表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさん、殺し屋少女と家族になる  作者: Atelier Lotus文庫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
36/115

第35話 普通が楽しい

 休日。


 恒一と玲は、いつものようにゲームで遊んでいた。


「そこだ!」


「甘い」


 玲の必殺技が決まり、ようやく一勝する。


「勝った!」


 ソファから立ち上がり、両手を突き上げる。


「やっと勝ったぞ!」


 恒一は苦笑した。


「おめでとう」


「ふん」


「当然だ」


 そう言いながらも、玲の口元は少し緩んでいた。


 昼。


 二人はいつものラーメン屋へ向かう。


「ラーメン!」


 店へ入るなり、玲は嬉しそうに席へ座る。


「相変わらず好きだな」


「ああ」


「うまいからな」


 湯気の立つラーメンを頬張り、幸せそうに目を細める。


「やっぱり一番好きだ」


「そんなに気に入ったか」


「うむ」


「毎日でもいい」


「それは栄養が偏る」


「むぅ……」


 食後。


 二人はスーパーで買い物を済ませる。


 魚売り場の前で、玲が足を止めた。


「魚だ」


「お前、魚好きだよな」


「ああ」


 恒一は少し考えて笑う。


「そうだ」


「魚がいっぱいいるところ、行くか」


 玲の目が輝く。


「食えるのか?」


「食えない」


「じゃあ何しに行く」


「見るんだよ」


「見るだけ?」


「ああ」


「変な趣味だな」


 数十分後。


 二人は水族館へやって来た。


 大きな水槽の中を、色とりどりの魚たちが泳いでいる。


 玲はガラスへ張り付くように見つめた。


「すごい……」


 大きなエイが頭上を泳ぐ。


「おお……」


 小さな熱帯魚の群れ。


「綺麗だな」


 ペンギンがよちよち歩く。


「何だあいつ」


「可愛い」


 館内を歩き回り、時間はあっという間に過ぎていく。


 帰り道。


 夕焼けに染まる街を、二人は並んで歩いていた。


 玲は紙袋を揺らしながら、小さく呟く。


「なあ」


「何だ?」


 玲は少しだけ空を見上げる。


「生きるって」


 一拍置いて笑った。


「悪くないな」


 恒一はその横顔を見て、静かに微笑む。


「ああ」


「そうだな」


 玲はまだ知らない。


 この何気ない一日が、自分の人生で一番幸せな時間になり始めていることを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ