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第28話 メス猫の誘惑

俺もノブも強い。だが、自分には決して危害を加えることがない存在だとわかったトウキチは、俺たちに心を許すようになった。ランマもトウキチに懐き始め、一緒に過ごす時間が多くなってきた。


そんな俺たちを、最初は遠巻きに見ていた他の地猫も一匹、また一匹と知り合いになってきている。



トウキチをはもちろん、俺たちに近づいてきた猫はみんな揃って弱い。


それなりに腕の立つ猫は一匹で生きるか、この地を去っていく。弱い猫は嫌でもキングかブライに擦り寄って生きるしかない。トウキチが言っていた通りだった。


俺たちが始めたことは、知り合った猫たちを訓練することだった。最初は尻尾盗(しっぽと)りから、平行して体力作りや疑似的な喧嘩。疑似的な喧嘩と言うのは、相手を攻撃する練習。もちろん相手を傷つけることは禁じたが。


そんな訓練の先生になったのは、なんとランマ。ランマは子猫と言っても一緒に旅をしてきて、その間にだいぶ鍛えられたからレベルが違う。



「ランマ、トウキチと一緒に遊んでいてくれ。俺とノブは少し出かけてくる」

「は~ぃ、いってらっしゃい」


今まで誰かに頼られたことがなかったランマだが、地猫から先生扱いをされて満更でもなさそうだ。『誰かに教えることは自分を育てる』まさにそんな感じだね。



俺とノブはこの町のことをもっと知るために、あちこち歩いたり、猫の様子を見たりしていた。


「お兄さんたち何してるの? 一緒に遊びましょう」


そんな俺たちに白いメス猫が二匹で近づいてきた。姉妹なのか、同じくらいの大きさでそれなりに可愛いが、なんとなくいい雰囲気はしない。


「なんだ、お前たちは?」


俺と同じような感じを受け取ったのか、メス猫に声をかけられたことがないから照れ臭かったのか、ノブがぶっきらぼうに応えた。


「ねぇ、ねぇ、遊びましょう~ 二対ニでいいこと…しましょ」

「いいよ、また今度な」


これ、怪しすぎるじゃんね。それ以上は関わらないでその場を去ろうとした。



「やめて~ イヤイヤ、怖~い」 「誰か~ タスケテ」


メス猫たちが大きな声を出した瞬間・・・


「おい、おい。お前らブライさんの彼女さんに何してんだよ」


はい、怖いお兄さん登場! ハニートラップのお手本みたいな展開だね。


その時にはもうメス猫はいなくなり、俺とノブは三匹の猫に囲まれて、ブライという猫の所へ連れていかれることになった。



こんな奴らボコボコにできるのはわかっているけれど、怖いフリをして黙って歩き始める時にノブを見たら、嬉しさを隠し切れない顔をしてる。



ノブ、俺も同じ気持ちなんだけど、もう少し演技しようよ。




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