手術の日
第二十八話
手術前日
今日は部屋に泊まる事にした
明日は長い1日になりそうだった。
私はソファで寝る事にして
美佳も絶食だから早く寝れるように
私はスマホも見ずに寝た振りをしていた
「パパ、起きてる?」
起こされたように、「なーに?」
「こっちに来て」
「ベッドに?」
「うん、一緒に横で寝てくれる」
「いいよ、おデブだから入れるかな」
といいながらベッドに入った
「抱きしめてくれる」
抱きしめると、小さく震えていた
やっぱり明日の事が不安だった
やさしく抱きしめていた
赤ちゃんをあやすように
背中をぽんぽんとたたきながら
「美佳心配しなくても大丈夫」
「寝て起きたら済んでいるからさ
きっと上手くいくから」
夜があけて 手術の日
昨日の夜と違って、美佳は気丈だった
覚悟決めた時の女性は強い
私の方がドキドキして何も
手につかなかった
「パパお茶でもして来たら?」
「うん、まぁ後でいくよ
美佳を待ってるときにさ」
昼に近づくにつれ少しずつ
看護師さんの出入りも多くなり
手術なんだなと…
麻酔科の先生が説明に来ていた
いよいよ手術かな、何時だろうか?
外では昼食が運ばれていた
昼からのような感じだね
先生も食事してからだろうね
都合があるんだろう
「美佳は何も食べてないからお腹へるね」
「ぜんぜん、手術が気になって
それどこじゃないよ」
美佳は病院の服に着替えていたが
看護師さんが来て
それではこれに着替えて下さい
下着はつけずにこれを履いて下さいね
もう手術になりますので
トイレは済ませておいて下さい。
横になって下さいね、点滴をします
看護師さんは手際良く点滴をして
途中、注射も入れていた。
少し眠くなると思いますので
寝ていただいて結構です
また、呼びに来ますので
その時、手術室に移動します
ご主人さんはこちらでお待ち下さい。
ここで待つのか?
よくある手術室の前で行ったり来たり
して待ってるわけじゃないんだ
美佳はちょと笑って目を閉じていた
点滴がもう少しで終わるころ
看護師さんが二人ベッドを運んできた。
『弓弦さん、聞こますか?』
「はい」
美佳は静かに返事した
それでは今から手術室に行きますね
こっちのベッドに移れますか?
はい、そーとでいいですよ
ハイ、それじゃ手術室に行きます
私は近くで見送り
美佳のおでこを触って「頑張って」
ドアをあけたまま、エレベーターに
乗せられる美佳を見ていた。
今から手術か?1時ごろからだな
何時間かかるんだろう
9月といってもまだ陽は長い
日は沈んだろうが
まだ夕陽に照らされている
時計はもうすぐ7時
6時間はたっていた
そんなとき美佳は戻ってきた
まだ、麻酔で眠っていた••
そっと手を握り
「頑張ったね美佳」
私は先生に呼ばれて今日の結果を
聞いていた。
卵巣摘出手術
手術は予定通り取り除けるところは
取り除きました。
リンパ節転移、
それと上腹部にまで広がっていました
ので腹腔内全域にがんがある
腹膜播種の状態でした。
こちらも診断通りです
なので腫瘍を出来る限り残存しないように
切除しました。
手術中に病理検査いたしまして
悪性度と組織型を調べました。
その結果は『進行がん』
組織型は『明細胞腺がん』と
分かりました。
これはわかりやすく言うと
悪性度の高いタイプのがんです
出来る限り小さな細胞まで取り除きましたが
進行がんの場合、簡単にいうと
再発や転移が発生しやすいという事
それとこの組織型は
抗がん剤治療があまり効きにくいと
いう事があります。
これからごく小さな残存腫瘍を無くす為に
抗がん剤治療に入っていきます
明細胞腺に効果のある抗がん剤治療
を致しますが、もし遠隔転移
肺や頭などに転移しますと
治療が困難になっていきます。
「先生、美佳はどれぐらい」
腹膜への進展があったので
再発すると治療が困難になります
進行症例からすると5年の生存率は
40%という事でしょうか
ただ、あくまでも症例です
まずは抗がん剤治療で再発や転移
しないように、それと他の部位の
ごく小さながんを治療していきます
先生、ありがとうございました
深々とおじきをして部屋を出た。
10月
肺に転移が見つかった
転移性肺腫瘍
がんにつきましては
実際の体験を元に表現いたしておりますが
病院、お医者様、個人、時代により
正確ではない部分がある事を御了承下さい。




