第44話 朝
休日の朝。
時計を見る。
もう十時を過ぎていた。
恒一は寝室を覗き込み、小さくため息を吐く。
「あいつ……」
「昨日も遅くまでゲームしてたからな」
布団の中では、玲が気持ち良さそうに眠っている。
「おーい」
返事はない。
恒一は苦笑しながら、玲の肩を軽く揺すった。
「玲」
「朝だぞ」
玲はゆっくりと目を開ける。
「……朝か」
それだけ言うと、小さくあくびをした。
恒一は思わず笑う。
「そういえば最近、起こしても殺されなくなったな」
「うむ」
玲は眠そうなまま頷いた。
「お前は私を殺さないだろ」
「まあな」
「起こすために来てるだけだし」
玲は満足そうに鼻を鳴らす。
「ふん」
恒一は少し意地悪そうに笑った。
「やっぱり俺のこと信頼してるんだな」
玲は勢いよく布団から起き上がる。
「違う!」
「前にも信頼がどうとか言ってたけどな!」
「こういちが弱すぎるだけだ!」
「私を殺せるわけがない!」
「勘違いするな、ボケ!」
「はいはい」
恒一は笑いながら頷く。
「じゃあ、朝飯できたら呼ぶから」
玲はふてくされたように布団へ潜り込む。
「最近のこういちは調子に乗りすぎだ……」
頭まで布団を被る。
恒一はその様子を見て苦笑した。
「ほら、二度寝するなよ」
「……あと五分」
「十分後も同じこと言うだろ」
「言う」
「自信満々だな」
恒一は笑いながら寝室を出ていく。
布団の中の玲は、小さく口元を緩めた。
「ふん……」




