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声が聞きたい

第十七話



あれから美佳とは会えていない

電話で話す事も出来ていなかった。


もうすぐクリスマスで

美佳も忙しいんだろ


お店も大変なんだろうと、確か

大晦日まで開けていると言ってたよな


クリスマスを一緒に過ごすなんて事は

考えた事はない


出会った時から

そんな事が出来る関係の二人じゃない

事は理解していた。


それと年末年始も会えるとも

思ってなかった…


そんな普通のカップルがする事を

同じように出来るなんては思っていない。



ただ、声だけでも聞けるといいなぁと

思う、そんなわがままは許して欲しかった。


クリスマスイブ

(私は子供たちとファミリーレストランで食事を

 して、それなりの家族サービスをしていた)


それでも、片手でベルを握り震えるのを

待っていた


そんなクリスマスも終わり


会社も冬休みになっていた


大晦日の昼

私は妻と近くに買い物に来ていた。

…その時、美佳からベルが鳴った


「会社の人からベル」だと妻に嘘をいい

「電話してくるから、買い物してて」

 と言い、電話を探した。


見つけたが、先に話している人がいた。


少し待ったが、空きそうにない


上のフロアにも確か有ったので

急いでエスカレーターで上がった。


そこでも、電話中


大晦日の混んでいるお店


待っていると、電話があいた


しかし、時計を見ると5分が過ぎていた


私は掛けるのをやめた…


少しその場で待ったが


その頃美佳は

(パパは子供たちとお買い物をしてるのかな••)


もう一度ベルが鳴る事はなかった…


私は妻のところに戻った


ルールを破ってまで電話を掛けたかったけど

それをしてしまうと

雪崩れのように崩れて全てが消えて

しまうように思えた。


(この時ルールを破らなかった事がのちに

 自分に憤りを感じ、後悔を抱くことになる。)



お互いがお互いに気をつかい

 すれ違い…

このまま、年を越してしまった。


--------------------


1995年


年が明けても

美佳からのベルは鳴らなかった。


普段どおりの年越しで新年を迎えた


仕事も始まり、みんなともいつもの

ようにやっていた。


年明け後の三連休、みんなで初釣りに

行く事になった。


1月14.15.16の三連休の最後16日に

東二見、西明石の方へ魚釣りにいった。


冬の魚釣りはあまり釣れない

釣れなくても、仲間たちとワイガヤするのが楽しい


けど、釣れない事はない

冬物の根魚狙いにすれば

ガシラ(カサゴ)アイナメ、メバル

などはよく釣れる


その日もみんなで根魚狙いの釣りをしていた。


けど、みんな釣れず


また、ポイント移動


向こうに明石海峡大橋が見える穴場のポイントで

逆転をみんな狙っていたが、一向に釣れない

アタリすらない


来た時から釣りをしていた先客のお父さんに


『どうです?釣れてますか?』と尋ねた


『いや、あかんね!』


『毎週、来るけどこんなん始めてや』


『どっか行ってもうたんちゃうか』


お父さんの言う通り、全くダメだった



結局、誰一人釣れず、初釣りは終了した。



みんなで食事してから

『そしたら、また明日な』といい解散した。



今から思えば、ほんとうに不思議な感じで

底もんの魚達は翌日の事を察知して

本当にどこかにじっと隠れていたのかもしれない••



釣りの時も美佳からのベルが鳴らないか

ずっと期待していた。


いざとなったら、先輩が携帯電話を

持っていたので借りてでも掛けると

決めていた、がなかった…




夜、明日から仕事、美佳の旦那も仕事

だから、明日こそは久しぶりに電話

できないかなと思いながら

眠りについた…




5時間後、その期待が絶望感に変わる

想像を絶する事が起きてしまう。




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