↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさん、殺し屋少女と家族になる  作者: Atelier Lotus文庫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
72/115

第71話 褒めて

 玲は少しだけ寂しそうに笑った。


「父は」


「十七代目当主だった」


「母も強かった」


「物心ついた時から」


「二人とも厳しかった」


 恒一は静かに耳を傾ける。


「私は」


「強くなれば」


「褒めてもらえると思ってた」


 玲は自分の膝を見つめる。


「もっと強くなれば」


「頭を撫でてもらえる」


「抱き締めてもらえる」


「よく頑張ったって」


「言ってもらえる」


 少しだけ笑う。


「だから」


「頑張った」


「毎日」


「痛くても」


「苦しくても」


「泣きたくても」


「全部我慢した」


「でも」


 玲はゆっくりと首を横へ振る。


「返ってくる言葉は」


「『まだ足りない』」


「それだけだった」


 部屋に静かな沈黙が流れる。


 玲は少し考えるように目を伏せる。


「今思えば」


「父も母も」


「私を憎んでいたわけじゃなかったのかもしれない」


 恒一は玲を見る。


「獄蓮会に逆らうには」


「誰よりも強くならないと生き残れなかった」


「だから」


「私を強くしようとした」


「ただ」


 玲は寂しそうに笑う。


「やり方を知らなかった」


「褒め方も」


「愛し方も」


「きっと知らなかった」


 恒一は何も言えなかった。


 玲の両親もまた、獄蓮会という歪んだ世界で育ち、その価値観しか知らずに生きてきたのかもしれない。


 だから娘へ与えられたのは、愛情ではなく鍛錬だった。


 玲はぽつりと呟く。


「それでも」


「一度くらい」


「頑張ったなって」


「頭を撫でてほしかった」


 その小さな願いは、歴代最強と呼ばれた少女には、最後まで叶わなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。