第49話 添い寝
夜。
夕食を食べ終え、歯を磨き終えた二人は、それぞれ寝る準備をしていた。
恒一は立ち上がる。
「じゃあ、おやすみ」
寝室へ向かおうとした、その時。
「こういち」
「何だ?」
「今日は一緒に寝ろ」
恒一は思わず振り返る。
「……は?」
「何で?」
「一緒に寝ろ」
「命令だ」
恒一は頭を掻く。
「いや、それはまずいだろ」
「何がまずい?」
「十四歳の女の子と同じ部屋で寝るのは、普通いろいろまずいんだよ」
玲は首を傾げる。
「そうなのか?」
「ああ」
「だから別々に――」
「命令か?」
「ああ」
玲は小さく頷く。
「私の命令だ」
「逆らったら?」
「……殺すぞ」
「最近、その使い方おかしいぞ」
「いいから寝ろ」
「はいはい……」
結局、恒一は折れた。
二人は布団を並べる。
「これでいいか?」
「ああ」
電気を消す。
部屋は静かになった。
しばらく沈黙が続く。
恒一は天井を見つめながら口を開く。
「どうしたんだ?」
「急に一緒に寝たいなんて」
返事はない。
少し間を置いてから、玲が小さく呟く。
「……一人は」
「少し苦手だ」
その声は、今までで一番小さかった。
恒一は何も聞き返さない。
「そうか」
ただ、それだけ答えた。
「ありがとう」
玲は何も言わなかった。
けれど、その夜はすぐに寝息が聞こえてきた。
いつもより、ずっと安心したような寝顔だった。




