表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オイナカムイ伝  作者: 日川文月
95/100

第80話 フェリペ2世(2)

「賠償と言われても、払えるような額では無いのだ」

「ハハハ、でしょうな、戦費にも四苦八苦でしょうか。

失礼ながらイングランドにだいぶやられておりますな」

「そのようにあからさまに言われると・・・」

「事実でござろう、要するに、この書は歴史的認識でござる」

「歴史的認識?」


「過ぎたことはしかたない・・・もう元には戻せぬのでござる。

それを賠償と言っても無理がある。

当事者なら倍十倍もの気持ちの差はあろう。

じゃが、ここで、コレを受け取ったということならば。

申し訳ない気持ちがあったと恨みを受け止めたと歴史に記されるのじゃ。

免罪符では無いが、ここで終わらせる意味があると我は思うのじゃ」

「なるほど・・・」


「同じ過ちを犯さなければ良い・・・。

なにより、金銀以上に御国は利を得ておるではないか」

「え、それは?」

「ポテト、トマト、コーンとか、新しき農産物の種じゃ」

「え!」


「かの国で改良され痩せた大地でも育つ作物ではないか。

我らは南蛮貿易で手に入れて活用しておるのだよ。

民が飢えなくなったのは、おかげじゃ」

「・・・そ、そうであったか。

知らなかった」


「御国は平坦でよいのう、我が国は平地が少なく農地が狭い。

最近までの100年間、その農地を求めて争っておった。

御国はその数十倍もの広き農地があるではないか」

「・・・そ、そうなのか?」


「我が国は知恵を出し合い工夫して一を二、二を三,四としてきた。

新しき作物を探し、広めてきた。

同じ人間じゃからできぬ訳がなかろう」

「そ、そうか・・・」


「イングランドの王にも同じことを言おう。

海賊をけしかけていたのであろう」

「エリザベスは、強欲な女じゃ」

「女などそういうもんじゃ、じゃが、母は強し、かの女は国の母だろう」

「・・・そうかもな」


「話してみればお主も普通の漢ではないか。

ローマの坊主に苦しめられてるのであろう」

「あ、ああ、それについては我からは何とも言いがたい」

「人の心は弱い、よすがが必要なのじゃ。

じゃが勝手な思い込みを押しつけるのは悪いわ。

我が国は、禁書や異端審問で不当に扱われている者のことを憂いておる」


「・・・そのもの達は?」

「なかには、才を妬まれた者もおろう、天の才だ。

我が国に千金を持って迎え入れたい程じゃ」

「・・・ですか」

「賠償の代わりに禁書や彼らをくれるというなら嬉しいが、アハハハ」

「それは、たぶん・・・かなうかと」

「お、そうか、じゃあ、目録にしようかのう。

禁書や異端審問にかけられそうな者達は、みな我が国がいただこう」

「はあ」


ーーーーーーーーーー


「なんとまあ、あけすけな感じでしたな」

「あれは強いわ、表も裏も無い・・・そのままだ」

「艦船に関して、原理はわかりませんが動力を・・・。

風力以外の力を使っておるようでございます」

「んん、それはなんじゃ」

「わかりませぬが、錬金術者を尊んでおるようで」

「ああ、そういうことか・・・ふむ」


「これは僥倖なのでは、我が国が有利となるのでは」

「植民地については非難もあったな。

原住民を何千万人も殺してたとは知らなかったのだが・・・」

「お耳に痛いことは言わないものでございます」

「それでは裸の王ではないか」


「・・・申し訳ございませぬ」

「良い、言いすぎた。

イングランドやローマを抑えるのに使おう」

「は!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ