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おっさん、殺し屋少女と家族になる  作者: Atelier Lotus文庫


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SS 第8話 ただいま

 夕暮れ。


 玄関の扉が開く。


「お父さん、ただいま!」


 リビングから恒一が顔を出した。


「おかえり」


 玲は自然と靴を脱ぎ、家へ上がる。


 そんな何気ないやり取りも、今では当たり前になっていた。


 恒一は笑いながら尋ねる。


「学校はどうだった?」


 玲は少し考える。


「……よく分からなかった」


「そうか」


「合わなさそうか?」


 玲は首を横に振った。


「ううん」


「まだ、よく分からないだけ」


 一拍置いてから、小さく続ける。


「でも」


「今日、友達ができた」


 恒一は少し目を丸くする。


「おっ、本当か」


 玲は頷いた。


「サバゲーもやった」


「褒められた」


 短い言葉だった。


 けれど、その声には少しだけ嬉しさが混じっていた。


 恒一は何も言わず、玲の頭を優しく撫でる。


「よく頑張ったな」


 玲は少し照れくさそうに笑った。


「……全部、お父さんのおかげだ」


 恒一はゆっくりと首を横に振る。


「違う」


「玲が勇気を出したからだ」


「学校へ行ったのも」


「友達を作ったのも」


「全部、玲が頑張った結果だ」


 玲は少しだけ目を伏せる。


 そして、照れ笑いを浮かべた。


「……ありがとう、お父さん」


 恒一も穏やかに笑う。


「ああ」


 普通の学校。


 普通の友達。


 普通の放課後。


 その一つひとつが、玲にとっては初めての宝物だった。


 朝霧玲は今日、また一つ――


 “普通の女の子”に近づいた。

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