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その自慢話、全部超えてやる。〜誇示超越《ブラグ・トランセンド》〜  作者: 悪頭


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第1話 初めての誇示超越

 

 暗い。

 いや、その表現は間違ってる。



 夢か?それも違う。

 夢を見ていない時の睡眠時に意識だけある様な……。




「……貴方は、よく耐えましたね。来る日もくる日も周りの声に耳を傾けましたね。」




 ん?反射的に返事をする。



「この世界には、時に“語られるに値しない言葉”があふれています。でもあなたは、それらを全て聞ききった。」



 違う。俺は聞き流してただけだ。

 ただ単に、適当に相槌を打って肯定してるように返事をしていただけだ。



「それでも、貴方は最後まで聞ききったでしょう?そんなに自分を下げるものではないですよ。」



 声の出処が分からない。

 だが、心地よく優しく包み込んでくれるような声だ。




「これからは、その者達の声を、誇示を、自慢を……力に変え超えて行くのです。」




 意識が朦朧としているせいか何を言ってるかよくわからん。



 そして俺の視界に浮かんだのは、無数の言葉だった。



 《すごいだろ?》

 《俺は昔、~だった》

 《あの時の俺はな……》



 やめろ。もう聞きたくない。うんざりなんだ。



「“こちら”を貴方に授けます。」



 次の瞬間、胸の奥深くに熱が走る。



 オートスキル:誇示超越ブラグ・トランセンドを習得しました。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「い……って」



 痛みを感じる身体がある。

 生きているのか?

 てっきり俺は死んだのかと思っていた。



 身体を起こそうと少しずつ力をいれると、そこら中にある枯葉がパリパリと音を立てる。



「やま……?」



 見た事もない場所にいると言うことに気付き何の意味もない言葉を発する。

 理解できない状況からの恐怖心を、押し殺す為に必要な行為だった。



 幸いなことに、手足に問題はない。

 これなら歩けそうだ。



 その時



「た、たすけて…」



 酷く怯えている声が微かに聞こえる。



 まだピントが合わない目を凝らし、声が聞こえた方をよく見てみる。



 ぼやけた視界が、少しずつ晴れていく。



 小さな女の子が、襲われている。

 ってなんだあれは?まるでゲームに出てくるモンスターだ。



 パッと見は狼だが、青白い毛で覆われ近くの木々を焦がしながら近づいている。



 一瞬、炎かと思ったがチリチリと音を立てている様子から電気ということが分かった。



 架空の世界では何も思わないだろう。だが、実際に目の当たりにすると恐怖を覚える。



「……大丈夫っ?」



 透明感のある金色の髪をなびかせながら女の子が目の前に現れた。



「あっ……」



 同じタイミングで飛び出た俺、出た事を後悔しながら無言で金髪娘の後ろに隠れる。




「えっ?お姉ちゃん?大丈夫なの……?」




「任せて、これでもギルド所属の冒険者なんだからっ」



 ウインクしながら幼い女の子の前に立つ。



「護身用の短剣しかないけど……まぁ、しょうがないか。短剣は専門外なんだけどねっ」



 2度目のウインク。

 ……一気に不安になる。



「ねぇ、白髪の君!ねぇってば!!」



 お、俺か?俺はまだ20代だぞ?

 ストレス三昧の日々だからといってそんなに白髪だらけでない。

 大丈夫だよな?え、心配になってきた。



「グルルルル……」



 やつは一歩、また一歩と確実に近づいてきている。

 遂に、獲物を狩る準備が整ったと言わんばかりに、俺を含めた3人に飛びかかってくる。



 金属と金属が何度もぶつかる様な音が聞こえるが、どちらの動きも目で追えない。



 あのこは、リーチもくそもない短剣で、狼の爪と牙を全て弾き受け流してみせた。



 ただ、少しずつだが押され始めてるのが、素人の俺から見ても分かる。



 もう限界だ。



「あーもうっ!左腕が使えればこんなやつ炎属性魔法で一撃なのにっ!!」




 ーーオートスキル発動ーー


 誇示超越ブラグ・トランセンド




 ……?



 目覚める前に聞こえた声がもう一度、頭に響いた。



「グルルル……グヴァウッ!!!!」



「くっ……!」



 一瞬だけ金属音が鳴り、短剣は弾かれて目の前に落ちた。



「っ!君達だけでも逃げて!!!」



 畜生、仕方ない。

 転生?したのに、また死ぬのか俺。



 ……いつの間にか、転生してたことを理解してた自分自身に驚きながら、短い剣を持ち狼に似た化け物に向かって行く。



「炎刃……炎霞一閃!!!」


「え?え、なに?」


 勝手に声が出た。ついでにアホそうな声も出た。

 短剣が炎を纏ったかと思えば、周りがぼんやりして狼くんが一突きされていました。まる。



「あの技……私のと……」



 何か聞こえたけどどうでもいい。

 玉砕覚悟で突っ込んだらどうなってるの?

 どうなっちゃうの?俺。



 と、とりあえず今は助かったことを喜べばいいのかこれは。



 喜び方を知らなかった為、とりあえずのピース。



 イェーイ、ピースピース。



 異世界での初ピースを決めた俺はそのまま振り返った。



 う、うん。ごめんね?なんかごめんね。



 少しだけ笑顔が引きつっている綺麗な少女と、可愛い女の子がそこにはいた。



「さ、さぁ!お家に帰ろうかー!」



 オペラ調で2人に帰るように促す。




 ん?待てよ?俺の家ってあるんだっけ……?


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