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絶え損ないの人類共  作者: くまけん
第二章 ルタ大陸編
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第127話 「終わりを求めた科学者」

 長らくお待たせしました。連載再開です。

 滅びを望む者がいた。

 復興を望む者がいた。

 団結を望む者がいた。


 求めた世界を作るために。求めた未来を掴むために。

 皆、信念の元に行動を起こした。


 そして、人類の行く末を傍観する者が、ここに一人。


「あはは。予想通り、中央都市は落とせなかったね。あと一歩だったんだけどなー」

 彼女は膨大な量の資料に囲まれながら、巨大なディスプレイを凝視し、呟いた。文字と図形だらけの、この空間。圧倒的な情報に押し潰されそうな、狂った部屋だった。どこもかしこも、情報、情報、情報。彼女が天才的研究者でなければ、きっとこんな場所にはいられなかっただろう。観察と、推測と、真理のために存在した、彼女だけの観察室だ。彼女のみに許された空間だ。

 彼女がディスプレイを見つめる目は、どこまでも無気力だった。何もかもに飽きて、失望している目。期待も、希望も、欲望も無い、乾いた視線だった。

 なのに、彼女は笑っていた。ありふれた結果も、予想通りの未来も、全部つまらないと知っているのに。滅したいと思っているのに。でも、彼女は何度でも可能性を捨てなかった。

 それは彼女が科学者であるが故なのか。それとも、何かが彼女の心を動かしたのか。


「分かってる分かってる。全部シナリオの範囲内だ。アイズが中央都市を救ったことも、予定のうち。だからさ。そろそろ次のステップに行こうか」

 彼女は後ろを振り返り、部下の女に命令した。

「クロムちゃんとカインズ君。二人を生きたままここに連れてきてくれないかな。できれば二人とも連れてきて欲しいけど、難しいようだったらどちらか片方でいいよ」

 部下の女は黙って頷き、自らの武器を手にとって部屋を出た。

「返事くらいしてよ。『黙ってろ』って命令は取り消すからさ」

 彼女は不満げに言ったが、部下はとうに部屋を出ていた。

 静かな部屋に、ディスプレイから出る音のみが響く。


「従順だね、あーちゃんは。そういうところも可愛いよ」

 彼女は白衣を脱ぎ、希望の潰えた目で世界を見ていた。

 滅んだ国の地下深く、どこよりも悲しいこの場所で。


 全ての終わりは、ここから始まったのだった。


              *   *   *

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