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第15話 タイガ

夏が終わりに近づいた頃、俺たちは天橋立(あまのはしだて)に着いた。リュウガがよく遊んでいたという駅の近くに行くと、一匹のトラ猫が愛想よく声をかけてきた。


「やぁ、こんにちは」

「こんにちは、俺たちは旅猫のミースケとノブっていうんだが、タイガに会いたいんだ。知っているかい?」

「俺はリュウタ。なんで旅猫がタイガさんに?」


怪訝そうな顔をしているリュウタに、俺たちは旅の途中でリュウガに会い、短い間だったが一緒に暮らし、最期を見送ったことを話した。


リュウタは、遠くを見るような目で寂しそうに言った。


「それでタイガさんに会いに来てくれたということだね」

「そうなんだ。リュウガから魂の兄弟だと聞いて、会いたいと思ったんだ」

「そうか… 今なら大丈夫だと思う。ついておいで」


しばらく狭い道を歩き、何回か曲がりながら、戸建ての家の前で止まった。


「今は家の人がいないから庭に入っても大丈夫だ」


砂利の敷かれている庭をゆっくり歩き、家の脇まで来て足を止める。


「ここだよ」


リュウタが言った先には、小さいが綺麗に加工された石が置いてあった…


「まさか!?」

「タイガさんは、ここに眠っている」


俺もノブも言葉を失ったまま小さな石を見ていたが、しばらくしてリュウタに促され近くの広場まで移動した。




リュウガが去った頃にはタイガは病に侵されてたという。そして梅雨の頃...そう、リュウガが逝った頃、タイガも逝った。


自分の最期を見せたくなく、相手の最期も見たくない。お互いの思いは同じだったのかもしれない。


「リュウガさんとタイガさんはこの辺りの地猫をまとめて、おかげでここでは飼い猫でもノラ猫でも変な争いもなく、みんな仲良く暮らしているんだ」


俺がひかりちゃんに飼ってもらってた町でやろうとしたことを、この町でも実現できていたんだな。


「俺はノラ猫だけど、リュウガさんとタイガさんに一番可愛がってもらっていたんだ」


リュウタは自慢するように言った。だから、二匹の名前を継いで『リュウタ』に改名したと言う。飼い猫じゃないから、自分の名前は言ったもん勝ちらしい。


「他の地猫はそれで文句を言わないのかい?」

「自分で言うのもなんだけど、みんなからは次期リーダーに推されているんだぜ。今すぐにリュウガさんやタイガさんの代わりにはならないけどさ」



「ミー助、ノブ、少し休んでいてくれ。夜になったら仲間に紹介するよ」



俺とノブは昼間は食べ物を貰ったりしながらのんびり過ごした。夜、リュウタに連れられて人間のいない展望台まで歩いて行くと、たくさんの猫が集まっていた。




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