皆で火のあと始末やごみの片付けをしてから街に向かって出発した。
あとは無事に街に戻るだけだね!
最後までご覧頂きありがとうございました。
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