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おっさん、殺し屋少女と家族になる  作者: Atelier Lotus文庫


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SS 第7話 友達

 帰り道。


 夕焼けに染まる道を、玲とひよりは並んで歩いていた。


「今日は楽しかったー!」


 ひよりは両手を上げて大きく伸びをする。


「ていうか、玲ちゃんすごすぎ!」


「本当に今日が初めてなの?」


 玲は少しだけ考える。


(実戦は何度もあるとは言えない)


 もちろん、本当のことは言えない。


「……初めてだよ」


「多分、昔ちょっと格闘技をやってたからかな」


「ははは」


 ぎこちない作り笑い。


 それでも、ひよりは疑うことなく目を輝かせた。


「すごーい!」


「だからあんなに強かったんだ!」


 玲は曖昧に頷く。


「玲ちゃん!」


「今度、私にも教えてよ!」


「私も玲ちゃんみたいな動き、できるかな?」


 玲は少し困ったように考えた。


(……多分、出来ないと思う)


 だが、それは口にしなかった。


「……頑張れば」


「本当!?」


「じゃあ、その時はよろしくね!」


 ひよりは満面の笑みを浮かべる。


 そして歩きながら言った。


「また一緒に遊ぼ!」


「今度は他の友達も誘うね!」


 玲は少し照れながら頷く。


「……うん」


 ひよりは当たり前のように笑った。


「友達だからね!」


 友達。


 その言葉が胸の中で何度も繰り返される。


(友達……)


 殺し屋だった頃には、一度も呼ばれることのなかった存在。


 誰かと笑って歩く帰り道。


 他愛もない約束。


 「また遊ぼう」という言葉。


 その一つひとつが、玲には新鮮だった。


 胸の奥が、じんわりと温かくなる。


 玲は小さく笑った。


「……ああ」


 普通の放課後は。


 思っていたよりも、ずっと温かかった。

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