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絶え損ないの人類共  作者: くまけん
第一章 チェルド大陸編
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第110話 「濡れ濡れユリーナ」

 ユリーナはマイクを片手に、『イマジンハート』のビルを後にした。ユリーナが道路を歩いていると、雨が降り始め、その後、急に下から突風が巻き上がった。

 大風が「我が使命」とばかりにユリーナのスカートをめくった。ユリーナの太ももと、下腹部を覆う下着が露になる。丸見えと言い換えてもいい。いや、誰も見ていなかったのだが。

 ユリーナの太ももは若々しくスベスベで、程よい肉付きがあった。山育ちだったため、足を使うことが多く、健康的な肢体だ。その白い肌に、台風の雨が滴る。雨の雫はユリーナの脚を舐めるように這っていき、ユリーナの汗や老廃物などを飲み込みながら地面に落ちた。

 ユリーナのピンク色のパンツにも雨が染み込んでいく。元々内側からの水分で濡れ濡れだったパンツは、外側からの水分を受けてさらに濡れ濡れになった。パンツの湿度が上がり、冷たさを感じたユリーナは、慌ててスカートを押さえた。

「あひゃぁ!」

 ユリーナは嬌声のような甲高い声をあげた。スカートの前面に両手を持ってきて、スカートが巻き上がるのを防ぐ。

 だが残念。その押さえ方だと後ろから丸見えだ。いや、誰も見ていなかったのだが。

 手で動きを止められていない、スカートの後ろ半分は、風に煽られて上を向いていた。まるでスカートが興奮して暴れているかのようだ。

 ユリーナのパンツにどんどん雨水が入り込み、肌に密着していく。ユリーナの下半身のラインが浮き彫りになり、水で透けたパンツが、内側の肌色をさらけ出した。大きすぎず、小さすぎない、二つの肌色の山。本来なら中身を隠すはずのパンツが、今回は中身の形と柔らかさを声高に主張しているかのようだ。

 パンツの蒸れが激しくなるにつれて、ユリーナの恥ずかしい匂いが雨風に溶け始めた。クロムのことを想っていた時に分泌された液体の匂いが、中央都市の空気に混じっていった。

 パンツが食い込んで下半身の丸い凹凸が露骨に現れたところで、風の勢いが衰えた。随分強烈な暴風雨であった。

「な、何? この風……」

 いい仕事をした今の風は、ガラス天井が開いたことによる空気の移動である。ガラス天井の穴から、暖かくて気圧の高い空気が漏れ、街の外の冷たくて気圧の低い空気に移動した。その結果、街全体の空気が上方向に移動し、下から突風が吹き出したのだ。外の空気も街の中に入ってくると、気圧差が縮まり、風が弱まった。街全体が大きな壁で覆われているというのも、風が小さくなった理由の一つだ。中央都市は台風の中にいるのだが、壁のおかげで、この風は比較的大した威力ではない。

 台風の雨は、風に飛ばされながら中央都市に降り注いだ。激しい雨がユリーナの髪を、肌を、服を濡らしていく。上から下までしっぽりだ。


 ユリーナは上空を見て、言った。

「空のガラスがどっか行っちゃったのかな。暗い雲が見える」

 天井のガラスが偽物の空を映し出していることは聞いていた。あの晴天の空が雨雲に変わっているということは、今、上空にガラスは無い。

「雨、か……」

 雨が予想以上に体力と体温を奪うことを、ユリーナは知っていた。中央都市の快適な環境で育ってきた住民が、いつまでこの雨に耐えられるのか。早く、安全な建物に避難してもらわなくては。

「急がなくちゃ」

 ユリーナは走って、逃げ行く人々を探した。

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