2人のルール
第十四話
仕事が終わり、遠回りして田舎道の
途中の電話BOX前で車を停めた
(今は電話BOXも少なくなりそれを利用する
人もまず、居ない当時はまだ何かあれば
公衆電話だった、なので、あまり人の来ない
BOXだと気にする必要はなかった)
昼の電話は
お客さまが来られたので
話しが途中で終わってしまっていた。
美佳に仕事終わりに可能だったら
ベルを鳴らして欲しいと頼んでおいた。
「無理しなくていいからね」と念を押していた。
もうお店が閉まった時間だ…
30分たっても鳴らなかった、
旦那が迎えにきたのかもしれない
もう帰ろかと思った時、ベルが鳴った
(お店に電話する)
「ごめんなさい、待たせたね」
「ちょと商品の片付けをしてたの」
「旦那さんは大丈夫?」
「うん、大丈夫電話掛かってきた」
「片付けで遅くなるから、また連絡する
って言ったから」
「大丈夫だよ」
(今度は本当に大丈夫だよって強調
したかったのか、声が張ってた)
久しぶりの美佳からの連絡はもちろん
嬉しかったが、
戸惑いもある複雑な気持ちだった。
それは、あんな事があったのに
普通にする事などは無理だった。
わたしは正直に美佳に聞いた。
「僕はこれからどうすればいいか、わからない」
「美佳はどうしたいんだ?」
(男の私がこんな事を聞いてしまった)
美佳は少し考えてから
「気持ちに正直になりたい」
「覚悟はあるの?」
「何の」
少し間が空き、言葉を選んだ
「ずっと周りを裏切る事は出来ない僕も美佳も」
「どういう事」
「このままじゃダメって事」
「どこかでけじめを付けないといけない
時が来るよって事だよ」
「だから、けじめを付けれる時までは
ぜったいに、知られない様にするのがルールだよ」
「出来ます」
「わたしは仕事とパパが大切」
「だから、出来ます」
「僕も美佳が大切だよ」
(正直、この時は私の方が覚悟は出来て
いなかったのかもしれない)
これは
歳上の私が美佳に翻弄されていたのかも
知れないが、純粋に美佳を失いたくないと
心から思っていた。
「美佳の気持ちはわかった」
「長くなると旦那さんに勘づかれると
いけないから、切るよ」
「待ってパパ」
「私からはパパのベルを鳴らすしか出来ないから」
「それでもいい?」
「いいよ」
「声を聞きたい時は?」
「鳴らしくれたら、こっちから掛ける」
「ただ5分以内に掛かってこなければ
電話は無いと思って」
「それと、美佳の方も3コールで
取らなければ切るね」
それの方が安全でしょ
比較的電話出来るのは
お昼と夕方5時半以降かな
それと朝の7時から
仕事中も少しなら掛けれない事はないから•••
と細かく可能性のある時間帯を説明していた。
私も美佳と繋がっていたかったから…
「それじゃね、早く旦那に連絡して」
「うん、パパ、バイバイ••またね」
あんな事があったからとは言え少し
神経質過ぎたかもしれないと
電話を切って思った。
また、すぐベルが鳴った
美佳からだった
すぐ電話した
美佳も1コールで出た
「どうしたの?」
「まだ居るかなって思ったの」
「せっかちじゃなくて良かったね」
「うん」(嬉しそうに)
「で?何か忘れた?」
「会いたい時は?」
こんな状況で会えるのかな?
少し考えていた、返事に困って
「時期が来たらまた会えるよ」
「本当?」
「必ず会えるよ、約束する」
「約束ね」
電話を切って、車で30分待ってから帰った。
また、美佳との繋がりが始まった、ただ
これは辛くて苦しい思いをする日への
カウントダウンの始まりでもあった。
大切な美佳が近くに居なければ
そんな思いも経験もしなくてすんだはず
の大きな出来事が近づいていた。
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