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第05話 流れ猫の絆

「なあゴン爺。何であんたは俺にこんなに良くしてくれるんだ?」


ゴン爺からのレクチャーの合間に聞いてみた。


「儂も昔は流れ猫だったんだ。流れていると、いろんな猫と親しくなることもあったが、もう二度と会うことはない。でもな、儂はあいつらのことは死ぬまで忘れないだろう。きっと、あいつらも同じだと信じている。それが絆ってもんだろ。離れて会えなくなったら終わりってもんじゃない。親しくなった相手との時間は自分の財産だ。そう考えれば、出会った相手にできるだけのことをするのは、相手のためだけではなく、自分のためでもあるのさ」


そうか、俺にはテツという親友がいた。ジャンプやチョコという肉親もいた。俺の身勝手で町を出てきてしまったことに対して、後ろめたさを感じていたが、ゴン爺の言葉でその気持ちが少しだけ軽くなったような気がした。


「こうして一緒に過ごす時間が少しでも楽しかったと思ったら、思い出してくれるだけでいい。儂は儂でお前の旅の安全を願い続けるさ」



数日後の夜、俺とゴン爺は道の駅にいた。

1台の軽トラックが駐車場に入ってきたのを見つけ、ゴン爺が言った。


「ミー助、チャンスだ。ここに寄る車というのは、まだ走る予定があることが多い。あの軽トラックの荷台に乗れば、お前が歩くよりよっぽど遠くまで連れていってくれる」

「荷台に乗る!?」

「そうだ。荷台だったら車が止まったタイミングですぐ飛び降りることができる。車がお前の目指す行先でないと思ったら迷わず飛び降りろ」

「うん、わかった」

「隣に車が停まっていればボンネットから屋根伝いに飛び移るという手もあるんだが、今回は奥の手だ。ミー助、儂の背中に乗れ。儂がジャンプするから、一番高いところでお前もジャンプして荷台に飛び乗れ」


二段ロケットみたいで恰好いいじゃないか。俺は言われるままにゴン爺の背中から軽トラックの荷台に飛び乗った。一発で上手くいったことに満足そうな顔をしているゴン爺に向かって声をかけた。


「ゴン爺、今までありがとう。あんたのことは絶対に忘れない」

「ミー助、達者でな。儂もお前のことは忘れないぞ」


向こうの暗がりでは、グレや知り合いになった猫たちが心配そうに見ている。人間のように手を振ることができないのが悔しい。俺は、心の奥で強く絆を感じながら別れを告げた。



いよいよ、俺の旅が本格的に始まった。



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