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第21話 元旦の誓い

ランマを加えて俺たちは旅を再開した。おかしなもので、ノブの行くべき場所を探すことが目的のはずが、結局は俺の旅に付き合わせてしまっている。


「ミー助、どっちへ向かうんだ?」

「このまま海沿いに進もう」


これから間もなく冬が来る。観光案内の看板で確認し、人間があまり住んでない上に寒さが厳しい山あいは避け、海沿いに進むことにした。


いくら勝手に付いてきたと言っても、ランマはもう俺たちの仲間だ。旅に出るのが初めての子猫に無理をさせるつもりはないので、今までより歩く時間を相当減らした。その代わり、ランマを鍛えたり街や港で食料確保の仕方を教えるなどの時間を割くようにした。(On-the-)(Job)(Training)ってやつだね。


街中に行ってみると、なんとなく気忙(きぜわ)しそうな人が多い気がする。店の飾りつけが派手になり、楽しそうな音楽が鳴っている。太ったおじさんや若い女の人がサンタクロースの恰好で、道行く人に声をかけている。そうか、クリスマスシーズンなんだ…



日和(ひよちゃん)、パパさん、ママさんが暖かい部屋の中で切り分けたケーキを食べて、楽しそうにプレゼント交換。犬の俺にもペット用のケーキをおすそ分け...あの頃のことを思い出してしまう。



「ミー助、どうしたんだ。寂しそうな顔をして」


前世のことを思い出し、ノスタルジックな感傷に浸る俺にノブが声をかけてきた。


「ごめん、ごめん。寂しくなんかないさ。お前たちが一緒だもん」


そうさ、俺はノラ猫。もう飼い犬じゃない。それに、あの時には出会わなかった仲間たちがたくさんできたじゃないか。辛いこともあるが、それなりに楽しい日々さ。




遠くから除夜の鐘が聞こえてくる。


「ノブ、昔の日本では元日になるとみんな一斉に年を取ったんだって」

「ほ~ それいいな。俺たち3匹も一緒に年を取ろうぜ」

「どうして?」

「俺はそもそも小さい頃のことを覚えていないし、ミー助やランマだって生まれた時が違うだろ。いずれ、俺たちは別々の生き方をしているかもしれない。だから、せめて一緒に年を取るってことだけでも覚えておこうぜ」

「ノブさん、俺たち3兄弟は生まれた時は違うけど、年を取るのは一緒ってことだね」

「ランマ、いいこと言うな。そういうことだ!」



桃園(とうえん)(ちか)いかよ!) ※注(下部参照)


いや、少し違うか。でも、ランマも嬉しそうにしてることだし、俺もノブの提案に乗っかかろう。今日から俺たちはキジ・サバ・茶の『トラ三兄弟』ってことで。



桃園(とうえん)(ちか)


中国の歴史小説『三国志演義』の序盤に登場する有名なエピソードです。

ー 同年同月同日に生まれずとも、同年同月同日に死なん。

劉備・関羽・張飛の3人が桃の花が咲く庭で義兄弟の契りを結び、生死を共にして国に報いることを誓いました。生まれた日は違っても、同日に死ぬことを願う絆が描かれています。

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