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第63話 嫌だった修行
玲は温かいお茶を一口飲み、小さく息を吐いた。
恒一は恐る恐る尋ねる。
「一番嫌だった修行って何なんだ?」
玲は少し考えた後、小さく笑った。
「全部嫌だった」
「そりゃそうだよな……」
「ああ」
「痛いのばっかりだからな」
玲は恒一を見た。
「こういちは」
「痛いの好きか?」
「好きな奴なんているか」
恒一は即座に首を横へ振る。
「注射だって嫌だし」
「歯医者だって嫌だ」
「できれば一生痛い思いなんてしたくない」
玲は少しだけ口元を緩めた。
「普通はそうなんだな」
「当たり前だ」
「私も嫌だった」
少しだけ笑う。
「でも」
「順位はある」
恒一は身を乗り出した。
「一番は?」
玲は静かに答える。
「貫手」
「指を鍛える修行だ」
その一言だけで、恒一の表情が曇る。
玲は湯呑みを静かに置いた。
「あれだけは」
「本当に嫌だった」
そう呟く玲の表情は、これまでで一番苦しそうだった。




