第32話 作戦会議
あの日、ブライが二匹のメス猫と取り巻きの数匹と一緒にいたという噂が立った。あれっきり見かけることはなくなったので、おそらく町を出ていったんだろうとヤスケが言った。
たくさんの小傷はあったが、深手は負っていなかったノブの身体はほぼ回復している。次はキング戦に向けての作戦会議だ。
俺は遠からずこの町を去ることになる。だから、この町のこと…ブライやキング、ヤサカとの戦いなど…はノブが主体になってほしいと考えている。もちろん、戦略を練ったりノブが有利になるための知恵はどれだけでも出すつもりだ。
「次はキングだな。トウキチ、キングはどんな猫なんだ?」
「体はノブより二回りほど大きくて力が強い。気が短くて気に入らないことがあるとすぐ手を出す。そんな時の相手は瞬殺だ」
「長い時間戦った相手はいるか?」
「いない」
「誰かに傷を負わされたことは?」
「それも聞いたことはない」
これは希望を含めた憶測だが、そういう猫は得てして持久戦に弱い。もっと言えば、自分が傷つくことが嫌いかもしれない。
「俺もミー助の見立てに賛成だ。今まで数えきれない相手と喧嘩してきたが、強いヤツにはそういう傾向がある。まぁ、俺もどちらかと言えばそんなタイプだからよくわかる」
俺たちより場数を踏んできたヤスケが言うのだから、読みはあながち間違っていないだろう。キングにダメージを負わせることは難しいかもしれないが、できるだけスタミナを奪うことが勝利への近道だ。
「ランマ、トウキチ。重要ミッションだ!」
俺が考えたプランをこの場にいる仲間に聞かせた。
「ミー助、そのやり方は少しズルくないか?」
ノブがちょっと不服そうな顔をして言った。
「ノブ、お前がやろうとしていることは脳筋の喧嘩じゃないんだぞ。お前の使命を果たすための戦いなんだ。お前が勝つという目的のための俺たち全員の戦略だ。もちろん、寄ってたかってなんて卑怯なことはしない。お前にはキングとサシで戦ってもらう」
俺はトウキチにキングの居場所を教わり、誰かに見つからないように一匹で下見に行った。ノブが勝つためにできるだけのことはする。
俺って軍師っぽいよね。
こんな役割もまんざらでもないんだけどさ。
いよいよキングとの戦いの日だ。




