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おっさん、殺し屋少女と家族になる  作者: Atelier Lotus文庫


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第69話 友達

 少し長い沈黙が流れた。


 恒一は、ふと気になって尋ねる。


「玲」


「友達はいなかったのか?」


 玲は少しだけ考え、小さく頷いた。


「いた」


 その一言に、恒一は少し安心した。


「親戚のお兄ちゃん」


「お姉ちゃん」


「立ち合いでは本気で戦う」


「でも」


「訓練が終わると」


「みんな優しかった」


 玲の表情が、少しだけ柔らかくなる。


「鬼ごっこした」


「かくれんぼもした」


「木に登ったり」


「虫を捕まえたり」


「私が負けると」


「みんな笑ってた」


 恒一は思わず笑みを浮かべる。


「ちゃんと子どもだったんだな」


「ああ」


 玲も少しだけ笑った。


「お兄ちゃんたちは」


「痛い修行の後でも」


「『頑張ったな』って」


「頭を撫でてくれた」


「お姉ちゃんは」


「泣いてると」


「大丈夫って抱き締めてくれた」


 その笑顔は、とても穏やかだった。


 恒一は初めて見る玲の表情に、少しだけ安心する。


「よかったじゃないか」


 玲は静かに頷く。


「ああ」


「みんな優しかった」


 そして。


 その笑顔が、すっと消えた。


「でも」


「もう」


「みんな死んじゃった」


 恒一の表情が固まる。


「……えっ?」


 玲は静かに俯いた。


「組同士の抗争で」


「みんな帰ってこなかった」


 部屋から、音が消えた。

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