普通電車
第十五話
あれから朝は早く出て
帰りも遅くして、毎日美佳のベルに
出れるようにしていた。
ベルが鳴ってもすぐ出れるように
いつもの電話BOXの前で
待機していた、行きも帰りも
その内、不審車両で通報されるかもしれない。
毎日ベルが鳴るわけもないが
毎日そうしてた
美佳の声がやっぱり聞きたくて
もう12月に入っていた、
街はクリマスムードになっている
久しぶりにベルが鳴った
電話したら、いつもすぐ取ってくれてる
「ハイ、元気でしたか?」
「うん、元気だよ、パパは?」
いつも始まりは同じ
それだけでまず、お互いの雰囲気がわかる
元気なのか?
沈んでるのか?
まぁまぁなのか?
今日はちょっと疲れているみたい
「疲れてるんじゃない?」
「そうだね、12月入ったからね
年末セールの企画で頭いっぱいなんだ」
「今週も月1のミーティングがあって
そのプレゼンしなくっちいけないし」
「けど、大丈夫!」
「そうだね、美佳はやればできる子」
「そうだよ、好きでやってるからね」
「がんばらないとね」
(美佳らしい元気が出てきた)
「本社いくんだね」
「そう、今週金曜日の午後からね
午前中はお店に出勤、お昼からは
真子さんに任せて12時にはでるかな」
「大変だね、ちゃんとご飯たべなよ
時間あるの?」
「う〜ん、梅田で時間あったらね」
今朝はこんな感じで終わった
◇金曜日
「それじゃ真子さんお願いします」
はい、店長いってらしゃい
12時8分の梅田行きに乗らないと
美佳は小走りで駅に向かった
駅の手前に真が立っていた
手を振りながら、小さな声で
「美佳」て呼んだ!
「パパ?なんで居るの?」
美佳は驚いた瞬間、思わず真に
抱きついた、人目をはばからず
また抱きついたていた
「ダメだよ美佳」
「みんな見てるってば」
「どうしたの」
「それより電車に乗ろ、8分発だよね」
美佳は驚いた顔で?乗るの?
「二人は電車に乗った」
「ねぇ、どうしたのよ」
「どうもしないよ」
「そんなわけないでしょ
会社はどうしたの?」
「早退した」
「なんで、だめじゃんそんな事したら」
「だって会いたかった」
「電車の中だと大丈夫でしょ」
「20分ぐらいは一緒にいれるしね」
「20分だけの為に?もう••ありがとうパパ」
こんな事ぐらいしか美佳にして
あげれる事がなかった、いや
こんな事をしても会いたかったのが
本当の気持ちだった。
他の乗客がいたが、短い間だけだが
二人だけの時間を楽しんでいた
あっという間に梅田に着いた。
「ごめんな美佳、おしゃべりして
プレゼンの予習ができなかったね」
「大丈夫だよ、昨日しっかりしたから」
時間が少し有ったので軽くお茶をして
美佳を見送った。
帰りも一緒に帰る約束をしたから
私は1人時間をつぶした。
1人だと時間を持て余して長かった…
何回かお茶をして、そろそろ
美佳が戻る時間になったので
阪急梅田駅までいった。
壁にもたれながら待ってると
そこに、美佳が戻ってきた
美佳は嬉しそうに私の腕をとって
「お待たせ」って言った。
美佳は腕を組んだまま歩いていた。
「プレゼンはどうでしたか?」
「バッチリだったよ、採用だよ」
「良かったね!美佳」
「頑張ったもんな」
「うん、採用されてよかった」
「めっちゃクリスマス頑張るよ」
えーと特急は何番かな
阪急はあんまりしらないから
探していると、美佳が
「こっちだよ」
「そっち?普通だよ」
「いいの普通電車に乗るの」
「少し長く一緒に居られるよ」
(私は微笑んでかるくうなずいた)
電車は普通なので椅子に座れた
こんなに近くで一緒に居れる
のは初めてかもしれない
電車デートもいいもんだなって
ずっとこのままで居たかった。
普通電車の少し長い大切な時間だった
その時間も、あと少しの時に
美佳が遠慮気味に聞いてきた
「パパ••
美佳ん家にまた来れる?」
(いけるわけがないでしょ!)
と思いながらも
「なんで?」と優しく聞いた
「ぜったい大丈夫な日があるの
ただその日をのがすと今年はもう…」
「クリスマスは会えないから
それまでに会いたいの…」
「わかった、いつなの?」
「来週の朝、」
「曜日は?」
「いつでも朝なら大丈夫」
「そしたら14日の水曜日にしよう」
「平日だよ、いいの?」
「念のためだね、時間は?」
「早いけど7時でもいい?」
「いいよ、大丈夫いくよ」
「ありがとう」
そんな約束をしていると
電車は岡本駅に着いた、
私は一緒におりて、美佳を見送った
「パパ今日はありがとう」
少し背伸びして、口にキスをした
「それじゃ、ね」
と手を振ってお店に戻っていった。
本当に危機感があるのか?
心配だった
ルールを追加しないと、と思いながら
内心嬉しかった。
また、家で会う事になった2人
まさしく密会だった
2人にとっての早めのクリスマスなのかもしれない
初めての2人のクリスマス•••




