↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさん、殺し屋少女と家族になる  作者: Atelier Lotus文庫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
85/115

第84話 家族

 翌朝。


 カーテンの隙間から、柔らかな朝日が差し込む。


 恒一が目を覚ますと、玲もゆっくりと身体を起こした。


「おはよう」


「ああ」


 少しだけ気まずい沈黙が流れる。


 恒一は照れくさそうに頭を掻く。


「玲」


「何だ?」


「昨日のことは……忘れてくれ」


 玲は首を傾げた。


「なぜだ?」


「普通」


「大人の男は泣かないんだよ」


 玲は真顔で答える。


「でも」


「泣いていたではないか」


「うるさい」


 玲は少し笑う。


「変なやつだ」


 ◇


 夕方。


 二人は食卓を囲んでいた。


 玲が味噌汁を一口飲む。


「うまい」


「そうか」


「でも」


「少し味が濃い」


 恒一が苦笑する。


「昨日は薄いって言っただろ」


「だから濃くした」


「極端なんだよ」


「これくらいでいい」


「いや、ちょっと濃いって」


 玲は箸を置いた。


「細かい」


「料理は勢いだ」


「勢いで味付けするな」


「こういち」


「しつこい」


「味見しろって言ったの玲だろ」


「黙って食え」


「理不尽すぎる」


 二人はしばらく睨み合う。


 そして。


 どちらからともなく吹き出した。


「ふふっ」


「はははっ」


 部屋に笑い声が響く。


 少し言い合って。


 少し笑って。


 また一緒にご飯を食べる。


 二人はまだ知らない。


 もう互いを。


 家族だと思い始めていることを。


 そして。


 こんな他愛ない喧嘩さえも。


 二人にとっては、何より大切な日常になっていたことを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。